南北アメリカの財とサービス輸出変化率の地域別分析と今後の展望

南北アメリカ

南北アメリカでは、財とサービスの輸出変化率が高い国はカリブや中南米の小国に集中しており、観光・農産物・資源依存型の経済構造が目立つ。前年比では多くの国でマイナスとなり、変動の激しさが浮き彫りに。これには外需依存、気候変動、価格変動、政治不安などが影響。今後は輸出の多様化やデジタルサービスの拡大、インフラ整備が安定成長のカギとなる。

財とサービス輸出(変化率)、今年の予想ランキング

2025年
降順昇順
名称最新値[%]前年比[%]
1ドミニカ14.16-37.09
2セントビンセント・グレナディーン11.88+21.03
3ジャマイカ8.729-571.8
4ガイアナ7.136-86.83
5パラグアイ6.658+229.6
6セントルシア6.513-14.55
7トリニダード・トバゴ5.843-249.9
8アルゼンチン5.576-80.87
9ホンジュラス4.975-280.4
10セントクリストファーネイビス4.679-170.5
11コスタリカ4.578-20.66
12アンティグアバーブーダ4.53-37.21
13グアテマラ4.422+44.98
14ブラジル4-1910
15チリ3.618-41.91
16コロンビア3.179-346.1
17ウルグアイ2.365-48.37
18スリナム2.362-76.29
19カナダ2.24+240.9
20ベリーズ2.096+67.55
21バルバドス2.053-77.41
22エルサルバドル1.918-72.71
23アメリカ1.89-42.25
24ボリビア1.857-110
25グレナダ1.737-81.46
26パナマ1.146-81.69
27バハマ0.996-91.73
28ペルー0.987-77.14
29エクアドル-1.457-130.2
30ドミニカ共和国-1.865-130.8
31メキシコ-2.017-160.5
32ニカラグア-3.207-16.35
33ベネズエラ-7.966-166.9
34ハイチ-9.375-58.19
財とサービス輸出(変化率)、高い国

財とサービス輸出(変化率)、低い国ランキング

2025年
降順昇順
名称最新値[%]前年比[%]
1ハイチ-9.375-58.19
2ベネズエラ-7.966-166.9
3ニカラグア-3.207-16.35
4メキシコ-2.017-160.5
5ドミニカ共和国-1.865-130.8
6エクアドル-1.457-130.2
7ペルー0.987-77.14
8バハマ0.996-91.73
9パナマ1.146-81.69
10グレナダ1.737-81.46
11ボリビア1.857-110
12アメリカ1.89-42.25
13エルサルバドル1.918-72.71
14バルバドス2.053-77.41
15ベリーズ2.096+67.55
16カナダ2.24+240.9
17スリナム2.362-76.29
18ウルグアイ2.365-48.37
19コロンビア3.179-346.1
20チリ3.618-41.91
21ブラジル4-1910
22グアテマラ4.422+44.98
23アンティグアバーブーダ4.53-37.21
24コスタリカ4.578-20.66
25セントクリストファーネイビス4.679-170.5
26ホンジュラス4.975-280.4
27アルゼンチン5.576-80.87
28トリニダード・トバゴ5.843-249.9
29セントルシア6.513-14.55
30パラグアイ6.658+229.6
31ガイアナ7.136-86.83
32ジャマイカ8.729-571.8
33セントビンセント・グレナディーン11.88+21.03
34ドミニカ14.16-37.09
財とサービス輸出(変化率)、低い国

GDP国際収支・貿易人口・物価政府財政

詳細なデータとグラフ

財とサービス輸出(変化率)の現状と今後

財とサービスの輸出変化率は、ある国が前年と比べてどれほど輸出を増減させたかを表す経済指標で、外需依存の度合いや景気の波及効果、さらには政策対応の即時性を見極める上で極めて重要です。南北アメリカの国々では、特に中南米・カリブ諸国において、この指標が経済回復力や外貨獲得力を示す主要な尺度となっています。


輸出成長率の上位国の特徴とその背景

ドミニカ(14.16%、前年比-37.09%)

