年収別自動車保険料（任意）の最新動向と今後の展望【2025年版】

自動車保険料（任意）は年収別で大きな差があり、1250～1500万円層が6,780円と最も高く、前年から58.01%増加しました。高収入層は高額車両保有や補償充実が背景で、中所得層は安定傾向、低所得層は加入率や補償不足が課題です。今後は高付加価値化と低所得層支援が重要となり、多様化する市場で公平な保険料設定が求められます。

自動車保険料（任意）の年収別月間支出は、世帯の経済状況や自動車の利用形態、保険選択の傾向により大きく異なります。2002年から2025年3月までのデータをもとに、年収別の支出動向、特徴、課題、将来の予測を分析します。

これまでの動向

最新の平均支出は4,274円ですが、年収帯別に見ると、最も高いのは1250～1500万円の世帯で6,780円と突出しています。これに続くのは1500～2000万円（6,176円）、2000万円以上（5,495円）と高収入層が高い支出を示しています。一方、400～500万円帯は3,631円と低めです。前年同期の増加率を見ると、1250～1500万円帯が58.01%と大幅に増加し、800～900万円帯も28.94%増と顕著です。逆に2000万円以上や1000～1250万円帯は微減傾向がみられます。

年収別の特徴

• 高収入層（1250万円以上）保険料の支出が最も高い傾向が続き、特に1250～1500万円層の急増は高額車両の保有増加や保険内容の充実（高補償プラン選択）が影響しています。また、車両価値の高さから任意保険料が高くなることも要因です。1500～2000万円層はやや増加が緩やかで、2000万円以上では逆に減少傾向も見られ、多様な保険商品の選択や節約志向の影響が考えられます。

• 中所得層（700万～1250万円）支出は4,200円～4,900円台で比較的安定していますが、1000～1250万円帯では若干の減少が見られます。保険の見直しやオンライン契約の普及、割引活用が普及している可能性があります。

• 低所得層（400万～700万円未満）支出は3,600円前後で低めですが、ここ数年は増減が小さいものの、節約志向や保険未加入リスクも課題となっています。特に車両保有率の低下や公共交通機関利用増加の影響が大きいと考えられます。

問題点と課題

高収入層における保険料急増は、経済的負担の増加というよりは保険内容の充実によるものであり、全体の保険市場の多様化を示しています。一方で中低所得層ではコスト圧縮が課題であり、必要な補償を十分に得られないケースもあります。また、保険料上昇が続けば、低所得層の加入率低下や事故リスクの増加につながる恐れがあります。

今後の推移予測

• 高収入層はさらなる差別化と高付加価値化高額車両の増加や先進運転支援システム（ADAS）普及により、保険内容の充実化が進む一方で、保険料も高水準を維持すると予測されます。

• 中所得層はコストパフォーマンス重視の傾向が強まるオンライン契約やAIを活用した割引・プラン最適化が普及し、保険料は安定化または緩やかな増加に留まる可能性があります。

• 低所得層は加入率向上策と支援が必要保険未加入や低補償リスクを抑えるため、制度改正や割引拡充、公共交通との連携など社会的支援策の強化が期待されます。

まとめ

年収別の自動車保険料（任意）は、高収入層が保険料の支出をリードし、特に1250～1500万円層で顕著な増加が見られます。中低所得層は支出が比較的抑えられていますが、加入率や補償内容の充実が今後の重要課題です。保険市場の多様化に対応しつつ、経済格差を考慮した公平な保険料体系の構築が求められます。