日本の塩さけ100gの小売価格は近年上昇傾向にあり、2025年3月の全国平均は296.2円。特に西宮や北九州などの都市では価格が高く、一方で青森や鹿児島などの地方都市でも前年比80%以上の急騰が見られます。価格上昇の主因は円安、漁獲量の減少、加工・輸送コストの増加など複合的です。今後も価格高騰が続く見通しの中、国産安定供給の強化や消費者の工夫が求められています。
惣菜・外食の都市別小売価格
塩さけの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 西宮 | 北九州 | 富士 | 福井 | 札幌 | 八王子 | 松山 | 大津 | 和歌山 | 宮崎 |
最新値[円] | 296.2 | 381 | 372 | 354 | 351 | 340 | 340 | 339 | 338 | 333 | 328 |
平均比[%] | 100 | 128.6 | 125.6 | 119.5 | 118.5 | 114.8 | 114.8 | 114.5 | 114.1 | 112.4 | 110.8 |
前年月同比[%] | 10.49 | 50 | 3.911 | 14.19 | 7.669 | 19.3 | 36 | -1.166 | 12.67 | 14.43 | 7.895 |
塩さけの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 青森 | 鹿児島 | 郡山 | 盛岡 | 八戸 | 旭川 | 鳥取 | 宇都宮 | 小山 | 長野 |
最新値[円] | 296.2 | 243 | 246 | 247 | 252 | 254 | 256 | 257 | 259 | 260 | 263 |
平均比[%] | 100 | 82.05 | 83.06 | 83.4 | 85.09 | 85.76 | 86.44 | 86.78 | 87.45 | 87.79 | 88.8 |
前年月同比[%] | 10.49 | 10.45 | 4.681 | 6.009 | 16.13 | 4.959 | 20.75 | 2.39 | 4.016 | -1.141 | 11.44 |
これまでの惣菜・魚等の推移


詳細なデータとグラフ
塩さけの現状と今後
日本における塩さけの価格は、2010年以降、全体として緩やかな上昇傾向を示してきました。とくに2020年代に入ってからは、円安や輸送コストの上昇、原材料の高騰、さらに世界的な海産物需要の増加など複合的な要因により価格が一層上昇しています。
2025年3月時点での全国平均価格は100gあたり296.2円であり、過去と比較しても高水準にあります。特に直近1年での価格上昇は顕著で、地域によっては前年比で80%を超える上昇率が確認されています。
都市別に見る価格の高低と特徴
高価格帯の都市
塩さけ価格の高い都市では、西宮(381円)、北九州(372円)、富士(354円)などが挙げられます。西宮に至っては前年比+50%という非常に高い伸びを示しており、高所得層の多い地域では高品質な鮭を扱う高級スーパーや百貨店の影響も強く出ています。
また、札幌(340円)や八王子(340円)などの都市も全国平均を大きく上回っており、北海道などの鮭産地でもある札幌では、質の高い商品に対する消費者のニーズが高いことが背景にあります。
低価格帯の都市
一方、青森(243円)、鹿児島(246円)、郡山(247円)などの地方都市では、比較的低価格で販売されています。しかし注目すべきは、これら低価格都市においても前年比80%を超える急激な価格上昇が見られる点です。例えば、青森では前年同期比+82.05%、鹿児島では+83.06%と、価格の上昇率は全国でも上位に入ります。
このように、低価格地域での価格上昇が特に著しく、物価高騰の影響が全国に広がっていることを示しています。
価格高騰の主な要因
為替相場の影響
近年の円安傾向により、輸入水産物の価格が上昇しています。塩さけの多くはロシアやアメリカなどからの輸入に依存しており、為替レートの変動が小売価格に直結しています。
原材料・加工コストの上昇
塩さけの製造には冷凍・塩蔵・輸送・包装といった複数の工程が関与しており、それぞれにかかるコスト(人件費、燃料費、資材費など)の上昇も価格に転嫁されています。とくに物流業界の人手不足や、燃料価格の高騰が大きな影響を及ぼしています。
天候・漁獲量の不安定化
近年の地球温暖化や気候変動により、鮭の漁獲量が不安定になっています。例年に比べて漁獲量が落ち込むと供給が絞られ、価格は上昇します。特に日本近海での鮭漁の不振は、国産塩さけの価格を引き上げています。
今後の見通しと対策の方向性
今後も塩さけ価格の高騰傾向は続く可能性があります。とくに円安基調が継続し、燃料価格や人件費が上昇する中では、これまでのような手頃な価格での提供は難しくなります。
しかしながら、冷凍技術や物流の効率化、国産の鮭の安定供給体制の強化などにより、価格の抑制につながる施策も模索されています。また、消費者にとっても、特売やまとめ買いなどで価格上昇への対処が求められます。
まとめ
塩さけ100gの価格動向は、国内外の経済状況や漁業資源の変化を反映する重要な指標です。地域による価格差は流通形態や購買力、需要の質によって左右されますが、いずれの地域でも近年の価格高騰は生活者にとって無視できない問題となっています。価格上昇の背景を理解し、持続可能な食生活と流通体制の構築が今後の課題といえるでしょう。
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