北海道・東北地方のだいこん市場価格分析と今後の動向

だいこん

2025年6月の北海道・東北におけるだいこん価格は、仙台市で115.7円/kgと急上昇。一方で、札幌市は99.67円/kgで比較的安定。卸売数量は札幌が大幅増、仙台は減少と明暗が分かれた。冷涼な気候を活かす札幌に対し、仙台では供給減と物流コストが価格上昇の要因となっている。

だいこんの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1仙台市115.7+27.11
2札幌市99.67+3.103

市場価格の推移

だいこんの市場価格

北海道・東北の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1札幌市1.293+21.75
2仙台市0.455-6.186

卸売数量の推移

だいこんの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

だいこんの卸売り市場の現状と今後

2025年6月現在、仙台市のだいこん価格は115.7円/kgで、前年同月比+27.11%と大幅な上昇を示しました。1方、札幌市の価格は99.67円/kg(+3.103%)であり、仙台市ほどの急騰は見られません。

卸売数量では、札幌市が1.293ktと圧倒的に多く、仙台市は0.455ktに留まっています。前年同月比では、札幌市が+21.75%と数量が増加したのに対し、仙台市は-6.186%と減少しました。


価格と数量の過去からの推移

北海道・東北では、2008年から2020年にかけて、だいこんの市場価格はおおむね70〜90円/kgで推移し、安定傾向にありました。2020年以降は気象の変動と高齢化による生産者減少、物流費の上昇を背景に徐々に価格は上昇し、2024〜2025年にかけて急激な値上がりが複数の都市で確認されています。

数量面では、札幌市は地場産が充実しているため比較的安定しており、需要増に応じて流通量も増やせる体制が整ってきています。1方、仙台市は近年、生産地の縮小や流通経路の分散などにより、数量がやや縮小傾向にあります。


都市別の特徴と市場構造

札幌市は北海道内の主要生産地(例えば岩見沢、旭川、十勝地方など)との距離が近く、低コストで大量供給が可能です。夏場には冷涼な気候を活かした「夏だいこん」が多く出荷されるため、流通量が安定しており、価格の上昇も緩やかです。また、札幌市では業務用やカット野菜向けの取引も多く、1定の市場規模を保っています

仙台市は東北全域からの集荷がある1方で、地元の出荷体制が脆弱化しており、天候や生産者動向の影響を受けやすいです。また、都市部への物流依存度が高く、輸送コストが価格に反映されやすい構造があります。


価格高騰の要因分析

  1. 気候変動の影響:春の高温・干ばつ傾向により、だいこんの生育に支障が出るケースが増加。

  2. 人手不足と高齢化:農家の高齢化と新規就農者不足により、作付面積が減少。

  3. 燃料費・輸送費の高騰:地域間の輸送がコスト高となり、地場生産の比率が高い都市とそうでない都市で価格差が生じている。

  4. 業務需要の回復:コロナ禍以降、外食・弁当産業が回復し、業務用需要が増加したことも価格押し上げに寄与。


だいこん生産の動向と今後の展望

  • 北海道では夏場を中心に安定供給が可能で、今後も札幌を中心とした流通の拡充が見込まれます。

  • 東北地方では高温障害や栽培放棄が課題。特に宮城・福島の1部地域ではだいこん農家の減少が進行中。

  • ICT活用による生産の効率化や、カットだいこん向けの契約栽培が進めば、安定供給につながる可能性あり。

  • 消費側では健康志向の高まりや和食ブームの再燃により、だいこんの需要は底堅く推移すると見られます。

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