前年比は大幅減でも成長率トップ。観光の復調、医療機器や農産品の需要増が背景。ただし、昨年の輸出急増の反動も大きく、安定成長には輸出基盤の拡充が必要。

セントビンセント・グレナディーン(11.88%、+21.03%)

農産物と観光サービス中心。前年比プラスは好感されるが、絶対規模は小さく、天候や地域情勢による影響を受けやすい構造。

ジャマイカ(8.729%、-571.8%)

前年比で大幅マイナスとなっており、これは前年がマイナス成長だった反動と推定。観光収入が戻りつつあるものの、インフレや高金利の影響も残る。


資源・農産物に支えられる中南米の中堅国

ガイアナ(7.136%、-86.83%)

石油輸出の急拡大が1服。前年比マイナスは高ベース効果の影響だが、今後もエネルギー関連インフラの拡大で中期的にはプラスが見込まれる。

パラグアイ(6.658%、+229.6%)

大豆など農産物と電力(イタイプダム)輸出が急増。干ばつ明けの反動増が主因であり、前年比の上昇率は限定的な要因によるもの。

トリニダード・トバゴ(5.843%、-249.9%)

天然ガスの輸出が依然主力だが、価格の乱高下と欧州需要の変化に影響されやすく、前年比大幅マイナスは価格要因と見られる。


小規模国の構造的課題と成長余地

セントルシア(6.513%、-14.55%)

観光業の回復が主要因。サービス輸出依存度が極めて高く、航空便の供給量や外需に左右される。パンデミック以後の回復基調が続くが、変動幅は大きい。

セントクリストファー・ネイビス(4.679%、-170.5%)

同様に観光依存経済。前年比マイナスは前年の輸出急増の反動とも考えられるが、持続的輸出成長にはインフラ改善が不可欠。


大国・中堅国の減速と内的要因

アルゼンチン(5.576%、-80.87%)

農産物と鉱物輸出が主だが、干ばつや政情不安で輸出が乱高下。為替規制や税制不安も民間輸出の足かせになっている。

ホンジュラス(4.975%、-280.4%)

繊維製品や農産物輸出が主力だが、外需の停滞とインフレにより前年比で大幅マイナス。回復には国内産業支援と物流インフラ整備が急務。


地域別の構造的傾向と輸出変化率の特徴

  1. 観光業に依存するカリブ諸国サービス輸出の大半が観光に集中し、世界情勢や自然災害の影響を大きく受ける。

  2. 1次産品依存の中南米諸国農産物や鉱物、石油の価格変動に輸出額が連動。天候や国際市況に左右されやすい。

  3. 政策不安・インフラ不足が成長の制約特にホンジュラスやアルゼンチンのように制度的安定性に課題がある国では、外需が回復しても輸出拡大に繋がりにくい。

  4. 急増と急減が併存する不安定構造多くの国が前年の成長率に依存する「ベース効果」の影響を受けやすく、持続的な成長には構造改革が不可欠。


今後の展望と政策的対応

今後の展開予測

  • 観光収入の回復傾向は続くが、地政学的リスクや天候災害が足かせとなる可能性

  • エネルギー・鉱物市場の需要は堅調だが、脱炭素化の流れで長期的には変調も

  • デジタルサービスや高度加工品への転換が求められる

必要な政策対応

  • インフラ整備:港湾・空港・物流の近代化が急務

  • 人材育成と産業多角化:観光・農業から製造・ITへと展開できる教育と制度整備

  • 貿易協定の戦略的活用:米国・EU・アジア諸国とのFTA活用で輸出市場の拡大を図る

  • 気候リスクへの備え:特に農業国・観光国は気候変動に強い経済構造の構築が必須


まとめ:変化率の上下に隠れた「構造的安定性」への問い

南北アメリカの財とサービス輸出変化率は、短期的な成長や反動で急変する1方で、多くの国に共通するのは外部依存性と産業構造の脆弱さです。持続的な輸出拡大のためには、「どのくらい増えたか」だけでなく、「何をどうやって増やしているか」が問われます。今後の地域成長には、インフラ・人材・政策の1体改革と、外需依存から内発的発展への移行が不可欠です。

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