北海道・東北の野菜価格動向:都市別比較と2025年の価格上昇分析

野菜価格(都市別)

2025年5月時点で、北海道・東北の野菜価格は都市ごとに大きく差が見られ、最も高い秋田市(265円/kg)から最も安い青森市(212円/kg)まで価格差が顕著です。最近では異常気象や物流コストの影響により、多くの都市で急激な価格上昇が見られました。特に八戸市の前月比+43.26%などは注目に値します。過去の傾向や地域特性を踏まえ、今後も価格のばらつきが続くと予想されます。

野菜全体の卸売り市場価格

野菜全体の高い順

秋田市 函館市 仙台市 札幌市 八戸市 いわき市 山形市 盛岡市 旭川市 青森市
最新 2021年12月 2016年12月 2025年5月 2025年5月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月
最大期 2018年1月 2010年4月 2025年1月 2025年1月 2018年1月 2018年1月 2018年2月 2018年1月 2015年5月 2018年2月
最新値[円/kg] 265 263 261.7 260 255 255 241 228 226 212
最大値[円/kg] 360 278 337.7 292.7 312 304 327 312 335 301
前月比[%] +26.79 +13.36 -7.101 -1.887 +43.26 +25.52 +7.547 +8.654 +35.9
前年同月比[%] +18.83 +25.84 -8.292 -7.693 +9.914 +11.35 +12.09 +5.069 +13 +9.278

野菜全体の推移

野菜全体価格の推移

最新の価格データ

最近の野菜全体価格

その他のデータとグラフ

野菜全体の価格についての推移と展望

北海道・東北地方は日本の中でも気候変動の影響を受けやすく、野菜価格は天候や季節要因に左右されやすい地域です。冷涼な気候のため冬季には地場野菜の供給が減少し、関東以南からの輸送に依存することが多く、その分コストが価格に転嫁されやすい傾向があります。

また、農地面積は比較的広いものの、高齢化や担い手不足により生産効率が伸び悩んでいます。これにより、地域内での安定的な供給体制が確立できず、価格変動も起きやすくなっています。


2025年5月時点の都市別価格とその特色

以下は最新の価格(円/kg)と、各都市の注目すべき点です:

  • 秋田市(265円):全体の中で最も高価格。前月比+26.79%、前年同月比も同値で上昇。供給不足または地場野菜の減少が影響か。

  • 函館市(263円):道南の中心都市で、輸送の拠点でもあるが、それでも高価格帯。+13.36%と安定した上昇。

  • 仙台市(261.7円):比較的安定的だったが、-7.101%と下落傾向。需給バランスの変化が背景か。

  • 札幌市(260円):北海道最大都市だが、価格はやや低め。前月比-1.887%と微減。

  • 8戸市(255円):前月比+43.26%と突出した上昇。天候不順や流通の変化による1時的要因と見られる。

  • いわき市(255円):他都市と同水準ながら、原発事故以降の農業再建と信頼回復が進行中。

  • 山形市(241円):+25.52%と大幅上昇。寒暖差を生かした栽培は得意だが、流通面で弱みあり。

  • 盛岡市(228円):地場供給が安定してきたが、価格は依然として中程度。

  • 旭川市(226円):寒冷地で冬期の価格は高騰しやすいが、今期は上昇幅が+8.654%にとどまる。

  • 青森市(212円):最安値だが、前月比+35.9%と急騰。リンゴなど果樹栽培が中心のため野菜供給は限られる。


最近の問題と課題

  1. 異常気象と自然災害の頻発 春の長雨や夏の猛暑、秋の台風など、気象の極端化が露地野菜の収穫量を不安定にし、各地で価格上昇を招いています。

  2. 物流コストの上昇 燃料費の高騰、人手不足による運賃の値上げが流通経路に響き、特に本州からの輸送コストが価格を押し上げています。

  3. 農業従事者の高齢化と後継者不足 地域によっては耕作放棄地も増え、継続的な生産が難しくなっており、供給が安定しない要因となっています。


地域別の価格差の構造的要因

  • 都市圏と地方都市の距離:流通拠点に近い都市は安く、遠隔地は高くなりがち。

  • 自給率の差:自給率が高い地域ほど安価に供給できるが、北海道内でも都市部は外部依存が強い。

  • 地形と気候:寒冷な地域や山間部は栽培コストが高く、それが価格に反映。


今後の推移の期待と予測

  • 短期的(2025年夏〜秋):夏野菜の収穫により1時的に価格は下がる見込み。ただし猛暑や水害があれば再上昇も。

  • 中期的(2025年末〜2026年):自動化やスマート農業の導入が地域に浸透すれば、安定供給と価格抑制が期待される。

  • 長期的:農業の法人化と共同出荷体制の強化により、価格変動の緩和が可能になると見られる。地域間格差の是正には制度的支援が不可欠。


まとめ

北海道・東北地方の野菜価格は、気候や流通、地域ごとの農業基盤の違いによって大きく変動しています。特に2025年5月は8戸市・青森市での急騰が目立ち、異常気象や生産体制の課題が価格に表れているといえます。将来的にはテクノロジーと地域政策の融合により、より安定した価格形成が期待されます。

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