2025年6月時点で、北海道・東北の桃価格は大幅に上昇し、札幌市は1,820円/kg、仙台市は1,317円/kgと高騰。一方で卸売数量は大幅に減少し、供給不足が深刻化。異常気象や生産者減少、物流コスト上昇が影響しており、今後は供給安定化が課題となる。
桃の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 1820 | +27.27 |
2 | 仙台市 | 1317 | +55.25 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 0.022 | -37.14 |
2 | 仙台市 | 0.018 | -56.1 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
桃の卸売り市場の現状と今後
2008年から2025年にかけて、北海道・東北地方の桃市場は、価格の上昇傾向と数量の減少傾向が顕著となっています。特に2020年代に入ってからは、気候変動、流通コストの上昇、生産者の高齢化などが影響し、出荷量が減少する中で、高品質な桃に対する需要が高まり価格が急上昇しています。2025年6月現在、札幌市の市場価格は1,820円/kg(+27.27%)、仙台市は1,317円/kg(+55.25%)と大幅に上昇。1方で、卸売数量は札幌市で0.022kt(−37.14%)、仙台市で0.018kt(−56.1%)と、供給量の大幅な減少が価格上昇の背景にあります。
札幌市と仙台市の都市別特徴
札幌市は北海道唯1の大規模果実市場として、本州からの桃の輸送依存度が高いことが特徴です。そのため、輸送コストや気象による出荷制限の影響を受けやすく、価格は全国的にも上位となっています。1方、仙台市は東北内陸部の福島県や山形県などの桃の主産地に近接し、本来は安定供給が可能なエリアですが、2025年は価格上昇幅が全国最大級(+55.25%)となっており、出荷量の激減(−56.1%)により需給バランスが大きく崩れたことが要因と考えられます。
価格高騰の要因
札幌・仙台両市場における桃価格の急騰には、いくつかの共通した要因があります。
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異常気象: 春先の低温、開花時期の遅れ、夏の高温や雹害による果実の生育不良。
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② 生産者減少: 高齢化・離農の進行により、出荷量そのものが減少。
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③ 輸送コスト増: 燃料費、人件費、運送人員の不足などにより物流費が上昇。
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④ 品質重視: ギフト需要や高糖度嗜好により、特定の高品質果実への需要が集中。
特に2025年は、全国的に出荷量が大きく減る中、少量の高品質果実に価格が集中する構造が強まりました。
北海道・東北の桃生産の動向
桃の生産地としては、山形県、福島県が東北地方の中心で、糖度の高い「川中島白桃」や「暁星(ぎょうせい)」などの品種が人気です。ただし、これらの地域でも、晩霜や高温障害、果実の病虫害などの自然リスクが増加しており、安定生産が難しくなっています。また、後継者不足や農業人口の減少により、出荷量そのものが年々減少しており、価格の上昇圧力となっています。
今後の展望と課題
今後も北海道・東北地域では、供給不安定と価格高騰の傾向が続く可能性が高いです。物流効率化や輸送コストの抑制、契約栽培による安定供給などが求められるほか、スマート農業や省力化技術の導入による生産体制の維持・強化も重要です。特に北海道市場では、広域からの調達網の再構築と価格の平準化が課題となるでしょう。
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