日本の子供用長袖Tシャツの小売価格は、2025年3月時点で平均1,464円。福岡や札幌では価格上昇が著しく、山口や大津などでは低価格かつ減少傾向が見られる。原材料費や物流費の高騰、地域ごとの販売戦略が主な要因で、今後は少子化の中で価格の二極化が進む可能性がある。
衣類・美容の都市別小売価格
長袖Tシャツ価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福岡 | 宇都宮 | 秋田 | 金沢 | 札幌 | 鳥取 | 新潟 | 那覇 | 横浜 | 福井 |
最新値[円] | 1464 | 2497 | 2237 | 2053 | 1954 | 1925 | 1903 | 1870 | 1820 | 1791 | 1773 |
平均比[%] | 100 | 170.6 | 152.8 | 140.3 | 133.5 | 131.5 | 130 | 127.8 | 124.3 | 122.4 | 121.1 |
前年月同比[%] | -1.64 | +58.14 | -6.127 | +14.76 | -42.87 | +21.3 | +26.03 | +18.88 | -4.562 | +7.053 | -4.831 |
長袖Tシャツ価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 山口 | 大津 | 長野 | 富山 | 熊本 | 鹿児島 | 松江 | 徳島 | 甲府 | 水戸 |
最新値[円] | 1464 | 656 | 765 | 909 | 983 | 1005 | 1041 | 1066 | 1076 | 1082 | 1092 |
平均比[%] | 100 | 44.82 | 52.27 | 62.1 | 67.16 | 68.66 | 71.12 | 72.83 | 73.51 | 73.92 | 74.61 |
前年月同比[%] | -1.64 | -17.9 | -23.88 | -24.81 | -8.981 | -7.373 | -26.43 | +0.661 | -28.84 | +3.541 | -24.48 |
これまでの子供服の推移


詳細なデータとグラフ
長袖Tシャツの現状と今後
2016年1月から2025年3月までのデータを踏まえると、日本全国における子供用長袖Tシャツの小売価格は徐々に上昇してきた傾向があります。2025年3月の最新の1カ月平均価格は1,464円であり、過去数年と比べても高水準です。この上昇は、近年の原材料費の高騰や物流コストの増加など、広範な経済的要因に起因しています。
価格が高い都市の特徴と背景
価格が高い都市の上位10は以下のとおりです:
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
---|---|---|
福岡 | 2,497円 | +58.14% |
宇都宮 | 2,237円 | -6.13% |
秋田 | 2,053円 | +14.76% |
金沢 | 1,954円 | -42.87% |
札幌 | 1,925円 | +21.30% |
鳥取 | 1,903円 | +26.03% |
新潟 | 1,870円 | +18.88% |
那覇 | 1,820円 | -4.56% |
横浜 | 1,791円 | +7.05% |
福井 | 1,773円 | -4.83% |
福岡の急激な価格上昇(+58.14%)は、インフレや購買力の回復、ブランド品や高機能素材の取り扱いの増加が要因と考えられます。また、札幌や鳥取も20%以上の上昇を記録しており、寒冷地特有の需要増加や流通コストの高騰が影響している可能性があります。
1方で金沢や宇都宮、那覇などは前年から価格が下がっており、これは過剰在庫処分や、地元量販店の価格競争が影響していると推察されます。
価格が低い都市とその背景
低価格帯の都市上位10は以下のとおりです:
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
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山口 | 656円 | -17.90% |
大津 | 765円 | -23.88% |
長野 | 909円 | -24.81% |
富山 | 983円 | -8.98% |
熊本 | 1,005円 | -7.37% |
鹿児島 | 1,041円 | -26.43% |
松江 | 1,066円 | +0.66% |
徳島 | 1,076円 | -28.84% |
甲府 | 1,082円 | +3.54% |
水戸 | 1,092円 | -24.48% |
これらの地域では、地場資本の衣料品店のシェアが高く、量販型で低価格の製品が多く流通している傾向があります。また、人口密度が比較的低く、需要が限られているため、価格競争が起こりにくい1方で、在庫処分などで急な値下げが行われるケースもあると見られます。
特に徳島(-28.84%)、鹿児島(-26.43%)などの大幅な下落は、消費者の節約志向や家計防衛意識の高まりを反映している可能性があります。
価格上昇の要因と問題点
原材料費の高騰
綿や合成繊維など、衣類の主要原材料の国際価格が上昇傾向にあります。加えて、為替の円安も輸入コストを押し上げています。
人件費と物流費の増加
アパレル産業全体で人件費の上昇が続いており、国内外の縫製工場のコストも増大。また、ガソリン代や運送業の人手不足により物流費も上がっています。
ブランド志向と機能性重視
子供服市場でも「安全性」「耐久性」「防寒性」など機能面に価値を求める消費者が増加し、それに伴って高機能な製品への需要が伸びています。
地域間での販売戦略の違い
都市部では高付加価値商品が多く、郊外では安価品を中心とした価格戦略がとられることが、価格の2極化を促しています。
今後の見通しと課題
子供服市場は少子化の影響で、長期的には市場縮小が予想されます。1方、1人当たりにかける衣類コストは上昇傾向にあり、高品質・高価格帯の製品に移行していく可能性があります。
また、価格の地域差が今後さらに拡大すれば、「地域ごとの購買機会の不均衡」や「教育・子育て支援格差」など、広範な社会問題にもつながる可能性があります。行政や小売業者には、価格の適正化と公平な供給の工夫が求められます。
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