国内パック旅行費の月間支出平均は10.31万円で、北海道や大都市圏の支出が高い一方、九州・沖縄や小都市では減少傾向も見られます。全体として前年同月比では支出額・世帯割合ともに増加傾向が見られ、観光需要の回復や地域ごとの観光資源への注目が影響しています。今後は物価上昇、個人旅行志向の変化、地域プロモーションなどが支出動向を左右する要因となるでしょう。
家計調査結果
パック旅行費(国内)の相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北海道 | 大都市 | 近畿 | 東北 | 関東 | 全国 | 中都市 | 九州・沖縄 | 小都市A | 北陸 |
最新値[万円] | 10.31 | 17.02 | 11.82 | 11.3 | 10.96 | 10.61 | 10.53 | 9.998 | 9.723 | 9.685 | 9.457 |
前年同月比[%] | +2.868 | +50.45 | +28.29 | +14.15 | +9.833 | +2.796 | +2.138 | -10.87 | -14.06 | -14.71 | +30.93 |
パック旅行費(国内)支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大都市 | 北海道 | 四国 | 関東 | 全国 | 近畿 | 中国 | 中都市 | 東海 | 東北 |
最新値[%] | 2.076 | 2.74 | 2.63 | 2.49 | 2.46 | 2.14 | 2.06 | 2 | 1.99 | 1.94 | 1.86 |
前年同月比[%] | +10.79 | +11.38 | +117.4 | +34.59 | +2.929 | +4.902 | -5.936 | +23.46 | -5.687 | +16.87 | +43.08 |
パック旅行費(国内)の推移


詳細なデータとグラフ
パック旅行費(国内)の旅行関係費現状と今後
2025年4月時点での日本における国内パック旅行費の月間平均支出は10.31万円と、旅行関係費の中でも大きな割合を占めています。地域別に見ると、北海道(17.02万円)が突出して高く、次いで大都市(11.82万円)、近畿(11.3万円)と続きます。これに対し、北陸(9.457万円)や小都市A(9.685万円)は比較的低水準にとどまっています。
この地域差は、観光地としての人気、交通費の比重、宿泊費の水準など複合的な要因によるものです。特に北海道の高支出は、遠方からのアクセスにかかる費用や、自然景観を巡る長期滞在型の旅行プランの人気を反映しています。
前年同月比から見える回復と停滞の兆し
前年同月比での支出金額の増加率を見ると、北海道(+50.45%)や大都市(+28.29%)、北陸(+30.93%)などで顕著な増加が見られる1方、小都市A(-14.71%)、9州・沖縄(-14.06%)、中都市(-10.87%)では減少が確認されます。
この背景には、以下のような複合要因があると考えられます:
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観光需要の2極化:人気観光地への集中と、地方への分散不足
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旅行商品の価格変動:燃料費や人件費の上昇が1部に影響
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プロモーションの成果:自治体の観光施策や全国旅行支援の再開など
支出増加の地域では、旅行商品の魅力向上やプロモーションが功を奏した可能性が高く、減少地域ではその逆で、旅行商品自体の魅力の薄れやアクセスの悪さが影響していると推察されます。
支出世帯の割合の推移と需要層の動き
国内パック旅行費を支出した世帯の割合は全国平均で2.076%と高く、関西(2.06%)や中国地方(2%)が上位に入っています。前年同月比では平均+10.79%と増加しており、観光需要が回復しつつある状況がうかがえます。
特に、東北(+43.08%)や中国(+23.46%)の増加率が顕著で、地方観光地への再注目や観光資源の魅力発信が功を奏していると考えられます。1方で、9州・沖縄(-22.28%)や北陸(-22.41%)などでは支出世帯割合が減少しており、観光施策の再検討が求められる段階といえます。
コロナ禍以後の影響と国内旅行ニーズの変化
コロナ禍によって、海外旅行が長らく制限されたことで国内旅行への関心が高まりました。2023年以降の「全国旅行支援」の効果もあり、パック旅行に対する需要が1時的に増加しましたが、個人手配型の旅行の人気上昇により、パッケージ型旅行は中長期的に見て競争環境が厳しくなっています。
また、シニア層や家族旅行の再活性化が支出増に貢献しており、「交通費+宿泊費込み」の手間いらずな旅行形式は引き続き1定のニーズを維持しています。
今後の展望と課題
今後の国内パック旅行費において注目すべきポイントは以下のとおりです:
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物価上昇と価格転嫁の影響 旅行商品の価格が上昇すれば、支出は増えるものの、実際の旅行頻度や3加者は減る可能性もあります。
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個別手配志向の強化 若年層を中心に、オンライン予約や柔軟な旅程を好む傾向が強く、パッケージツアーの需要は1定の見直しが必要です。
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地域間格差の是正 観光施策の成功・失敗が支出額に如実に表れており、地方都市の活性化が今後の焦点です。
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観光と物産・文化体験の融合 観光地での体験型ツアーや地元文化との接点が、パッケージ旅行の新たな訴求点となり得ます。
まとめ
2025年現在、国内パック旅行費の支出は堅調な回復を見せつつも、地域間格差や消費者ニーズの多様化という課題を抱えています。特に北海道のように魅力的な観光資源を持つ地域では支出が大きく伸びており、その1方で1部地方では停滞傾向も強まっています。これからの観光産業は、柔軟な商品設計と体験重視の内容、そして地方への観光分散が鍵となるでしょう。旅行業界や行政は、個人旅行とパック旅行の共存を図りながら、需要の最大化と観光による地域活性化を進めていく必要があります。
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