北海道・東北地方の野菜価格は、気候の影響を受けやすく、価格変動が全国的に見ても大きい地域です。2025年4月には八戸市や青森市で価格が大幅上昇し、逆に仙台市などで下落。物流の弱さや高齢化も影響し、今後は価格の二極化と不安定化が懸念されます。
野菜全体の卸売り市場価格
野菜全体の高い順
仙台市 | 秋田市 | 札幌市 | 函館市 | 八戸市 | いわき市 | 山形市 | 盛岡市 | 旭川市 | 青森市 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2025年1月 | 2018年1月 | 2025年1月 | 2010年4月 | 2018年1月 | 2018年1月 | 2018年2月 | 2018年1月 | 2015年5月 | 2018年2月 |
最新値[円/kg] | 281.7 | 265 | 265 | 263 | 255 | 255 | 241 | 228 | 226 | 212 |
最大値[円/kg] | 337.7 | 360 | 292.7 | 278 | 312 | 304 | 327 | 312 | 335 | 301 |
前月比[%] | -10.49 | +26.79 | -2.813 | +13.36 | +43.26 | +25.52 | +7.547 | +8.654 | +35.9 | |
前年同月比[%] | -0.2338 | +18.83 | -5.694 | +25.84 | +9.914 | +11.35 | +12.09 | +5.069 | +13 | +9.278 |

野菜全体の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
野菜全体の価格についての推移と展望
北海道・東北地方は、全国の中でも冷涼な気候を背景に、野菜の夏場出荷に強みを持つ地域です。北海道では馬鈴薯(じゃがいも)、玉ねぎ、アスパラガスなど、東北ではねぎや白菜、キャベツなどが主力品目です。しかし、気象リスク(低温・豪雪・台風)によって収量が年によってばらつきやすく、価格もそれに連動しやすいという特徴があります。
2008年からの長期推移を見ても、冷夏や大雨の年には供給減による価格高騰が起こり、逆に平年よりも気候が安定して豊作となった年には急落するなど、全国平均よりも変動幅が大きい傾向が見られます。
2025年4月時点の価格水準と都市別特色
2025年4月の時点での平均価格(kgあたり)は以下のようになっています:
-
最も高い都市:仙台市(281.7円)
-
宮城県は東北の物流拠点としての役割を持ち、流通コストの影響を受けやすいため価格が高め。
-
-
中位層:秋田市・札幌市・函館市(263〜265円)
-
北海道は生産地としては広大で供給力があるが、道内輸送や本州への輸送コストが加味され価格は中位に。
-
-
価格が低い都市:青森市(212円)、旭川市(226円)
-
地元消費が主であり、生産量が少ない品目もある一方、地場野菜の安定供給が価格を抑えている。
-
価格の差は、気候・物流・消費構造の違いによって生じており、一概に高い=不足・安い=豊富という単純構造では説明できません。
最近の価格変動と背景
2025年4月は、前年や前月に比べて多くの都市で大幅な価格上昇が見られます。
-
八戸市(前月比+43.26%、前年比+9.91%)
-
地場流通品の供給不足、あるいは一時的な寒波の影響が推測される。
-
-
青森市(+35.9%)・山形市(+25.52%)・秋田市(+26.79%)
-
冬季の在庫切れや、3月の天候不順が影響し、4月の出荷初期段階で価格が急上昇。
-
-
一方で、札幌市・仙台市では価格下落
-
需要と供給のバランスが安定したか、3月に高値だった分の反動があった可能性。
-
このように、寒冷地特有の気象変動が、月単位でも大きな価格変化をもたらす要因となっています。
北海道・東北地域における構造的課題
-
物流の弱さとコスト負担
-
北海道から本州への輸送、山間地の集荷体制の脆弱さが価格に跳ね返る。
-
-
後継者不足と耕作放棄地
-
青森や岩手では特に深刻で、安定供給が困難な地域も多い。
-
-
気象リスクと保険制度の未整備
-
局所的豪雨や霜害など、突発的な災害による収穫量の変動が激しい。
-
今後の期待と価格推移の予測
2025年夏から秋にかけては、以下の要素が価格に影響を与えると考えられます:
-
春先の気温回復次第では供給安定化の兆し
-
早めに定植が進めば、6月〜7月には価格下落の局面も。
-
-
災害リスクが顕在化すれば再び上昇へ
-
台風や干ばつ、集中豪雨が夏以降にあれば再び価格急騰も。
-
-
中長期的には、価格の“二極化”が進行
-
大規模産地(北海道・山形)は効率化が進むが、小規模産地では生産減少・価格高止まりが続く。
-
消費者の節約志向が強まりつつある中で、価格の高騰が続けば地場野菜の需要回帰や、冷凍・加工野菜の置き換えも進む可能性があります。
コメント