年収別に見る携帯本体支出|高所得層と低所得層の格差がさらに拡大

携帯本体



携帯本体の年収別支出では、高所得層で特に1000~1250万円層の支出が急増する一方、2000万円以上や1500~2000万円層では減少傾向も見られる。200万円以下の層は増加率こそ高いが、依然として支出は最小水準にとどまる。端末価格の高騰により格差は拡大傾向にあり、今後は「必要最低限」vs「最新高機能」の二極化が進むと予測される。

年収別の携帯本体

1世帯当りの月間使用料

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 1000~1250万 2000万~ 1250~1500万 800~900万 700~800万 900~1000万 1500~2000万 600~700万 500~600万 ~200万
最新値[円] 3077 4889 4537 4396 4156 3983 3569 3322 3304 2208 1808
前年月同比[%] 10.39 46.77 -17.04 34.31 44.46 3.995 27.1 -24.72 47.37 -0.271 101.8

 

これまでの年収別の推移

携帯本体
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

年収別の現状と今後

携帯電話は生活インフラの一部となり、本体価格も機能向上に伴って高騰している。一方、世帯や個人の年収によってその支出には明確な差が存在する。本章では、2015年から2025年にかけた年収別の携帯本体支出データをもとに、所得階層による行動傾向や今後の格差動向を多角的に分析する。


年収階層別の支出状況とその特徴

2025年3月時点のデータによると、1人当たりの携帯本体平均支出は3,077円。これを大きく上回る年収層と下回る層には明確な二極化が見られる。

高支出層(年収別)

  • 1000〜1250万円:4,889円(+46.77%)

  • 2000万円〜:4,537円(-17.04%)

  • 1250〜1500万円:4,396円(+34.31%)

  • 800〜900万円:4,156円(+44.46%)

  • 700〜800万円:3,983円(+3.995%)

中〜低支出層

  • 900〜1000万円:3,569円(+27.1%)

  • 1500〜2000万円:3,322円(-24.72%)

  • 600〜700万円:3,304円(+47.37%)

  • 500〜600万円:2,208円(-0.271%)

  • 〜200万円:1,808円(+101.8%)

このように、全体平均を上回る層が広く存在する一方で、年収が200万円以下の層では支出が最低水準に留まっている。


支出差の背景にある要因

(1)所得に比例した支出余力

携帯本体価格が10万円を超えるようなモデルが多くなる中で、高所得層は現金一括やローンでの支出を容易に行える傾向にある。加えて、端末を複数所有するケースも珍しくなく、単身世帯でもタブレットやサブ端末などが加わることで、1人あたり支出が膨らむ。

(2)高所得層内の逆転現象

2000万円以上の層では前年比▲17.04%と減少している一方で、1000〜1250万円層では46.77%の大幅増。これは資産保全志向や法人契約への切替、経済動向による購買抑制が影響している可能性がある。

(3)低所得層の増加率急上昇

〜200万円層の101.8%増加は、2024年度以降の自治体による端末補助、または格安スマホの一斉買い替え需要の影響が考えられる。ただし、絶対額は依然として低水準であり「最低限のデジタル環境を整える」ことに留まっているとみられる。


年収別の支出格差の影響

(1)情報格差と通信環境格差の固定化

高性能端末を用いたサービス利用(例:モバイル決済、AIアプリ、5G通信、テレワーク機能)にアクセスできる層とそうでない層の差は、今後の学習環境・労働環境にも影響を及ぼす。

(2)中古・リース市場の浸透と中所得層の分化

500〜700万円層では支出に鈍化が見られ、これは「本体価格は抑え、月額で賢く使う」という消費行動の変化を示唆する。また、中古端末の選択肢が一般化しつつあり、所有にかけるコスト意識が強まっている。


今後の予測と政策的視点

(1)本体支出は二極化へ

全体としては高価格化と共に「最新機能搭載型」と「最低限機能型」に端末市場が二分され、所得階層による端末選択の傾向がさらに強まると見られる。

(2)行政による「デジタルインクルージョン」の必要性

生活保護受給者や年金生活者など、年収200万円以下層への通信環境整備支援は今後も必要。学校配布端末や自治体支給型スマホの継続は、支出の安定化と情報格差の是正に不可欠である。

 

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