札幌市と仙台市ではイチゴの価格が高水準にあるが、いずれも前年同月比では下落傾向。一方、札幌市の卸売数量は大幅増で、需要拡大や流通網の強化が進展。今後はブランド化・スマート農業・輸出強化が北海道・東北のイチゴ産業の鍵となる。
イチゴの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 1666 | -3.644 |
2 | 仙台市 | 1626 | -1.971 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 0.031 | +40.91 |
2 | 仙台市 | 0.013 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
イチゴの卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、北海道・東北地方の主要市場におけるイチゴの平均価格は高止まり傾向にあります。特に札幌市は1666円/kg、仙台市は1626円/kgと全国的に見ても上位に位置しています。ただし、いずれの都市も前年同月比では価格が下落しており、札幌市で-3.644%、仙台市で-1.971%という微減傾向が見られます。
1方、卸売数量では札幌市が0.031ktで仙台市の2倍以上の規模を持ち、しかも前年同月比で+40.91%の大幅な増加が確認されました。これは需要拡大や物流環境の改善を背景にした流通量の増加と推察されます。
価格と数量の長期推移と特性
イチゴは北海道・東北地域でも冬~春の主要果実として定着しており、気温の低さを活かした糖度の高いイチゴの出荷が特徴です。過去15年間を通して、価格は1定の変動を繰り返しながらも全国平均をやや上回る傾向が続いています。
数量面では、気象条件や輸送コストの影響を強く受けやすく、生産地からの搬送や地元生産の量により月単位での差が大きいのが特徴です。特に札幌市では近年、流通量の増加傾向が鮮明で、他地域からの調達拡大も1因です。
都市別の市場動向と背景
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札幌市は道内産の「けんたろう」や「ゆきララ」などのブランドイチゴの供給があるほか、本州産イチゴの集積地でもあり、価格水準は高め。数量の大幅増は小売業者の仕入拡大や業務需要の増加に対応したものと考えられます。
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仙台市は宮城県産の「もういっこ」などを中心に流通し、地場流通が多いため価格はやや抑えられる傾向にあります。近年は県内産の出荷時期と重なる本州他県産との価格競合により、価格安定に苦慮している可能性があります。
価格高騰または下落の要因分析
2025年6月時点での価格下落には以下の要因が想定されます:
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輸送コストの低下や物流体制の改善により、本州産イチゴが北海道・東北に安定供給されるようになったことで、価格競争が発生。
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気温の平年化傾向により作柄が安定し、価格の急騰を招くような供給ショックがなかった点。
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1方、1部高級ブランドイチゴの出荷比率低下により、平均価格が下がった可能性もあります。
イチゴ生産の動向と今後の展望
北海道・東北では寒冷地特有の気候を活かした高糖度イチゴのブランド化が進んでいます。特に北海道の「けんたろう」や福島・秋田の「とちおとめ」系統など、地元での選抜品種が1定の支持を集めており、産地直送型の流通モデルや観光農園との連携も強化されています。
今後は以下の方向性が鍵となります:
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栽培技術のスマート化:ICT温室制御の導入により出荷時期の安定化が可能に。
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道県間連携の強化:産地と消費地をつなぐ共同物流網の構築がさらなるコストダウンと安定供給を後押し。
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輸出へのシフト:特に台湾・香港・シンガポールなどへの輸出が今後の成長余地とされています。
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