南北アメリカの政府財政収支はニカラグアの黒字が最大だが、多くの国で前年比で大幅な悪化が見られる。アルゼンチンやジャマイカも黒字維持に苦戦しており、バハマやホンジュラスなどは大きな財政赤字を抱えている。経済環境の不安定さやパンデミックの影響もあり、各国は歳入増強と歳出管理を強化し、持続可能な財政運営を目指す必要がある。
南北アメリカのデータとグラフ
政府財政収支額、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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名称 | ニカラグア | アルゼンチン | ジャマイカ | ハイチ | バルバドス | プエルトリコ | スリナム | アンティグアバーブーダ | ホンジュラス | バハマ |
最新値[%] | 0.858 | 0.431 | 0.009 | -0.115 | -0.264 | -0.411 | -1.176 | -1.296 | -1.459 | -1.555 |
前年比[%] | -64.94 | -49.94 | -96.51 | -101.7 | -79.82 | -22.45 | -51.62 | -152.5 | +81.02 | +21.29 |
政府財政収支額の推移


詳細なデータとグラフ
政府財政収支額の現状と今後
政府財政収支額(GDP比)は、政府の歳入と歳出の差額を国内総生産に対して比率化したもので、財政の健全性を示す重要指標である。プラスであれば財政黒字、マイナスは財政赤字を意味し、経済政策や借入、公共投資の持続可能性を評価する上で欠かせない。
南北アメリカにおける最新の財政収支状況
2025年のIMF予測によると、南北アメリカ地域で最も財政収支が良好なのはニカラグアの0.858%であり、次いでアルゼンチン0.431%、ジャマイカ0.009%と続く。1方、赤字が目立つ国はバハマ(-1.555%)、ホンジュラス(-1.459%)、アンティグアバーブーダ(-1.296%)などが挙げられる。
前年比では多くの国で大幅な収支悪化が見られ、ニカラグアは-64.94%、アルゼンチンは-49.94%、ジャマイカは-96.51%など、特にアンティグアバーブーダは-152.5%と財政収支の悪化が顕著だ。1方、ホンジュラス(+81.02%)やバハマ(+21.29%)は改善傾向にある。
これまでの動向と背景要因
1980年代から2020年代にかけて、南北アメリカの多くの国は経済成長の波や国際金融情勢に左右されながら、財政収支のバランスを模索してきた。特に中南米諸国では、資源価格変動、政治的混乱、インフラ投資の必要性が財政赤字の増減に大きく影響した。
また、2000年代以降のグローバル金融危機や新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの国で歳出増大と税収減少を招き、財政赤字を拡大させた。こうした影響は現在も各国の収支状況に反映されている。
国別の特徴と課題
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ニカラグア 財政黒字が0.858%と地域で最高だが、前年比で大幅な悪化(-64.94%)を示し、持続性に疑問が残る。
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アルゼンチン 黒字0.431%を維持するも前年比で半減、財政調整と経済不安定性が重なる中での改善策が課題。
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ジャマイカ ほぼ均衡状態(0.009%)ながら前年比で大幅減少。財政健全化の努力が続くが外部環境の影響を受けやすい。
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赤字国群(バハマ、ホンジュラス、アンティグアバーブーダなど) 大規模な財政赤字を抱え、歳入確保や歳出抑制、経済多様化を進めなければ持続可能性は危ぶまれる。
政府財政収支額の特徴と政策的示唆
財政収支は国の経済規模や構造、政治体制に深く関連し、安定的な黒字が財政健全化の指標となる。しかし、南北アメリカの多くの国は経済の脆弱性や社会保障・公共投資の需要により赤字を抱えやすい。政策的には歳入増強や効率的な支出管理、構造改革の推進が不可欠である。
今後の展望とリスク管理
今後はインフレや金利上昇のリスク、国際的な資金調達環境の変化が各国財政に大きく影響する。財政収支の改善には、経済成長戦略と財政運営の調和が求められる。特にニカラグアやアルゼンチンのような黒字国は、持続的黒字の確保が課題。赤字国は財政健全化に向けた包括的な改革が必要となる。
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