年収別タンス支出では、2000万円以上の世帯が前年比+1380%と大幅に増加。高所得層ではインテリア志向が強まる一方、中間層以下では生活コスト圧迫や支出抑制により、タンス支出に大きなばらつきが見られます。今後は家具支出の二極化がさらに進行すると予想されます。
年収別のタンス
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 2000万~ | 1250~1500万 | 900~1000万 | 1000~1250万 | 500~600万 | 1500~2000万 | 400~500万 | 700~800万 | 600~700万 | 800~900万 |
最新値[円] | 143.3 | 444 | 307 | 255 | 170 | 158 | 130 | 117 | 108 | 92 | 52 |
前年月同比[%] | -3.536 | +1380 | +195.2 | -36.88 | +88.89 | +12.86 | -49.42 | +225 | -35.33 | -65.41 | -77.87 |
これまでの年収別の推移


詳細なデータとグラフ
年収別の現状と今後
生活の中で家具の購入は、収入と密接に関わる消費活動です。特にタンスのような大型家具は、生活の質や空間の使い方に直接影響を与えるため、世帯年収ごとの支出に顕著な差が出ます。ここでは、2002年から2025年3月までの長期データをもとに、年収別のタンス支出の傾向、背景、課題、そして今後の見通しを詳細に解説します。
最新データの概観と年収ごとの分布
2025年3月時点の年収別タンス支出の月間平均は143.3円。支出の高い順に見ると以下のような構図となっています:
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年収2000万円以上:444円(+1380%)
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1250~1500万円:307円(+195.2%)
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900~1000万円:255円(-36.88%)
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1000~1250万円:170円(+88.89%)
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500~600万円:158円(+12.86%)
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1500~2000万円:130円(-49.42%)
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400~500万円:117円(+225%)
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700~800万円:108円(-35.33%)
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600~700万円:92円(-65.41%)
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800~900万円:52円(-77.87%)
このように、中間層で支出のばらつきが大きく、高所得層と低中所得層の差が急激に広がっているのが特徴です。
高所得層の急激な支出増加の背景
特に注目されるのが、年収2000万円以上の世帯が前年比+1380%と大幅な支出増を記録している点です。これはコロナ禍後の住宅リフォーム・模様替え需要や、高級家具への関心の高まり、あるいは高所得層の資産運用環境改善による購買力の回復が背景にあります。タンスも従来の実用品からデザイン性や空間演出を担うインテリアアイテムとして再評価されている可能性があります。
また、1250~1500万円層も+195.2%と大幅な増加。この層は住宅ローンの完済や教育費の一段落により、家具やインテリアへの支出が解放されているタイミングとも考えられます。
中間層の不安定な動きと二極化の兆し
年収1000~1250万円や500~600万円は増加傾向にあるものの、900~1000万円や700~800万円、600~700万円、800~900万円は大幅減少しています。この現象には次のような複数の要因が考えられます:
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実質賃金の停滞による支出抑制
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子育て・教育費のピークによる生活コストの集中
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中古・簡易家具の選択志向
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住宅購入後の資金繰り優先
つまり、年収が比較的高くても支出余力のある層とそうでない層に分かれているのが実情であり、単純な年収だけでは支出傾向が読み切れない状況です。
低所得層の支出の増減と今後の不安
400~500万円の層では+225%と大幅に増えていますが、これは一時的な買い替え需要の集中、あるいは低価格帯家具の買い足しによるものと考えられます。ただし、長期的に見れば安定的にタンスへ支出する余裕は乏しく、ミニマリズム志向や収納付き賃貸住宅への依存が進むと予想されます。
今後の予測と課題
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二極化の進行:今後も高所得層による高品質・高価格家具への投資は続く一方、中間層や低所得層では支出が限定され、家具支出の二極化が進むでしょう。
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機能性・汎用性の追求:全体的に「タンス」として分類される家具は、より省スペースで多機能なものへ移行する傾向にあり、高価格帯でも収納効率や設置性が重視されます。
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サブスク・中古市場との競合:特に若年層・低年収世帯では、家具の購入ではなくレンタルや中古品への需要が強まり、統計に現れにくい支出構造が拡大していく可能性があります。
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