最新データによると、洗濯機の月間支出は年収に応じて大きな差が見られ、2000万円以上の世帯が2308円と最も高く、300~400万円では632円と大きな格差がある。中高所得層で支出の増減が激しく、買い替え需要や高機能機器の導入が影響している。今後は、省エネ家電の普及やリース・サブスク化により、低・中所得層の支出も緩やかに上昇すると予測されるが、格差の固定化も懸念される。
年収別の洗濯機
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 2000万~ | 900~1000万 | 1500~2000万 | 800~900万 | 600~700万 | 1000~1250万 | 1250~1500万 | 700~800万 | 400~500万 | 300~400万 |
最新値[円] | 1052 | 2308 | 1927 | 1481 | 1248 | 1128 | 1074 | 894 | 767 | 676 | 632 |
前年月同比[%] | -5.929 | +17.16 | +9.989 | -33.29 | -3.331 | +63.72 | -28.54 | +70.61 | -45.95 | -41.32 | +16.61 |
これまでの年収別の推移


詳細なデータとグラフ
年収別の現状と今後
2025年3月時点の最新データで、世帯平均の洗濯機支出は1,052円。しかし、年収階層別で見ると、その内実は極めて多様です。支出の上位層と下位層では約4倍近い開きがあり、生活水準や家電への価値観の違いが如実に表れています。
年収帯 | 月間支出(円) | 前年比増減 |
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2000万以上 | 2308 | +17.16% |
900~1000万 | 1927 | +9.99% |
1500~2000万 | 1481 | -33.29% |
800~900万 | 1248 | -3.33% |
600~700万 | 1128 | +63.72% |
1000~1250万 | 1074 | -28.54% |
1250~1500万 | 894 | +70.61% |
700~800万 | 767 | -45.95% |
400~500万 | 676 | -41.32% |
300~400万 | 632 | +16.61% |
高所得層に見る洗濯機支出の「選択的投資化」
2000万円以上・900~1000万円層の特徴
この層の支出は突出しており、一般的な家庭の3倍に達しています。要因としては:
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高価格帯洗濯機の導入(ドラム式・AI搭載・乾燥機能付き)
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使用回数の多さ(ファッション・ジム・子育て等で洗濯頻度が高い)
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複数台保有や高級家電への嗜好(別荘・セカンドハウス用途も)
この層では、洗濯機は「消耗品」ではなく「生活快適性を高める投資対象」として認識されているケースが多いです。
中間層に見られる支出のばらつきと変動の激しさ
600~900万世帯の事情
この層は家庭を持つ共働き世帯や、持ち家世帯が多く、ライフステージによって支出傾向が分かれます。
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600~700万層の+63.72%の増加は、子育て世代の家電買い替えタイミングと一致。
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800~900万のわずかな減少は、すでに高性能な機器を導入済みで更新が先送りされた可能性。
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700~800万の-45.95%の大幅減少は、景気や住宅ローン返済など家計引き締めが影響か。
この層では、支出の波が大きく、経済政策や金利動向によっても変化しやすいと考えられます。
中~高所得層に見られる不安定な動きの理由
1000~1500万円の層は、本来なら高支出が予想されるものの、支出額は894~1074円にとどまり、前年同期比では大きく増減しています。
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1000~1250万(-28.54%)と1500~2000万(-33.29%)の減少は、固定資産税など他の支出負担の増加と設備更新タイミングのズレによる。
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1250~1500万層は+70.61%と逆に急増しており、買い替え・新築による一時的な支出増が見られます。
この層は「可処分所得に余裕はあるが、支出タイミングが揃わない」特徴を持っています。
低所得層における支出の抑制と生活の合理化
300~500万円層の課題と工夫
支出が最も少ないこの層は、以下の傾向が見られます:
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中古家電市場の活用
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コインランドリーの併用
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低機能洗濯機の長期使用
にもかかわらず、300~400万層では+16.61%とやや増加が見られるのは、インフレによる家電価格上昇や新生活準備(単身世帯の増加)が影響していると考えられます。一方、400~500万層の-41.32%は、節約志向や家電買い控えの動きが強く反映されていると見られます。
今後の見通し――洗濯機支出はどう変わるか?
① 高所得層
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今後も高機能・環境対応型製品にシフトしつつ、支出は微増傾向
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サブスクリプションやIoT連携型製品でランニングコストが上昇する可能性
② 中間層
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買い替えの山が近い層が多く、今後2~3年で支出増の波が来る
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ただし、物価上昇が続けば支出抑制傾向が強まる
③ 低所得層
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支出は極めて限定的にしか増加しない
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政策的支援(補助金、給付金)や再生家電の公的導入がなければ、格差は固定化するおそれがある
洗濯機支出が浮き彫りにする「家電格差社会」
洗濯機支出の動向は、単なる消費傾向ではなく、生活の質・家族構成・経済的余裕の差を映す重要な指標です。特に2020年代に入り、格差は支出行動に明確に現れるようになってきました。
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高所得層は「便利さ」と「時間」を買うために投資
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中間層は「効率と費用対効果」を見て支出タイミングを図る
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低所得層は「支出の先延ばし」や「共有資源への依存」が常態化
これらの状況をふまえた家電流通政策・住宅設計・エネルギーインフラ整備が、今後の持続可能な社会構築には不可欠です。
まとめ:洗濯機支出は年収格差の写し鏡――家電から見える未来の社会設計
洗濯機の支出は、目立たないながらも生活インフラの核を担う要素です。所得によってその扱いが「必需品」から「贅沢品」まで分かれつつある現状では、今後の社会政策や製品設計において、公平性・柔軟性・多様性をいかに盛り込めるかが鍵となります。家電の進化と家計の現実、その間に横たわる「支出の差」を直視し、社会全体で考えるべき時が来ています。
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