大人用紙おむつ価格の地域差と上昇要因|高齢化時代の衛生用品事情

医療・保険



2025年3月時点での大人用紙おむつ10枚の全国平均は901.3円。盛岡や札幌など物流や高齢化率が影響する地域では価格が高めで、一部では前年比6%超の上昇も見られます。一方、和歌山や静岡、那覇などでは価格が低く、競争や自治体支援が影響しています。高齢化が進む中、価格上昇への対策が急がれます。

衛生用品の医療・保険

大人用紙おむつの高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 盛岡 山形 高松 札幌 松山 徳島 広島 鳥取 宇都宮 岐阜
最新値[円] 901.3 936 931 928 928 926 926 924 922 919 918
平均比[%] 100 103.8 103.3 103 103 102.7 102.7 102.5 102.3 102 101.9
前年月同比[%] 0.68 2.744 0 1.2 1.754 4.633 0.108 -0.752 4.181 6.613 0.548

大人用紙おむつの低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 和歌山 宮崎 鹿児島 前橋 山口 静岡 那覇 水戸 甲府 京都
最新値[円] 901.3 842 847 852 859 859 862 877 887 887 888
平均比[%] 100 93.42 93.97 94.53 95.3 95.3 95.64 97.3 98.41 98.41 98.52
前年月同比[%] 0.68 0 0 1.429 2.506 0 -1.033 -3.626 0 0 0.68

 

これまでの大人用紙おむつの推移

大人用紙おむつ
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

大人用紙おむつの現状と今後

高齢化が進行する日本において、大人用紙おむつは医療・介護現場や家庭で欠かせない衛生用品です。その価格変動は、介護費用や高齢者の生活の質に大きな影響を及ぼします。本章では2014年から2025年3月までの価格推移や地域差、価格上昇の背景について総合的に解説します。


全国平均価格と長期的傾向

2025年3月時点における全国平均価格は901.3円(10枚あたり)となり、ここ数年で徐々に上昇傾向にあります。特に2020年以降、物価全体の上昇や物流コストの高騰などの要因が影響し、価格の上昇が加速しています。


価格が高い都市の特徴と要因

上位10都市と価格は以下の通りです:

  • 盛岡(936円/+2.744%)

  • 山形(931円)

  • 高松(928円/+1.2%)

  • 札幌(928円/+1.754%)

  • 松山(926円/+4.633%)

  • 徳島(926円/+0.108%)

  • 広島(924円/-0.752%)

  • 鳥取(922円/+4.181%)

  • 宇都宮(919円/+6.613%)

  • 岐阜(918円/+0.548%)

これらの都市に共通する傾向には、以下の要素が挙げられます:

  • 物流が不便な地域や、冬季の輸送コストが高くなる地域(例:盛岡、山形、札幌)

  • ドラッグストアの競争が相対的に少ない中核都市(高松、徳島、松山など)

  • 地域の高齢化率が高く、安定した需要があるが価格競争が限定的

特に宇都宮の6.6%増、松山の4.6%増、鳥取の4.1%増など、前年と比べて急上昇している都市も見られます。これらの背景には、人手不足による流通コスト上昇や、メーカー側の値上げが挙げられます。


価格が低い都市の特徴と安値維持の工夫

下位10都市と価格は以下の通りです:

  • 和歌山(842円)

  • 宮崎(847円)

  • 鹿児島(852円/+1.429%)

  • 前橋(859円/+2.506%)

  • 山口(859円)

  • 静岡(862円/-1.033%)

  • 那覇(877円/-3.626%)

  • 水戸(887円)

  • 甲府(887円)

  • 京都(888円/+0.68%)

安価な地域には以下のような共通点があります:

  • 流通網が発達しており、仕入れコストを抑えやすい(静岡、京都)

  • 地域密着型のドラッグストアが多く、競争によって価格が抑制されやすい

  • 人口密度が高すぎず、流通が効率的に機能している(和歌山、前橋、宮崎)

特に注目すべきは那覇の前年比-3.6%、静岡の-1.0%といった価格の下落傾向です。これは、地方自治体による介護用品支援の一環や、大手チェーンの出店に伴う価格競争が影響している可能性があります。


価格上昇の主な要因とその影響

原材料の高騰と為替の影響

紙おむつには吸収ポリマーなど石油化学原料が使用されており、円安や原油高がコストを押し上げています。

輸送・物流の問題

全国的なトラックドライバー不足、燃料費の上昇、地域間格差による配送コストの偏りが影響しています。

高齢化と需要の変化

需要の安定により供給側が価格を引き上げやすく、特に地方の高齢化率が高い地域では価格転嫁が進んでいる可能性があります。

介護保険制度と支援体制の格差

自治体によっては介護用品の助成制度が存在し、価格に反映されにくい地域差が生じています。


今後の展望と社会的課題

大人用紙おむつの価格上昇は、高齢者本人のみならず、介護する家族や施設運営にも大きな影響を与えます。高齢化の進行が続く中で以下の対応が求められます:

  • 自治体による購入補助や地域ポイント制度の整備

  • 国内生産比率の向上によるコスト安定化

  • 中小企業による流通の工夫と競争力の強化

  • ネット販売の活用による価格格差の是正

また、ケアにかかる費用の見える化を進め、社会全体で介護を支える体制構築が急務です。

 

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