日本の大工手間代は、地域によって大きな差が見られます。2025年3月時点の全国平均は1日2.228万円で、最も高い柏市では4.4万円と平均の約2倍。一方、鹿児島市などでは1.5万円と低水準です。高額地域では需要過多や技能者不足が背景にあり、今後も高水準が続くと予想されます。一方、地方では工事需要の減少や人件費の抑制が影響しており、格差の拡大が懸念されています。
住宅関連の都市別小売価格
大工手間代の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 柏 | 京都 | 青森 | 相模原 | さいたま | 川崎 | 甲府 | 仙台 | 郡山 | 札幌 |
最新値[万円] | 2.228 | 4.4 | 3.135 | 2.97 | 2.915 | 2.875 | 2.863 | 2.805 | 2.8 | 2.7 | 2.64 |
平均比[%] | 100 | 197.5 | 140.7 | 133.3 | 130.8 | 129 | 128.5 | 125.9 | 125.7 | 121.2 | 118.5 |
前年月同比[%] | 3.7 | 0 | 10.68 | 20 | 17.78 | 0 | 6.51 | 0 | 0 | 8 | 0 |
大工手間代の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 高知 | 今治 | 那覇 | 北九州 | 高松 | 日立 | 津 | 八王子 | 松山 |
最新値[万円] | 2.228 | 1.5 | 1.63 | 1.65 | 1.68 | 1.689 | 1.736 | 1.75 | 1.769 | 1.8 | 1.8 |
平均比[%] | 100 | 67.32 | 73.15 | 74.05 | 75.37 | 75.79 | 77.9 | 78.53 | 79.37 | 80.78 | 80.78 |
前年月同比[%] | 3.7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | -2.703 |
これまでの住宅工事費の推移


詳細なデータとグラフ
大工手間代の現状と今後
日本における住宅建設業の現場では、大工の手間代(労務費)は重要なコスト要素のひとつです。2010年から2025年3月までのデータに基づいて、大工手間代の1日あたりの価格動向、都市別の特徴、問題点、そして今後の価格推移について解説します。
大工手間代の全国的な動向
最新の全国平均の大工手間代は1日あたり2.228万円です。2010年以降の傾向としては、人手不足や高齢化の影響で徐々に上昇傾向にあります。特に首都圏や大都市圏では人件費の高騰が顕著であり、熟練工の確保が困難になっているため、単価の上昇は不可避です。
高額地域の特徴
高額地域トップは柏市で1日あたり4.4万円と、全国平均の197.5%に達しています。次いで京都(3.135万円)、青森(2.97万円)、相模原(2.915万円)、さいたま(2.875万円)などが続きます。
これらの地域に共通する特徴は以下の通りです:
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建築需要が安定または高水準である(例:住宅新築やリフォーム需要)
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熟練工の人手不足が深刻
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地域内での物価水準が比較的高い
特に柏や京都では、都市部に近く、住宅密集地で施工ニーズが高いため、手間代の上昇が顕著です。
低額地域の特徴
一方、手間代が最も低いのは鹿児島市で1.5万円(全国平均の67.32%)。続いて、高知(1.63万円)、今治(1.65万円)、那覇(1.68万円)などが低水準となっています。
これらの地域では:
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建築需要が限定的
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労働人口の流出により労働単価の抑制傾向
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地域経済全体の低迷が影響
また、地方では地元密着型の中小建設会社が多く、価格競争が激しいことも影響していると考えられます。
現在の課題
大工手間代に関する主な課題は以下のとおりです:
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若年層の大工離れにより技能者の供給不足
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高齢大工の引退による技術継承の問題
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都市部と地方部の価格格差の拡大
これらの課題は、日本全体の建設産業の構造問題に直結しており、今後の対策が急務です。
今後の展望と価格推移の見通し
今後、大工手間代は以下の要因によってさらなる上昇が予想されます:
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人材育成・確保に向けたインセンティブ政策の導入
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DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化
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インフラ老朽化に伴う建築需要の高まり
一方で、地域間格差の是正や、リフォーム市場の拡大による需要の分散など、価格安定化を図る動きも期待されています。
おわりに
日本における大工手間代の価格は、地域ごとの経済状況や建築需要、労働環境によって大きく左右されています。今後は業界全体での人材確保や技術継承の仕組み作りが鍵となり、価格動向にも直接的な影響を及ぼすでしょう。
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