北海道・東北の家賃推移と今後の見通し|都市別動向と低迷要因を詳解

家賃

2025年5月時点での北海道・東北の家賃平均は3,858円。仙台や盛岡、旭川での上昇が見られる一方、秋田や札幌では家賃が減少。都市によって家賃動向が分かれ、人口減少と再開発の進捗によって明暗が分かれているのが現状である。

1カ月1坪当り都市別の家賃相場

2025年5月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均3858-0.113
1仙台5290+0.858
2札幌4243-1.44
3盛岡4099+1.16
4秋田4055-2.898
5福島4017-0.248
6山形3860-0.258
7青森3670+0.164
8郡山3555-0.0843
9旭川3454+3.259
10函館3274+1.237
11八戸2923-2.955
1カ月1坪当りの家賃

詳細なデータとグラフ

北海道・東北の家賃現状と今後

北海道・東北地方は日本国内でも地価や家賃水準が低めの地域として知られています。2025年5月現在の平均家賃は1坪あたり3,858円と、全国平均よりも明確に低水準。これは地価の安さ、住宅供給の多さ、人口減少傾向が背景にありますが、地域ごとに個別の事情も存在します。本章では、10都市を対象に家賃の推移と特徴を明らかにします。


仙台市 ― 地方中枢都市としての堅調な推移

仙台市(5,290円)は北海道・東北地方で最も高い家賃水準を持ち、前年比+0.858%と着実に上昇しています。政令指定都市であり、商業・教育・医療インフラが集約されており、若年層や単身者の定住ニーズも高く、地方都市としては珍しく都市拡大が続いています。2000年代から現在にかけて、家賃は安定的に上昇傾向にあり、地方中枢都市の成功モデルともいえます。


札幌市 ― 地方都市でも頭打ちが見える大都市

札幌市(4,243円)は人口・経済規模ともに北海道最大を誇りますが、前年比-1.44%と家賃は下落。観光業やリモート移住の促進で注目された1方、賃貸住宅の供給が過多気味で空室率も高まりつつあります。中心部と郊外で価格差が拡大し、平均家賃としては横ばい〜やや減少の局面に入りました。20年超の家賃データでも、上昇期と停滞期が交互に訪れています。


盛岡市・秋田市 ― 都市の特性と価格変動のギャップ

盛岡市(4,099円)前年比+1.16%と堅調で、安定的な需要が背景にあります。1方、秋田市(4,055円)-2.898%と大幅下落。盛岡は交通整備や郊外開発が進んでおり、家賃を維持する力がある1方、秋田は人口流出・高齢化が進行し、住宅の需給バランスが崩れつつあります。この対照的な推移は、東北地方の都市間格差を端的に示しています。


福島市・山形市 ― ゆるやかな減退の中の維持努力

福島市(4,017円)山形市(3,860円)はいずれも前年比-0.2%前後と小幅な下落にとどまっています。両市ともに地方の中核的役割を持つものの、転入者が限られていることや、新築供給の低迷で市場が大きく動かないという特徴があります。ゆるやかな地価の下落とセットで、家賃水準も数十年にわたり「緩やかな後退」が続いています。


青森市・郡山市 ― 価格の安定と縮小のせめぎ合い

青森市(3,670円)前年比+0.164%、郡山市(3,555円)-0.0843%と、ほぼ横ばいの状態。青森は中心市街地での居住需要がやや増加傾向、郡山は震災以降1時的に住宅需要が増加したものの、その後は反動もあり、やや落ち着いた推移を見せています。両市とも市場の安定性は高く、急激な変動とは無縁です。


旭川市・函館市 ― 北海道地方の地方都市の復調傾向

旭川市(3,454円)前年比+3.259%と、今回のデータ中で最大の伸び率。観光開発や移住促進策が徐々に効果を見せ始めていると考えられます。函館市(3,274円)+1.237%と上昇傾向にあり、両市とも札幌の1極集中に対抗する地方拠点都市として再評価されています。特に旭川では都市再編や若年層向け住宅開発の動きが活発化しています。


全体総括 ― 2極化する都市と、堅実な家賃水準

北海道・東北の家賃相場は全体で見ると-0.113%とわずかに下落しているものの、都市によっては着実に伸びているケースもあります。中心都市(仙台・旭川・盛岡)では上昇が見られる1方、人口減少や住宅供給の多さが続く都市(秋田・札幌の1部地域)では下落傾向。今後は、再開発や移住促進施策、教育機関の誘致などが家賃相場のカギを握ると考えられます。

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