北海道・東北地方の果物価格は、消費地である都市圏(仙台・札幌)で高く、生産地(青森・八戸)では低くなる傾向が続いています。特に北海道では前月比での価格上昇が顕著で、物流費や出荷調整が影響しています。今後は高齢化による生産縮小や燃料高騰などで緩やかな価格上昇が続くと予想され、地域ごとの需給バランスが重要な焦点となります。
りんごの卸売り市場価格
りんごの高い順
仙台市 | 札幌市 | 旭川市 | 室蘭市 | 青森市 | 福島市 | 函館市 | いわき市 | 秋田市 | 八戸市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2011年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2010年7月 | 2020年6月 | 2020年5月 | 2015年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 |
最新値[円/kg] | 510.7 | 489 | 401 | 349 | 335 | 328 | 322 | 313 | 298 | 269 |
最大値[円/kg] | 626 | 621 | 551 | 382 | 521 | 591 | 539 | 753 | 600 | 609 |
前月比[%] | +3.515 | +0.2727 | +12.96 | +19.93 | +2.446 | +5.806 | +23.37 | +2.961 | -17.68 | +0.3731 |
前年同月比[%] | +13.06 | +3.822 | +31.91 | +31.7 | +32.41 | +56.19 | +22.9 | +34.91 | +24.17 | +30.58 |
りんごの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
りんごの価格についての推移と展望
北海道・東北地方は、日本国内でも有数のりんご生産地域として知られ、特に青森県は全国生産量の5割以上を占める最大の産地です。気候が冷涼で昼夜の寒暖差が大きいため、糖度と酸味のバランスが取れた良質なりんごが育ちやすい地域です。こうした地理的条件から、この地方の果物価格は全国の指標にもなり得ます。
最新価格データから見る都市別の価格水準
以下が2025年4月時点での主要都市の果物価格(円/kg)です:
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仙台市:510.7円
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札幌市:489円
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旭川市:401円
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室蘭市:349円
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青森市:335円
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福島市:328円
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函館市:322円
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いわき市:313円
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秋田市:298円
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八戸市:269円
この価格分布を見ると、都市の規模や流通網の違い、消費地と生産地の距離が価格に反映されています。たとえば、仙台市や札幌市は都市圏として流通需要が大きく、価格も相対的に高い傾向です。一方で、生産地に近い青森や八戸では供給が豊富なため、価格は低めにとどまっています。
前月比・前年比から見た価格の動きと背景
前月比増減(注目点):
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函館市(+23.37%)、室蘭市(+19.93%)、旭川市(+12.96%)と北海道内で特に大きな上昇が見られます。
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これは天候不順や物流コストの高騰、出荷量の一時的な減少によるものと考えられます。
一方で、秋田市(-17.68%)のように大幅な下落が見られる地域もあり、局地的な需給バランスの崩れや在庫処分的な販売が要因と考えられます。
年度比(前年同月比)でも、北海道の主要都市(函館、室蘭、旭川)はいずれも二桁台の価格上昇率を示し、北海道産の果物(特に高品質のりんご)に対する需要の高まりや物流再構築の動きが影響していると見られます。
青森・八戸など生産地価格の特徴
青森(335円)、八戸(269円)といった主要産地では、卸売価格が全国平均より低く抑えられています。これは供給量の多さによる「地元価格」の反映ともいえます。一方で、青森の価格が前年比+2.446%、八戸も+0.3731%と微増傾向にあることから、今後の物流費や燃料価格次第ではじわじわと価格上昇する余地もあります。
価格格差の要因と構造的課題
都市別の価格格差は以下のような要因に起因します:
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消費地と生産地の距離(輸送コスト)
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市場流通量と需要密度
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各都市の再販構造(小売の利幅)
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ブランド価値と選果基準
特に北海道は道内移動でも距離が長く、交通インフラの制約も大きいため、産地で安くても都市部では高くなるケースが増えています。また、東北地方の中でも青森や福島は再生産コストに見合う価格形成が課題となっており、若干の需給不安定が影響しています。
今後の展望と価格推移の予想
上昇要因:
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燃料・人件費の上昇(とくに輸送・選果・包装)
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輸出需要(アジア向け)の増加
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高齢化による生産縮小と供給減
抑制要因:
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代替果物の普及(バナナ・輸入オレンジなど)
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価格に敏感な消費者層の増加
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廃棄ロス削減による出荷調整
全体として、今後は500円/kg台を上限とする緩やかな上昇傾向が続くと予想されますが、特定の都市では在庫処分やセールなどで急激な下落も起こり得ます。
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