北海道・東北におけるピーマン価格は、都市ごとの流通構造や需給バランスにより大きく差がある。2025年4月時点では札幌市などが高値、福島市などが安値で、盛岡市や室蘭市では価格が前月から50%以上も急騰した。今後は本州以南からの供給増加により価格は全体的に安定に向かうと予想されるが、局地的な供給問題への対応も課題である。
ピーマンの卸売り市場価格
ピーマンの高い順
札幌市 | 仙台市 | 函館市 | 室蘭市 | 山形市 | 盛岡市 | 青森市 | いわき市 | 秋田市 | 福島市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2011年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 |
最大期 | 2024年3月 | 2025年2月 | 2008年2月 | 2008年2月 | 2016年2月 | 2008年2月 | 2023年2月 | 2008年2月 | 2016年2月 | 2016年2月 |
最新値[円/kg] | 659 | 647.3 | 571 | 542 | 503 | 478 | 475 | 471 | 451 | 446 |
最大値[円/kg] | 940.3 | 867 | 969 | 1027 | 948 | 890 | 959 | 899 | 859 | 868 |
前月比[%] | -14.19 | -15.09 | -14.9 | +44.92 | +3.498 | +54.69 | +6.742 | -15.14 | +9.201 | +9.314 |
前年同月比[%] | -21.95 | -15.57 | -6.547 | +22.35 | +9.348 | -19.26 | -19.63 | -5.988 | -1.957 | -3.672 |
ピーマンの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
ピーマンの価格についての推移と展望
北海道・東北は気候の寒冷性からピーマンの主産地ではないが、夏季の冷涼な気候を活かして短期間ながら高品質なピーマンが生産される地域でもある。一方で、多くのピーマンは九州・関東などの温暖地域からの移入に依存しており、価格は天候や輸送事情に大きく左右されやすい。
2025年4月の価格データ分析
都市別価格(円/kg)
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高値:札幌市(659円)、仙台市(647.3円)
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中間:函館市(571円)、室蘭市(542円)
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低値:山形市(503円)、盛岡市(478円)、青森市(475円)、いわき市(471円)、秋田市(451円)、福島市(446円)
地域別価格傾向
北海道の2都市(札幌・函館・室蘭)は全国平均よりやや高めで推移しており、東北では南部の都市(福島・いわきなど)ほど価格が安い傾向が見られる。これは輸送距離や物流網の違い、また地域ごとの購買力や物価水準に起因する。
前月・前年からの変動と注目点
急上昇した都市
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盛岡市:+54.69%(前月比・前年比)
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室蘭市:+44.92%(同上)
これらの都市では、仕入れ元の変動、天候不順による供給減、あるいは特定地域の卸売市場の在庫不足などが背景にあると考えられる。
大幅下落した都市
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札幌市:-14.19%
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仙台市:-15.09%
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いわき市:-15.14%
この地域では、全国的な春先の豊作傾向と物流の安定化によって、価格が緩やかに沈静化している。
地域別の価格特性と背景
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札幌市・仙台市:高価格都市輸送距離が長く、消費地価格として高くなりやすい。大都市ゆえに一定の需要があり、価格も安定していたが、最近の需要減や供給過多でやや軟化傾向。
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盛岡市・室蘭市:価格上昇が急激地場流通の特異性、または局所的な供給問題によって一時的な価格上昇が起こった可能性。
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福島市・秋田市など:安定かつ低価格地場生産と他地域からの流入が程よくバランスされており、価格変動も比較的小さい。
最近の問題と課題
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輸送コストの高騰燃料費の上昇、ドライバー不足などがピーマンを含む野菜価格に影響。
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市場の分断特定地域のみで極端な価格上昇が起こる例(盛岡・室蘭)から、物流や流通ネットワークの構造的な弱点が露見している。
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地域間格差の固定化北日本でも都市ごとに価格差が拡大しており、小売業者の仕入れ判断にも影響を及ぼしている。
今後の期待と見通し
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春~夏にかけての安定供給期待本州以南からの供給が本格化することで、札幌・仙台を含む高価格帯の都市でも価格はさらに下落する可能性。
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物流合理化の進展共同配送や広域卸売市場のデジタル管理などが進めば、都市間の価格格差もやや縮小することが見込まれる。
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局地的な供給不足への備え今回の盛岡・室蘭のような例は、卸売業者や小売店が「バックアップ産地」を持つ重要性を再認識させた。
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