子供靴価格動向と地域別特徴分析

2025年4月の子供靴1足の平均価格は4,803円。金沢や福岡などでは5,390円に達し、山形では前年比+59.7%と急騰。一方、日立では2,750円と最安値で前年比-37.5%。価格上昇の背景には原材料費や人件費の増加、ブランド志向の高まりがある。今後は品質重視の流れが続く一方、家計負担や価格格差への対策も必要とされる。

2025年4月時点での子供靴1足の全国平均価格は4,803円。2010年1月からの15年間を振り返ると、以前は3,000円台前半が1般的だったのに対し、近年は5,000円近くまで上昇しています。価格上昇の背景には、原材料費の高騰、製造拠点の変化、円安による輸入価格上昇、そして機能性やブランド志向の高まりが挙げられます。

価格が高い都市とその特徴

2025年4月の時点で、子供靴の価格が最も高い都市はすべて5,390円と横並びの価格設定が見られます。

この価格帯には以下の特徴が見られます：

• 都市型ライフスタイルとブランド志向：立川・浦安・横浜・藤沢など都市部では、ブランド品や機能性重視の商品が選ばれやすく、高価格帯に。

• 地方都市でも価格上昇が顕著：山形や金沢では前年同期から大幅な増加（山形は+59.7%、金沢は+32.4%）。これは地元での選択肢の少なさに起因する大手小売りの価格支配力、あるいはプレミアム商品の比率増が関係している可能性。

• 価格の「均1化」現象：10都市すべてがまったく同じ価格であることは、大手チェーンによる標準化戦略や、仕入れ単価の統1による影響とも考えられる。

価格が低い都市の傾向と課題

価格が最も低い都市は以下の通りです：

これらの都市では以下の傾向が見られます：

• 地域密着型小売の存在：日立や水戸などでは、地域密着型の小規模店舗が主力で、仕入れコストや家賃が比較的安く、安価な販売が可能。

• 安価ブランドやアウトレット志向：奈良や今治などでは、実店舗での価格競争やディスカウントショップの利用率が高いと見られる。

• 特異な下落要因：日立は前年同期から-37.5%と大幅に価格が下落しており、これは1時的な特売、在庫処分、あるいは調査品目の変更などが背景にある可能性も。

価格上昇の構造的要因

原材料費の上昇

合成皮革・ゴム・接着剤など、靴製造に不可欠な資材の価格が、国際的な需給逼迫や為替変動により上昇。

労働コストの増加

アジア各国（ベトナム・中国など）の人件費が上昇し、製造コストが高止まり。

高機能化とブランド志向

「インソールの成長支援設計」「滑り止め強化」など機能性重視で、高価格化。さらに、「アシックス」「ミズノ」などの国内ブランドの人気上昇も影響。

小売構造の再編とECの影響

大手チェーンやECサイトの価格主導力が強まり、地域間で極端に安い商品が入りにくくなり、「価格均1化」傾向が進行。

家計への影響と今後の見通し

かつて子供靴は「すぐにサイズアウトする消耗品」であり、できるだけ安く購入する家庭が多かったものの、現在は「足の成長と健康を支えるための投資」という考え方が広まりつつあります。その1方で、都市間の価格格差や、低所得層への負担増も深刻な課題です。

今後も価格は緩やかに上昇すると見られ、特に中堅所得層以下の家庭では「数を減らして質を取る」傾向が強まる可能性があります。政策として、就学援助や子育て世帯向けの衣料品補助の拡充なども検討される余地があります。