2008年以降のデータを基に、北海道・東北地方のじゃがいも市場価格の推移と特徴を分析。2025年4月時点で最も高値の仙台市と、100円台の安値が続く北海道内各都市との価格差が際立っています。近年の天候不順、物流の影響に加え、地域間の生産地と消費地の関係も大きな要因です。今後は供給制約が続く中、輸送・人件費の増加も価格を押し上げる要因となるでしょう。
じゃがいもの卸売り市場価格
じゃがいもの高い順
仙台市 | 山形市 | 秋田市 | 福島市 | 函館市 | 札幌市 | 旭川市 | いわき市 | 盛岡市 | 青森市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2025年4月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2021年4月 | 2015年6月 | 2020年7月 | 2015年7月 | 2020年7月 | 2021年4月 | 2020年7月 |
最新値[円/kg] | 341.7 | 226 | 214 | 193 | 157 | 156 | 127 | 127 | 125 | 122 |
最大値[円/kg] | 341.7 | 428 | 404 | 222 | 281 | 214 | 231 | 349 | 382 | 392 |
前月比[%] | +46.64 | +5.607 | +9.744 | +1.047 | +34.19 | +18.18 | -27.43 | -26.59 | -6.716 | +0.8264 |
前年同月比[%] | +73.73 | +43.95 | +42.67 | +41.91 | +124.3 | +38.88 | +49.41 | +7.627 | -1.575 | +10.91 |

じゃがいもの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
じゃがいもの価格についての推移と展望
北海道と東北地方は、日本国内のじゃがいも主要産地として長年位置付けられており、とくに北海道は全国の収穫量の7割以上を占める圧倒的な生産地です。そのため、価格水準は全国的に見て比較的安定しており、他地域に比べて低い傾向があります。
2025年4月現在の価格を見ると、青森市(122円/kg)、いわき市・旭川市(127円/kg)、札幌市(156円/kg)など、北海道とその周辺地域では一貫して低価格帯が維持されている一方で、仙台市(341.7円/kg)は突出して高値を記録しており、明確な地域間格差が存在しています。
地域別の価格差の背景
北海道・東北地方内でも、以下のような地域差が見られます。
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安値圏(100円台):旭川市、青森市、盛岡市、いわき市など。これらは比較的生産地に近く、地場流通が活発なため、輸送コストが抑えられています。また、地元消費の割合が高く、価格の上昇圧力が低い傾向があります。
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中間圏(200円台):山形市、秋田市、福島市。これらは生産と消費の中間地点にあり、価格は安定する一方で、気候や物流の影響を受けやすくなっています。
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高値圏(300円台):仙台市。東北の主要都市として人口が多く、都市型消費地であるため、卸売段階での価格が上昇しやすい構造です。流通経路が複雑で、価格に輸送費や卸売業者のマージンが上乗せされている可能性もあります。
最近の価格動向と問題点
2025年4月の前月比および前年同月比を見ると、以下のような傾向があります。
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急騰した都市:仙台市(+46.64%)、函館市(+34.19%)、札幌市(+18.18%)などでは、物流の停滞や気候の影響による供給減が要因と考えられます。
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下落または停滞した都市:旭川市(-27.43%)、いわき市(-26.59%)、盛岡市(-6.716%)などでは、在庫過多や消費の停滞により需給バランスが崩れている可能性があります。
問題としては以下が挙げられます。
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気候変動の影響:特に近年は春先の霜や干ばつが影響し、収量の不安定化が顕著です。
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輸送コストの上昇:燃料価格や人件費の高騰により、地理的に遠隔地への出荷にコストがかさみます。
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高齢化と労働力不足:北海道や東北の農村部では担い手不足が顕在化しており、生産コストの上昇につながっています。
今後の価格推移と見通し
今後の価格動向については以下の要因が鍵を握ります。
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気象の安定性:生育期の気象次第で価格は大きく左右されます。特に干ばつや長雨は大きなリスク。
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物流改革:政府主導の物流効率化や、6次産業化による産直流通の拡大が、価格安定につながる可能性があります。
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消費行動の変化:家庭用需要の低下が見られる一方で、業務用需要は安定しており、供給バランスの維持が求められます。
価格としては、安値圏では今後も100円台前半~中盤が維持される可能性がある一方、仙台など都市部では引き続き300円台を維持、あるいは400円近くまで上昇する場面も想定されます。
まとめと提言
北海道・東北のじゃがいも市場価格は、地理的・気候的条件による差異が大きく、特に物流や地域消費構造の違いが価格を形成する重要な要因となっています。今後の安定供給に向けては、以下の取り組みが求められます。
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生産地での収穫予測技術の高度化
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地域間輸送の効率化とコールドチェーンの強化
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労働力不足に対するスマート農業技術の導入
これらが実現されれば、北海道・東北の強みを生かした安定供給と価格安定が可能となるでしょう。
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