女性用上着の小売価格は全国平均で2.541万円となり、金沢や岡山などで高価格、松江や高松などで低価格傾向が見られます。背景には地域経済や購買行動の違い、観光需要や気候の影響、さらには原材料価格や人件費の上昇があります。今後も地域ごとの価格二極化が進む可能性があります。
衣類・美容の都市別小売価格
上着価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 金沢 | 岡山 | 山形 | 福島 | 津 | 山口 | 横浜 | 静岡 | 札幌 | 大津 |
最新値[万円] | 2.541 | 3.57 | 3.296 | 2.996 | 2.959 | 2.959 | 2.922 | 2.919 | 2.904 | 2.904 | 2.886 |
平均比[%] | 100 | 140.5 | 129.7 | 117.9 | 116.5 | 116.5 | 115 | 114.9 | 114.3 | 114.3 | 113.6 |
前年月同比[%] | +4.603 | +3.18 | +7.151 | +2.512 | +17.29 | +25.31 | +8.141 | +7.278 | +20.88 | +17.86 | +3.963 |
上着価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高松 | さいたま | 松江 | 奈良 | 徳島 | 秋田 | 盛岡 | 宇都宮 | 名古屋 | 仙台 |
最新値[万円] | 2.541 | 1.489 | 1.908 | 1.958 | 1.969 | 1.973 | 2.051 | 2.071 | 2.123 | 2.143 | 2.145 |
平均比[%] | 100 | 58.59 | 75.1 | 77.07 | 77.5 | 77.64 | 80.72 | 81.52 | 83.56 | 84.34 | 84.41 |
前年月同比[%] | +4.603 | -7.934 | +3.448 | -34.07 | -5.622 | -3.583 | -11.12 | +17.69 | -6.463 | +6.846 | +4.814 |
これまでの女性服の推移


詳細なデータとグラフ
上着の現状と今後
日本における女性用上着の最新月(2025年3月)の全国平均小売価格は2.541万円となっており、過去数年と比較しても上昇傾向が続いている。物価全体の上昇、素材価格の高騰、輸送費や人件費の上昇といった要因が複合的に影響している。
2016年以降のデータを俯瞰すると、特に2022年以降からの価格上昇が顕著であり、パンデミック後の供給制限や円安による輸入コスト増が価格を押し上げる主要因となっている。
上着価格が高い都市の特徴と背景
1位:金沢(3.57万円 / +3.18%)
伝統工芸や観光地としてのブランド力が強く、ハイクラスな衣料品の需要が安定している。観光客向けの商品ラインが価格上昇を牽引している可能性がある。
2位:岡山(3.296万円 / +7.151%)
デニム生産地として有名な岡山は、高品質なアウター製品の供給地。地域ブランドに支えられた強い価格帯が維持されている。
3位:山形(2.996万円 / +2.512%)
気候的に防寒用アウターの需要が高く、地域の特性に合わせて単価が上がる傾向。高品質な衣料品需要も根強い。
その他の注目地域:
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福島(+17.29%)や津(+25.31%)のように急激な上昇が見られる都市では、地域の再開発や地域消費の回復によって需要が拡大している可能性がある。
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静岡、札幌、横浜といった都市でも+17〜21%の増加率を示しており、観光需要や都市回帰による購買行動の活発化が影響。
上着価格が低い都市の特徴と背景
最下位:高松(1.489万円 / -7.934%)
全国平均の約6割という水準。低価格志向の消費者が多い地域であり、価格競争が激しい。
松江(1.958万円 / -34.07%)・奈良(1.969万円 / -5.622%)
このエリアでは購買力の低下や消費者の節約志向が強く表れており、低価格での販売が主流。とりわけ松江は大幅下落で、衣料消費の冷え込みが深刻と見られる。
秋田(2.051万円 / -11.12%)・宇都宮(2.123万円 / -6.463%)など
地方都市の1部では人口減少や購買行動の変化による市場縮小が背景にあり、値下げで対応しているケースが多い。
都市別価格の格差と構造的課題
上着1着の価格に最大で2万円以上の差が見られることは、地域経済の格差、人口動態、気候、地域文化の違いを映し出している。
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冬の寒さが厳しい地域ほど高機能なアウターの需要があり、価格も上昇。
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都市部ではデザイン性やブランド志向が強く、価格は高止まり。
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地方では機能重視・コストパフォーマンス重視の傾向があり、価格が抑えられている。
こうした格差は、地域消費の構造的な違いがもたらしており、単なる物価上昇では語れない社会的背景を持つ。
価格上昇の背景と今後の見通し
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原材料価格の上昇(ウールやダウンなどの高騰)
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製造コストの増加(人件費、国内縫製の希少性)
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為替の影響(円安による輸入品の価格上昇)
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ブランド戦略(高価格帯への移行による差別化)
今後も、物価上昇基調と円安が続けば、都市部を中心にさらなる価格上昇が見込まれる。ただし、購買力の低下した地域では低価格帯商品のニーズが高まり、価格2極化が進行する可能性がある。
まとめ:地域経済の鏡としての上着価格
女性用上着の小売価格は、単なる衣料の値段ではなく、地域の暮らしや経済の縮図とも言える存在だ。今後も物価変動の指標として注視すべき分野である。
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