家計調査で見るたばこ支出の都市差と今後の喫煙傾向の予測

教育・医療



家計調査によれば、二人以上世帯のたばこ支出は平均1122円で、堺市や大津市などで大きく上昇する一方、福岡市や前橋市では著しく減少しています。本稿では、たばこ支出の過去から現在の動向、都市間や世代間の違い、禁煙政策の影響などを分析し、今後の喫煙支出の推移について章立てで解説します。都市のライフスタイルや経済背景を反映した結果として、たばこ支出には地域特性が色濃く表れています。

たばこの家計調査結果

たばこの多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 堺市 大津市 秋田市 宇都宮市 青森市 熊本市 名古屋市 川崎市 水戸市 札幌市
最新値[円] 1122 2415 2223 1972 1944 1826 1761 1737 1606 1545 1471
前年月同比[%] +1.907 +13.59 +294.1 +244.2 +7.701 +8.175 +138.3 +201.6 +19.49 +37.09 -10.09

たばこの少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 福岡市 福井市 前橋市 大阪市 神戸市 相模原市 高知市 金沢市 北九州市 福島市
最新値[円] 1122 337 340 383 427 465 554 616 627 648 674
前年月同比[%] +1.907 -56.57 -63.64 -71.09 -69.06 -48.62 -51.57 -46.53 +23.67 -42.6 -6.389

 

これまでのたばこの推移

たばこの推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

たばこの諸雑費現状と今後

たばこ支出とは、紙巻きたばこ、加熱式たばこ、電子たばこなどを含む喫煙関連商品の購入費用を指します。家計調査においては、購買頻度と支出額から消費傾向が可視化され、世帯ごとの嗜好や行動様式が反映されます。


2008年以降の全国的な推移

2008年以降、たばこ支出は税率の引き上げ、健康志向の高まり、受動喫煙対策の強化などにより、全国的に減少傾向にありました。2010年、2018年、2020年と複数回のたばこ税引き上げがあり、価格の上昇が購買の抑制要因となりました。

しかし、2020年代に入り加熱式たばこや新型電子たばこの登場により、支出形態に変化が見られ、たばこ支出が再び増加に転じた地域も存在します。


都市別の支出状況とその背景

高支出都市

  • 堺市(2415円、+13.59%):製造業や肉体労働層が多く、喫煙文化が残りやすい職場環境の影響も考えられる。

  • 大津市(2223円、+294.1%)・秋田市(1972円、+244.2%):急増の背景には、加熱式たばこの普及や調査対象世帯の偏り、コロナ禍後のストレス増加による喫煙行動の復活が影響している可能性。

  • 名古屋市(1737円、+201.6%)・熊本市(1761円、+138.3%):都市型と地方都市の中間的な地域では、新旧喫煙者が混在し、たばこ支出が顕著になる傾向。

低支出都市

  • 福岡市(337円、-56.57%)・前橋市(383円、-71.09%)・大阪市(427円、-69.06%):政令指定都市や行政の健康政策が進んでいる地域では、喫煙率の低下が著しい。

  • 神戸市(465円、-48.62%)・相模原市(554円、-51.57%):高学歴層や健康志向の強い住民構成が影響していると考えられる。

  • 高知市・北9州市なども同様に、喫煙者の高齢化と共に市場が縮小傾向にある。


世代間での喫煙傾向の違い

若年層

近年は非喫煙率が大幅に上昇。高校・大学段階から喫煙しないことが当たり前となりつつあり、たばこ支出は極めて低い層。紙巻きたばこよりも加熱式やVAPEに関心を寄せるが、継続率は低め。

中高年層

特に50~60代男性を中心に喫煙習慣が根強く残る。健康診断や医療費の自己負担が増えることで禁煙を試みるも、長年の習慣が影響して支出が続く傾向。

高齢層

70代以降は喫煙率が減少。身体的制約や医師からの指導を受けて禁煙に至る例も多く、支出は最も少ない世代となる。


たばこ支出に影響を与える要因

税制と価格の上昇

たばこ税の引き上げは購買抑制の最大要因。所得の低い層ほど価格感度が高く、喫煙をやめるきっかけとなりやすい。

喫煙可能環境の減少

公共施設・飲食店での全面禁煙が進むことで「吸いにくさ」が広がり、習慣自体の持続が難しくなっている。

加熱式たばこの影響

紙巻きたばこから移行する人が増え、1時的に支出が増加するケースも。ただしデバイスの買い替えを含めた出費は初期に偏る傾向がある。


今後のたばこ支出の予測

都市間格差の拡大

健康政策の進捗や人口構成の違いから、都市ごとの支出傾向は2極化が進むと予測されます。堺市や大津市のような高支出都市は1時的な要因による上振れも多く、今後減少に転じる可能性もあります。

支出総額の緩やかな減少

全国平均としては、たばこ税の段階的引き上げと喫煙人口の自然減によって、今後も緩やかに平均支出は減少していく見通しです。2020年代後半には平均1000円を切る水準も視野に入ります。

電子たばこ・VAPE市場の拡大と規制強化

紙巻きたばこに代わる製品が増える1方で、未成年の使用増加などを受けて法規制も強化される可能性が高く、支出は短期的に上下する波を描くことが予想されます。


まとめ

たばこ支出は、単なる嗜好品の消費ではなく、地域の文化・政策・経済状況・健康意識など複合的な要因が影響しています。支出の多い地域と少ない地域では、生活様式や価値観が大きく異なり、特に世代交代とともにこの差はさらに拡大するでしょう。今後の公共政策や医療・教育の取り組みにより、全国的な減少トレンドは持続すると考えられますが、1部都市では依然として高水準の支出が続く可能性も残されています。

 

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