北海道・東北地方の家賃は全国平均を下回る地域が多いが、都市によっては高い水準を保っている。特に仙台や札幌は再開発や都市圏の拡大で家賃が上昇し、その他の地域は人口減少や空き家問題により低水準に留まっている。今後、地方創生政策や移住促進が家賃動向に影響を与えると予測され、地域ごとの調整が重要となる。
小売物価統計
1カ月1坪当りの家賃の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 仙台 | 札幌 | 盛岡 | 秋田 | 福島 | 山形 | 青森 | 郡山 | 旭川 | 函館 |
最新値[万円] | 0.385 | 0.528 | 0.424 | 0.408 | 0.407 | 0.4 | 0.385 | 0.37 | 0.355 | 0.344 | 0.328 |
平均比[%] | 100 | 136.9 | 110.1 | 105.8 | 105.5 | 103.9 | 99.96 | 96.02 | 92.02 | 89.3 | 85.02 |
前月比[%] | -0.00943 | -0.0189 | 0.213 | -0.122 | 0 | -0.224 | -0.0778 | 0.461 | -0.113 | -0.261 | 0 |
1カ月1坪当りの家賃の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 八戸 | 函館 | 旭川 | 郡山 | 青森 | 山形 | 福島 | 秋田 | 盛岡 | 札幌 |
最新値[万円] | 0.385 | 0.291 | 0.328 | 0.344 | 0.355 | 0.37 | 0.385 | 0.4 | 0.407 | 0.408 | 0.424 |
平均比[%] | 100 | 75.44 | 85.02 | 89.3 | 92.02 | 96.02 | 99.96 | 103.9 | 105.5 | 105.8 | 110.1 |
前月比[%] | -0.00943 | 0.0344 | 0 | -0.261 | -0.113 | 0.461 | -0.0778 | -0.224 | 0 | -0.122 | 0.213 |
北海道・東北家賃の推移


詳細なデータとグラフ
北海道・東北の家賃現状と今後
北海道・東北地方の家賃動向は、全国平均に比べて低めに推移してきましたが、都市部を中心に変化の兆しも見られます。本稿では、2010年から2025年3月までのデータをもとに、同地域の家賃分布の実態と、それに関連する社会的・経済的背景、今後の見通しについて解説します。
地域別家賃の分布と特徴
最新のデータによると、北海道・東北地域の1坪あたり1ヶ月の平均家賃は0.385万円です。これを基準にすると、
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仙台市(0.528万円、平均比136.9%)
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札幌市(0.424万円、平均比110.1%)
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盛岡市(0.408万円、平均比105.8%)
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秋田市(0.407万円、平均比105.5%)
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福島市(0.4万円、平均比103.9%)
などが相対的に高い水準にあります。特に仙台市は東北地方の経済・交通の中心であり、大学・企業の集積によって家賃が高めに保たれています。
一方で、
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八戸市(0.291万円、平均比75.44%)
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函館市(0.328万円、平均比85.02%)
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旭川市(0.344万円、平均比89.3%)
などは低水準にとどまっており、地域間での家賃格差が顕著です。
過去15年間の家賃動向
北海道・東北地方では、2010年代初頭から人口減少と高齢化が進行し、それに伴って家賃の上昇は限定的でした。しかし、近年は以下の要因により一部の都市で家賃が上昇傾向にあります。
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仙台や札幌を中心とする都市再開発
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インバウンド観光の回復による賃貸需要の増加
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テレワーク定着による都市部回帰の動き
特に東日本大震災後、復興事業や再開発が集中した仙台では、2015年以降顕著な家賃上昇が見られました。
家賃を取り巻く社会的・経済的課題
家賃の低い地域では、人口減少と空き家の増加が深刻です。函館や八戸などでは、需要の低下により家賃は下落傾向にあります。また、家賃が高めの都市でも、賃金水準との乖離が進むと、若年層や高齢者の住宅確保が難しくなるという課題もあります。
さらに、地方の家賃水準は経済活性度のバロメーターでもあり、住宅政策と地域振興策が連動する必要があります。
今後の展望と期待
今後の北海道・東北の家賃動向は、以下のような要因によって左右されると考えられます。
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人口動態の変化:都市部への人口集中が続けば、主要都市の家賃は上昇しうる。
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住宅供給と空き家対策:適切な空き家活用やリノベーション支援により、家賃の安定化が期待される。
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地方創生政策:企業誘致や移住促進が功を奏すれば、地方都市の賃貸市場も活性化する可能性がある。
特に、札幌・仙台のような中核都市が経済成長の牽引役となり、地方圏とのバランスをどうとるかが重要な政策課題です。
おわりに
北海道・東北地方の家賃は全体的に控えめながらも、都市ごとの特性や経済活動の違いによって明確な差が見られます。今後は地域の実情に応じた柔軟な住宅政策と、都市間・地域間のバランスを重視した成長戦略が求められます。
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