2025年世界の失業率ランキングと課題:高失業国の構造分析

世界経済



2025年の失業率はスーダンが61.99%と最悪で、南アフリカやアルメニアなども高水準。統計の裏には教育制度の不備、政情不安、産業構造の問題が潜む。見かけの数字以上に深刻な構造的失業が多く、制度改革と人材育成が今後の鍵となる。

世界経済のデータとグラフ

失業率、国別今年の予想

2025年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 スーダン 南アフリカ ジョージア アルメニア ボスニア・ヘルツェゴビナ モロッコ 北マケドニア ウクライナ スペイン コロンビア
最新値[%] 61.99 32.78 13.9 13.5 13.2 13.18 12.84 11.57 11.14 10
前年比[%] +1.869 -0.0549 +3.846 -0.917 -1.299 -11.66 -1.851 -1.555

失業率の推移

失業率推移
予想データ

 

詳細なデータとグラフ

 

失業率の現状と今後

失業率とは、労働力人口のうち仕事を求めているが職に就けていない人の割合です。主に以下のような意義があります:

  • 景気のバロメーター(景気が悪化すれば上昇)

  • 構造的な雇用ミスマッチの反映

  • 政府の経済政策や社会保障制度の健全性の測定ツール

特に若年層や女性層の失業率は、経済の将来性や教育制度の効果も反映します。


2025年世界の失業率の実態

IMFによる2025年の最新予測では、次の国々が高失業率を記録しています。

国名 失業率(2025年) 前年比増減幅
スーダン 61.99% +1.869%
南アフリカ 32.78% -0.0549%
ジョージア 13.9%
アルメニア 13.5% +3.846%
ボスニア・ヘルツェゴビナ 13.2%
モロッコ 13.18% -0.917%
北マケドニア 12.84% -1.299%
ウクライナ 11.57% -11.66%
スペイン 11.14% -1.851%
コロンビア 10% -1.555%

特にスーダンと南アフリカは、長年高失業率が常態化している国々です。


高失業率国の背景にある構造的要因

スーダン(61.99%)

  • 内戦と政情不安で経済が麻痺

  • 企業活動の縮小、農村部の労働需要消滅

  • 正確な統計が困難な中でも、失業の深刻さは圧倒的

南アフリカ(32.78%)

  • 教育とスキルのミスマッチ

  • 若年層の失業率が圧倒的に高く、“失業の世代継承”が進行

  • 移民問題と産業構造の変化が拍車をかける

アルメニア・ジョージア・ボスニアなど旧ソ連・旧ユーゴ圏

  • 高学歴人材の国内需要不足

  • 移民頼みの経済構造による若年層の流出と国内失業の固定化


南欧・北アフリカ圏に共通する特徴

スペイン、モロッコ、北マケドニアといった国々では、次のような共通点があります:

  • 建設業・観光業など季節労働への依存

  • 大卒者の職不足と若者の過剰供給

  • 女性の労働3加率が低く、見かけの失業率が高く出やすい傾向


失業率の前年比変化幅から読み取れる傾向

国名 増加傾向 減少傾向
増加 スーダン、アルメニア
減少 南アフリカ、モロッコ、北マケドニア、ウクライナ、スペイン、コロンビア

ウクライナは戦争下にもかかわらず前年比で11.66%の大幅減。これは主に「国外避難により統計上の労働人口が激減した」ことが影響しています。つまり、失業者が消えたのではなく、統計上から外れただけという見方が適切です。


失業率に隠された「見えない失業」

  • 非労働力化(求職を諦めた人々)

  • インフォーマル経済(統計に反映されない労働)

  • 若者や女性が家庭に「閉じ込められる」文化的背景

これらの存在により、公表失業率は過少評価されがちです。特に中東・アフリカ地域では、労働市場の実態と数値が大きく乖離しています。


今後の展望と対応策

明るい材料

  • 技術革新によりリモートワークや国際的雇用の選択肢が拡大

  • 各国で職業訓練プログラムや若年雇用支援策が強化されつつある

残る課題

  • 教育と産業の接続の弱さ

  • 政治的安定が前提となる政策の持続性

  • 民間投資を呼び込む法制度整備の遅れ

特にアフリカや旧ソ連圏では、「内発的な雇用創出」が政策の中心となるべきです。


まとめ:失業率は「国の制度力」を測る指標

CPI(インフレ率)と並んで、失業率は国の経済的健全性を測る代表的な指標です。ただのパーセンテージではなく、その背後には政治、教育、文化、歴史が複雑に絡んでいることを理解することが重要です。

失業率の改善は、短期的には景気刺激策で可能でも、長期的には教育と制度改革の積み重ねが鍵を握ります。

 

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