2025年3月時点で二人以上世帯の書籍・印刷物支出は平均3,009円。徳島市や仙台市など一部都市で高額支出が顕著だが、那覇市や北九州市などでは低水準にとどまる。都市間格差は所得や文化環境、世代の読書傾向の違いが影響。電子書籍の普及や生活スタイルの変化により、今後は印刷物支出全体が縮小傾向を辿るが、一部層の読書熱は根強く残ると予想される。
書籍・他の印刷物の家計調査結果
書籍・他の印刷物の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 徳島市 | 仙台市 | 千葉市 | 長野市 | 相模原市 | 横浜市 | 京都市 | 岡山市 | 富山市 | 大津市 |
最新値[円] | 3009 | 5728 | 4696 | 3837 | 3786 | 3690 | 3581 | 3575 | 3542 | 3529 | 3517 |
前年月同比[%] | -3.585 | +92.47 | +36.31 | +3.759 | +1.501 | +3.564 | +3.527 | -11.2 | -11.23 | +27.26 | +0.114 |
書籍・他の印刷物の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇市 | 北九州市 | 松山市 | 長崎市 | 浜松市 | さいたま市 | 福岡市 | 静岡市 | 高松市 | 高知市 |
最新値[円] | 3009 | 1486 | 1711 | 2083 | 2373 | 2390 | 2471 | 2483 | 2490 | 2496 | 2531 |
前年月同比[%] | -3.585 | -38.19 | -29.39 | +3.942 | -18.17 | -1.565 | -22.32 | -11 | -21.87 | -25.22 | +43.89 |
これまでの書籍・他の印刷物の推移


詳細なデータとグラフ
書籍・他の印刷物の趣味現状と今後
「書籍・他の印刷物」とは、書籍、雑誌、新聞、コミック、教養・娯楽に関わる印刷メディアを指し、家計調査では「教養娯楽費」の1部として計上されます。家庭の知的文化活動の指標のひとつであり、読書習慣や情報収集のスタイルを反映する重要な支出項目です。
全国平均と都市別の支出状況
2025年3月時点の全国平均は3,009円。高額支出の都市上位は次の通り:
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徳島市:5,728円(+92.47%)
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仙台市:4,696円(+36.31%)
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千葉市:3,837円(+3.76%)
1方、低額支出の都市は:
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那覇市:1,486円(-38.19%)
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北9州市:1,711円(-29.39%)
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松山市:2,083円(+3.94%)
高額都市では読書文化の根強さ、教育環境の充実、書店や図書館の充実度が支出を押し上げていることが示唆されます。逆に低額都市は所得水準やライフスタイル、娯楽選択の多様化による印刷物離れが背景にあります。
都市間格差の要因
印刷物支出の地域差は以下の要因が複合的に作用しています。
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所得格差:書籍購入力が高い地域は高支出傾向。
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文化・教育環境:地元の教育機関や図書館、読書推進の社会的風土。
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流通・販売チャネル:書店の数やイベント、地域出版物の充実度。
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生活様式の違い:都会ほど多様な娯楽があり、印刷物への依存度が低くなる場合も。
世代間の特徴と読書習慣の変化
世代別に見ると、60代以上の高齢層は新聞購読や書籍購入が依然として多く、知的活動としての読書を継続しています。1方、若年層はスマートフォンやタブレットでの電子書籍や動画視聴に時間を割き、紙媒体から離れる傾向が顕著です。30〜50代の子育て世代は教育関連書籍や雑誌への支出が比較的安定していますが、紙媒体全体の消費量は減少傾向にあります。
2008年以降の動向と近年の変化
2008年以降、書籍・印刷物の家計支出は全体的に横ばいからやや減少傾向でしたが、都市ごとに差が拡大しています。近年は電子書籍の普及が加速し、特に都市部の若年層で紙の書籍離れが進行。新型コロナ禍の影響で外出制限がかかる期間は書籍購入が増えた例もありますが、継続性は限定的でした。
今後の予測と課題
今後は以下のポイントが重要です。
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電子書籍のさらなる浸透:紙媒体から電子媒体へ支出が移行し、印刷物支出は減少傾向が続く。
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地域ごとの文化支援の必要性:読書文化を維持するため、自治体の図書館や文化事業への支援強化が求められる。
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世代間の情報ギャップ解消:高齢者層と若年層でメディア接触形態が異なるため、情報アクセスの格差が拡大しない工夫が必要。
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多様なメディア融合:印刷物と電子媒体を融合した新たな読書・学習形態が普及する可能性。
まとめ
書籍・他の印刷物への家計支出は、社会の知的文化活動の重要指標であり、都市や世代による差異が大きい。徳島市や仙台市などでは高額支出が見られる1方、那覇市や北9州市では支出が低迷し、地域間格差が浮き彫りとなる。電子書籍の拡大や生活様式の変化により、今後も印刷物支出は縮小傾向を辿るが、読書文化の維持と多様なメディア利用を促す政策が必要とされる。
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