北海道・東北地方のぶどう市場は、2025年6月時点で札幌市が2,942円/kg、仙台市が1,954円/kgと高価格を維持する一方、卸売数量は両市場とも約3割減少している。生産縮小や高品質志向、物流費上昇が価格上昇の要因で、今後は生産基盤強化とブランド化、流通効率化が課題となる。
ぶどうの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 2942 | +8.533 |
2 | 仙台市 | 1954 | +16.87 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 仙台市 | 0.017 | -29.17 |
2 | 札幌市 | 0.011 | -26.67 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
ぶどうの卸売り市場の現状と今後
北海道・東北地方のぶどう市場では、2010年以降、価格は概ね上昇傾向にあり、卸売数量は減少傾向が続いています。2025年6月の最新データによると、札幌市の市場価格は2,942円/kg(前年同月比+8.533%)、仙台市は1,954円/kg(同+16.87%)となり、価格は全国平均を上回っています。卸売数量は札幌市で0.011kt(前年同月比−26.67%)、仙台市で0.017kt(同−29.17%)と大幅に減少しており、供給量の縮小が顕著です。
都市別市場の特徴
札幌市は北海道最大の市場であり、品質重視の高級ぶどうの取引が盛んです。北海道内の限られたぶどう生産地から集荷し、冷涼な気候を活かした良質品が多く取引されます。価格は北海道内外からの需要を反映し高水準を維持していますが、収穫量減少に伴う数量減少が続いています。仙台市は東北地方の中心市場であり、地元産のぶどうをはじめ、他地域からの輸入品も流通しています。価格上昇率が高く、地域内での高品質志向が強まっていることがうかがえますが、こちらも卸売数量は減少傾向にあります。
価格高騰の要因
価格上昇にはいくつかの要因が絡んでいます。
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生産規模の縮小:北海道・東北のぶどう生産地では厳しい気候条件や農業従事者の減少により生産量が減少。
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② 高品質志向の強まり:消費者の味覚や見た目の品質要求が高まる中、高級ぶどうへの需要が拡大し、価格が上がる傾向。
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③ 物流コスト増加:遠隔地への輸送や保冷管理にかかるコストが価格に反映されている。
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④ 天候の影響:冷害や霜害、猛暑など不安定な気候が収量や品質に影響し、供給量の変動要因となっている。
ぶどう生産の動向と課題
北海道・東北地方は全国の主要産地と比べて生産量は少なめですが、冷涼な気候を活かした高品質品の生産に力を入れています。特に北海道では短期間の栽培技術の向上や施設栽培の導入も進展しています。しかし、生産者の高齢化や後継者不足は深刻で、労働力確保や経営安定化が課題です。また、天候変動による収穫時期の遅れや品質のばらつきがリスク要因となっています。
今後の展望と対策
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生産基盤の強化:新規就農者育成やIT活用による生産効率向上が必要。
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ブランド化とマーケティング強化:地域特産品としての高付加価値化を進め、付加価値向上を図る。
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流通の効率化と鮮度保持技術の導入:物流コスト削減と品質保持で競争力アップを目指す。
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気候変動対応策の推進:耐寒・耐暑性品種の導入や環境制御技術の活用が重要。
これらにより、北海道・東北のぶどう市場の持続的成長を支えることが期待されます。
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