女性用セーターの平均価格は4,334円で、高松や津では8,800円と突出し、高知や福岡でも大幅な価格上昇が見られます。一方で枚方や柏などでは1,600円台まで落ち込み、都市間で5,000円以上の価格差が存在。背景には原材料費の高騰や地域経済、流通の変化などがあり、今後も価格の二極化が進むと予測されます。
衣類・美容の都市別小売価格
セーター価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高松 | 津 | 長崎 | 川口 | 福岡 | 高知 | 堺 | 郡山 | 旭川 | 金沢 |
最新値[円] | 4334 | 8800 | 8800 | 8173 | 7300 | 6856 | 6853 | 6820 | 6787 | 6645 | 6595 |
平均比[%] | 100 | 203 | 203 | 188.6 | 168.4 | 158.2 | 158.1 | 157.3 | 156.6 | 153.3 | 152.2 |
前年月同比[%] | +9.564 | +119 | +111.9 | +12.36 | +7.908 | +190 | +256 | +3.068 | +13.27 | +80.77 | +10.82 |
セーター価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 柏 | 枚方 | 小山 | 富士 | 大津 | 浜松 | 府中 | 大阪 | 長岡 | 大分 |
最新値[円] | 4334 | 1639 | 1650 | 2126 | 2130 | 2158 | 2200 | 2333 | 2484 | 2542 | 2743 |
平均比[%] | 100 | 37.81 | 38.07 | 49.05 | 49.14 | 49.79 | 50.76 | 53.82 | 57.31 | 58.65 | 63.28 |
前年月同比[%] | +9.564 | -53.82 | -16.2 | -34.45 | -27.15 | +33.39 | -28.76 | +1.761 | -22.51 |
これまでの女性服の推移


詳細なデータとグラフ
セーターの現状と今後
2025年3月時点での全国平均価格は4,334円。2011年から2025年にかけては、1貫した上昇ではなく波を伴った緩やかな増加傾向が見られる。特に2023年以降は明確な価格上昇局面に入っており、2024〜2025年にかけて急激な変化が顕在化した。
この背景には、エネルギー価格の上昇、原材料の価格高騰(特にウール・アクリル)、物流費の増大に加え、国内外でのインフレ圧力が大きく影響している。
セーター価格が高い都市の特徴と変動要因
高松・津(各8,800円/前年同期比 +119%、+111.9%)
全国平均の2倍以上という極端な高値。地域特化型の高価格帯商品の導入や、地場百貨店での高品質ラインの展開が影響している可能性が高い。特に津は前年からの上昇幅が大きく、流通構造の変化があったと推察される。
長崎(8,173円/+12.36%)
観光都市としての需要に加え、秋冬衣料の地元消費が強く、中〜高価格帯のセーター需要が根強い地域。比較的安定した上昇。
福岡(6,856円/+190%)、高知(6,853円/+256%)
2024年から2025年にかけて爆発的な価格上昇が観測された。これは流通構造の再編、量販店の撤退や高級ブランドの進出など、地場の衣料品市場の急激な変動を示唆している。
川口、郡山、旭川など
いずれも6,500〜7,300円のレンジで、全国的に見ても比較的高価格帯。人口規模や所得水準、気候の影響などが価格を押し上げている。冬季が厳しい地域ほど価格水準が高めであることも特徴。
セーター価格が低い都市の特徴と変動要因
柏(1,639円)、枚方(1,650円/-53.82%)、小山(2,126円/-16.2%)
これらの都市では大幅な価格下落が確認されている。これはアウトレット型店舗の拡大やファストファッションブランドの台頭、セール販売の定常化が関与している。
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枚方では前年から半額近い急落が発生しており、競争の激化、在庫処分的な売り方、もしくは安価輸入製品の増加が要因とみられる。
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柏や小山といった関東圏では低価格志向がより強く、セーターの価格もシビアに抑えられている。
富士、大津、浜松など
富士(2,130円)、浜松(2,200円/-27.15%)など、静岡県周辺でも価格低下が目立つ。人口減少地域で購買力が縮小する中、販売単価を下げる戦略が採用されている。
長岡(2,542円/+1.76%)、大分(2,743円/-22.51%)
地方都市では価格変動が緩やかだが、下落傾向の方が優勢。全体として、価格帯の地域格差が顕著に出ている。
価格格差とその構造的要因
価格が高値圏の都市では8,000円超、低値圏では1,600円台と、差額が5,000円以上開いており、これはセーターというアイテムにしては非常に大きな地域差である。
要因は以下の通り:
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流通構造の違い(大型店 vs 個人経営店)
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購買層の嗜好(高級志向 vs 実用志向)
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気候差(寒冷地では高機能品が重視される)
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地域所得と人口構成(若年層中心 vs 高齢化地域)
特に、2024〜2025年にかけての1部都市における価格爆発は、通常のインフレでは説明しきれない急変動であり、流通網の再編や特定小売チェーンの動向が関与している可能性がある。
セーター価格上昇の要因と今後の展望
主な価格上昇要因:
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素材価格の高騰:ウール、カシミヤの国際相場上昇
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製造地のシフト:中国・ベトナムからの輸入減と国内生産のコスト高
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エネルギー・輸送費の増加:物流費インフレの波及
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為替の影響:円安により輸入原材料・製品が高騰
今後の見通し:
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都市間格差の拡大傾向は継続:地域ごとの消費構造の違いがより明確に
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価格2極化が進行:ファストファッション vs 高価格ブランドの棲み分け
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地方都市では価格下落圧力:人口減・需要減退で価格維持が困難に
まとめ:セーター価格に表れる地域社会と経済の変容
女性用セーターの価格動向からは、単なる衣料費の話にとどまらず、地域経済の差異、人口動態、気候、消費者嗜好の変化までもが見えてくる。価格は1種の「社会の温度計」としての機能を果たしており、今後もその動向に注目が必要である。
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