2025年4月時点での女性用着物の平均小売価格は32.49万円で、地域によって価格差が大きく、長野や横浜では高価格帯が見られます。業界は長期的な縮小傾向にあり、在庫過剰や職人の減少などの課題を抱えています。近年の価格上昇は、原材料費の高騰や需要の回復が主な要因であり、今後は伝統を守りつつ、現代のニーズに応える取り組みが求められます。
衣類・美容の都市別小売価格
着物価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長野 | 横浜 | 岐阜 | 那覇 | 名古屋 | 岡山 | 津 | 神戸 | 仙台 | 松山 |
最新値[万円] | 32.49 | 45.18 | 44.29 | 43.43 | 41.67 | 41.54 | 40.51 | 40.15 | 39.64 | 39.63 | 38.5 |
平均比[%] | 100 | 139.1 | 136.3 | 133.7 | 128.3 | 127.9 | 124.7 | 123.6 | 122 | 122 | 118.5 |
前年月同比[%] | +4.032 | +26.32 | +1.396 | +29.9 | +10.52 | -0.361 | +24.05 | +2.341 | +5.315 | +23.53 |
着物価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 水戸 | 大分 | 金沢 | 宮崎 | さいたま | 新潟 | 大津 | 徳島 | 福島 | 山口 |
最新値[万円] | 32.49 | 19.86 | 22.66 | 24.39 | 24.43 | 24.65 | 25.67 | 26 | 26.83 | 27.13 | 27.6 |
平均比[%] | 100 | 61.13 | 69.75 | 75.06 | 75.21 | 75.86 | 79.03 | 80.03 | 82.6 | 83.52 | 84.96 |
前年月同比[%] | +4.032 | +7.636 | +2.283 | -8.549 | +6.427 |
これまでの女性服の推移


詳細なデータとグラフ
着物の現状と今後
2025年4月時点での女性用着物の平均小売価格は32.49万円であり、2016年以降、価格は緩やかな上昇傾向にあります。特に2023年から2024年にかけては、全国的に価格が上昇し、消費者物価指数(CPI)も2025年1月に106.2を記録しています(2020年=100) 。jp.gdfreak.com
市場規模に関しては、2023年の呉服小売市場は前年比101.4%の2,240億円と推計され、2020年の大幅な減少から回復基調にあります 。しかし、1970年代のピーク時には1.8兆円から2兆円規模であったことを考えると、長期的には市場は縮小傾向にあります 。yano.co.jp+1yano.co.jp+1kimono-net.or.jp
地域別価格の特徴と背景
都市別に見ると、長野(45.18万円)、横浜(44.29万円)、岐阜(43.43万円)などが高価格帯に位置しています。これらの地域では、伝統的な染織技術や高品質な素材を用いた着物が多く、価格が高騰する傾向にあります。
1方、水戸(19.86万円)、大分(22.66万円)、金沢(24.39万円)などは比較的低価格です。これらの地域では、地元産の素材や簡素なデザインの着物が主流であり、価格を抑える要因となっています。
また、前年同期比での価格上昇率を見ると、那覇(+29.9%)、長野(+26.32%)、津(+24.05%)などが顕著であり、地域ごとの需要や観光業の回復が影響していると考えられます。
着物業界の課題と構造的問題
着物業界は長年にわたり縮小傾向にあり、特にバブル崩壊以降、需要の減少が続いています 。主な要因としては、以下の点が挙げられます。yano.co.jp
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生活様式の変化:洋装の普及により、日常的に着物を着用する機会が減少。
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高価格帯の固定化:高品質な着物が主流となり、価格が高騰。
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在庫の過剰:流通在庫が3~4兆円、タンス在庫が30~40兆円と推計され、需給バランスが崩れています 。
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販売チャネルの変化:ネット通販の割合が増加し、従来の販売方法が見直されています 。tbr.co.jpmeti.go.jp
これらの課題に対応するため、業界ではカジュアル着物の提案やイベントの開催など、新たな取り組みが進められています。
価格上昇の要因と今後の展望
近年の価格上昇の主な要因として、以下が考えられます。
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原材料費の高騰:絹や染料などの価格上昇が製品価格に影響。
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職人の減少:熟練職人の高齢化により、製造コストが増加。
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需要の回復:コロナ禍からの回復により、需要が増加。
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観光業の復活:インバウンド需要の回復が高価格帯の着物需要を刺激。kimono-net.or.jp+2yano.co.jp+2yano.co.jp+2
今後、業界は伝統を守りつつ、現代のニーズに応える製品開発や販売戦略が求められます。特に、若年層や海外市場へのアプローチが重要となるでしょう。
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