2025年5月の女性用着物の全国平均価格は32.41万円で、前年比+3.221%。長野や那覇、津で20%以上の急騰が見られ、観光需要やセレモニー用途の回復が主因。地方都市で高価格帯の維持傾向が強く、今後も高付加価値化が進む見通し。
都市別の着物、女性用1枚の相場価格
都市 | 最新値[万円] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
平均 | 32.49 | +3.248 | |
1 | 長野 | 45.18 | +26.32 |
2 | 横浜 | 44.29 | +1.257 |
3 | 岐阜 | 43.43 | |
4 | 那覇 | 42.79 | +34.22 |
5 | 名古屋 | 42.33 | +5.425 |
6 | 岡山 | 40.51 | -0.361 |
7 | 津 | 40.15 | +24.05 |
8 | 神戸 | 39.64 | -2.172 |
9 | 松山 | 38.5 | +16.67 |
10 | 盛岡 | 37.69 | |
11 | 京都 | 37.17 | +1.808 |
12 | 前橋 | 36.9 | +9.666 |
13 | 仙台 | 36.88 | -1.993 |
14 | 熊本 | 36.81 | |
15 | 鹿児島 | 35.93 | |
16 | 広島 | 35.6 | |
17 | 東京都区部 | 35.14 | +5.718 |
18 | 長崎 | 34.9 | |
19 | 福井 | 33.37 | +3.623 |
20 | 千葉 | 33.28 | |
21 | 佐賀 | 32.67 | +11.36 |
22 | 松江 | 32.37 | |
23 | 宇都宮 | 31.72 | +20.98 |
24 | 秋田 | 31.61 | |
25 | 甲府 | 30.91 | |
26 | 鳥取 | 30.36 | |
27 | 高松 | 30.02 | |
28 | 高知 | 30 | |
29 | 福岡 | 29.98 | |
30 | 大阪 | 29.6 | -5.732 |
31 | 奈良 | 29.11 | |
32 | 和歌山 | 28.73 | |
33 | 山形 | 28.67 | |
34 | 札幌 | 28.11 | -10.37 |
35 | 富山 | 28.01 | +4.346 |
36 | 静岡 | 27.87 | |
37 | 青森 | 27.62 | |
38 | 山口 | 27.6 | +6.427 |
39 | 福島 | 27.13 | |
40 | 徳島 | 26.83 | |
41 | 大津 | 26 | |
42 | 新潟 | 25.67 | -8.549 |
43 | さいたま | 24.65 | +2.283 |
44 | 宮崎 | 24.43 | +7.636 |
45 | 金沢 | 24.39 | |
46 | 大分 | 22.66 | |
47 | 水戸 | 19.86 |

詳細なデータとグラフ
着物の小売価格の相場と推移
2025年5月時点の女性用着物1枚の全国平均価格は32.41万円です。これは日本の衣料品市場の中でも非常に高額な部類に入り、伝統性・素材・技術料の反映された特別な衣類であることが示されます。
前年比では+3.221%の上昇を示しており、1部の地域で非常に顕著な価格上昇が確認されています。着物は近年、文化的価値や観光需要、セレモニー需要の再評価を背景に市場価格が維持または上昇傾向にあります。
都市別価格の分布
都市名 | 価格(万円) | 前年比(%) |
---|---|---|
長野 | 45.18 | +26.32 |
横浜 | 44.29 | +1.257 |
岐阜 | 43.43 | ※不明 |
那覇 | 41.67 | +29.9 |
岡山 | 40.51 | -0.361 |
名古屋 | 40.21 | +0.137 |
津 | 40.15 | +24.05 |
神戸 | 39.64 | +2.341 |
松山 | 38.5 | +16.67 |
盛岡 | 37.69 | ※不明 |
最も高額なのは長野県(45.18万円)で、前年比+26.32%という急騰。那覇(+29.9%)、津(+24.05%)なども目立った伸びを見せており、地方都市を中心に価格上昇が顕著です。
価格上昇・下落の要因分析
▷ 上昇要因
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観光と文化需要の拡大 長野、那覇、松山などは観光地としての魅力が高く、レンタルや購入ニーズが観光客や外国人からも高まっていることが価格押上げ要因に。
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フォーマル需要の復活 成人式・結婚式・卒業式などフォーマルイベントへの着物需要がコロナ禍後に回復し、新品の着物購入需要が地方でも再浮上。
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職人不足と素材費の上昇 高級な正絹着物を中心に、職人の高齢化や後継者不足が進行しており、製造コストが上がっているため、価格に転嫁されていると考えられます。
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地方百貨店での高価格帯の維持 地方都市(長野・津・松山など)では、百貨店や専門店が1定の価格帯を維持して販売しており、安売り競争に巻き込まれない価格構造が形成されています。
▷ 下落または横ばいの要因
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地域密着型の流通競争 岡山(-0.361%)のように、着物専門店が価格訴求型のセールや展示販売を行う地域では、やや抑えた価格傾向。
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リユース市場の拡大による影響 高価な着物の代替手段として、リサイクル着物やレンタルサービスの利用が増加し、価格圧力となっている都市もあります。
これまでの価格推移の概観
2016年以降、着物の価格は大きな上下動はなく、緩やかな上昇基調を維持しています。特に2023年以降、観光需要の回復や円安、国内需要の底打ちなどにより、価格がじわじわと上昇している傾向が読み取れます。
地方での上昇率が高いのは、大都市よりも地域内の選択肢が少なく、地元業者が高価格帯を維持しやすいという構造的な要因も背景にあります。
今後の展望
今後、着物市場は「嗜好品化と高付加価値化」が進むと予想されます。普段使いからセレモニーや観光イベントなどの特別用途へと特化していき、高価格帯が1定の需要を保つでしょう。
1方で、レンタル・リユース市場との競合が激化することで、中低価格帯は縮小し、高級路線と簡便路線の2極化が進むと考えられます。
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