2025年3月の地域別データから、食卓セットの支出は北海道や中国地方で高く、関東や東海では大幅減少。都市部ではミニマル志向や家具サブスクが普及し、大型家具離れが進行。地方では持ち家志向や家族世帯の維持により需要が維持されている。今後は地域間格差が拡大する可能性も。
地域別の食卓セット
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北海道 | 中国 | 九州・沖縄 | 大都市 | 北陸 | 四国 | 全国 | 関東 | 小都市B | 東海 |
最新値[円] | 131.1 | 263 | 246 | 168 | 166 | 123 | 120 | 117 | 113 | 110 | 107 |
前年月同比[%] | -20.83 | +1.154 | +74.47 | +44.83 | -40.29 | +392 | -6.25 | -43.48 | -66.86 | +5.769 | -17.05 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
家具、とりわけ食卓セットは生活文化の表れであり、地域ごとの世帯構成・住環境・購買行動を色濃く反映します。全国平均131.1円という月間支出の背後には、地域差による家族形態、物価水準、物流事情の違いが見て取れます。本稿では2017年から2025年3月までのデータを基に、地域別の傾向とその背景、そして今後の推移を丁寧に解説します。
データ全体の概観 ― 支出額の地域差と注目ポイント
地域 | 月間支出額(円) | 前年同期比(%) |
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北海道 | 263 | +1.154 |
中国 | 246 | +74.47 |
九州・沖縄 | 168 | +44.83 |
大都市 | 166 | -40.29 |
北陸 | 123 | +392 |
四国 | 120 | -6.25 |
全国平均 | 117 | -43.48 |
関東 | 113 | -66.86 |
小都市B | 110 | +5.769 |
東海 | 107 | -17.05 |
この表から、北日本と中国・九州地方の支出が高く、関東・東海の大都市圏は支出が低下傾向であることが明らかになります。
地域ごとの特徴と支出動向の背景分析
北海道(263円/+1.154%)
高い支出を維持する背景には、広い住宅空間と寒冷地仕様の家具需要があります。家具を「長く使うもの」として一度に高品質なものをそろえる傾向が強く、オンライン購入よりも実店舗での家具購入が今なお主流です。
中国地方(246円/+74.47%)
大幅増加が目立つ中国地方は、世帯構成の変化(核家族化)や転居の増加が背景にあります。地方中核都市の開発や新築戸建ての建設ラッシュにより、新たに家具を購入する層が増加したと推察されます。
九州・沖縄(168円/+44.83%)
九州・沖縄も支出額が高く、前年度比で大幅増。ファミリー世帯が多く持ち家率も比較的高いため、ライフスタイルを整えるための家具需要が根強いと考えられます。また、家具の流通コストが本州より高くなりやすいため、価格も反映されている可能性があります。
大都市(166円/-40.29%)
支出額は高めですが、前年からの大幅減が目立ちます。都市部ではミニマルな生活様式、サブスク型家具、単身世帯の増加が進んでおり、食卓セットのような大型家具の購入は減少傾向にあります。
北陸(123円/+392%)
驚異的な増加を示した北陸地域は、前年の支出が極端に低かった可能性が高く、一時的な回復反動と見られます。地場産業として家具生産が根付いている地域であり、「地元製品志向」の高まりも影響したと考えられます。
四国(120円/-6.25%)
比較的安定していますが、軽微なマイナス成長。中山間地域の多さと、高齢化率の高さが支出を抑制している要因とみられます。買い替え需要が少なく、既存家具を使い続ける世帯が多い傾向です。
関東(113円/-66.86%)
著しい減少を示した関東圏では、都市部での収納スペース不足、家具付き賃貸の増加、若者の「家具を持たない生活志向」が反映されています。サブスクリプション家具や簡易テーブルなどへの切り替えも進行しています。
東海(107円/-17.05%)
工業都市と農村部が混在する地域ですが、全体的には支出低下。地方都市部でのマンション生活や若年世帯の単身化が進み、大型家具よりも実用性重視の傾向が強まっています。
小都市B(110円/+5.769%)
地方小都市では微増傾向。住環境に余裕があり、長く住む前提の家具購入がされやすいため、安定した需要があると見られます。大都市と異なり、転居頻度が低いのも支出安定の理由です。
今後の地域別予測と家具市場の変容
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地方圏(北海道・中国・九州など)では、今後も一定の家具需要が持続する一方で、高齢化により買い替えは限定的になると予想されます。
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都市部(関東・東海・大都市)では、家具の購入から「レンタル」や「シェア」への転換が進み、大型家具の需要は低下していく見込みです。
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地域産業との連携による地元家具の見直しや、コンパクト家具の開発が今後の地域差緩和の鍵となるでしょう。
まとめ ― 地域性と家具文化の変化が支出に影響
地域ごとの支出差は、単なる所得差だけでなく、文化、住宅環境、消費志向の違いに起因しています。特に都市部の家具離れと地方の堅実な買い替え需要という二極化が顕著です。食卓セットは生活スタイルを反映する象徴的アイテムであり、今後の地域政策や住宅施策にも影響を与えるテーマとなるでしょう。
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