タンスの地域別支出では、北海道や大都市で大幅増が見られた一方、四国や小都市で大幅減少が目立ちます。収納需要や気候、住宅構造、人口動態が支出に影響しており、今後は都市部での需要増と地方での縮小という二極化が進むと見られます。家具の機能性や生活様式の変化がカギです。
地域別のタンス
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 九州・沖縄 | 北海道 | 大都市 | 関東 | 全国 | 近畿 | 小都市B | 小都市A | 中都市 | 四国 |
最新値[円] | 96.64 | 187 | 180 | 151 | 122 | 105 | 92 | 86 | 82 | 82 | 75 |
前年月同比[%] | -24.33 | -27.8 | +39.53 | +135.9 | +17.31 | -11.76 | +22.67 | -48.19 | -29.31 | -47.1 | -64.62 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
家具、特にタンスの支出は、地域によって大きな違いがあります。住宅の間取り、気候、生活様式、所得水準などが複雑に絡み合い、地域ごとの特徴的な支出傾向を形成しています。ここでは、2002年から2025年3月までの長期データをもとに、タンスの地域別支出の動向と今後の見通しを読み解きます。
最新の地域別支出状況
最新データに基づく月間支出平均は96.64円。地域ごとの支出は以下の通り:
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九州・沖縄:187円(前年比 -27.8%)
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北海道:180円(+39.53%)
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大都市:151円(+135.9%)
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関東:122円(+17.31%)
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全国平均:105円(-11.76%)
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近畿:92円(+22.67%)
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小都市B:86円(-48.19%)
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小都市A・中都市:82円(A -29.31%、中 -47.1%)
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四国:75円(-64.62%)
このデータから、都市規模や地域性によって支出に極端な差があることが分かります。
地域ごとの特徴と背景
九州・沖縄・北海道:支出額が高く増減も大きい地域九州・沖縄や北海道では、気候や住宅事情が他地域と異なります。湿気が多く、収納の工夫が求められることがタンス需要を押し上げていると考えられます。ただし、九州・沖縄は前年比で大幅減。これは既存家具の保有率が高まったことや、新たな家具購入の停滞による可能性があります。一方で北海道は+39.5%と増加しており、冬季対策としての衣類収納需要や、住宅改善の進展が背景にあると見られます。
大都市・関東:タンス復活の兆し大都市部では+135.9%と大幅増。都市部のマンションには収納スペースが限られるケースが多く、タンスによる補完需要が高まっていることが考えられます。また、都心部での生活の多様化や「家具の持ち帰り需要(狭小住宅向け)」も関係しています。関東圏でも+17.3%と堅調な伸びを見せています。
近畿:控えめな増加近畿では+22.67%と地味ながらも安定した増加。京都・大阪などでは古い住宅も多く、タンスに頼る生活様式が一定層で続いていると予想されます。関西文化に根差した「大事に使い続ける」傾向も関係している可能性があります。
小都市・中都市・四国:支出が急減する地域特に小都市や四国では、支出の大幅減が顕著です。これは地方における人口減、若年層の都市部流出、高齢化の進展が背景にあります。買い替え需要の停滞、不要家具の処分のしにくさ、ミニマリズムの浸透なども影響しています。
地域ごとの問題と課題
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物流・搬入の問題:地方や山間部では、大型家具の搬入コストが高くなる傾向があり、タンスのような重厚な家具は敬遠されがちです。
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ライフスタイルの変化:都市部では収納家具の再評価が進む一方、地方では「家具を持たない」暮らし方が定着しつつあります。
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中古市場やリユースの活用:地域によっては新品ではなく中古家具が主流となるため、統計上の支出額に反映されにくい傾向も考慮すべきです。
今後の展望と予測
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都市部での需要拡大:収納不足や間取りの制約から、都市部ではタンスへの再評価が進むと予測されます。特に組み立て式や省スペース型の製品が主流になるでしょう。
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地方ではさらに減少へ:高齢化・人口減少が進む地方では、今後もタンスの購入は縮小する傾向にあります。代わりにリサイクルやシェアリングの利用が増える可能性も。
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地域差の拡大:全体として地域ごとの差はますます広がり、「都市vs地方」「寒冷地vs温暖地」といった構図で消費パターンが分かれるでしょう。
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