2025年6月時点で札幌市のたまねぎ価格は149.7円/kg、数量は2.028ktと増加傾向。一方、仙台市は価格139円/kg、数量0.575ktと減少。北海道産の豊作と物流安定が価格下落の背景にあり、今後は持続可能な流通体制が重要となる。
たまねぎの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 149.7 | -8.178 |
2 | 仙台市 | 139 | -2.797 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 2.028 | +51.34 |
2 | 仙台市 | 0.575 | -25.71 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
たまねぎの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点で、札幌市のたまねぎ市場価格は149.7円/kg、仙台市は139円/kgと、全国平均(138円/kg)をいずれも上回る水準にあります。前年同月比で見ると、札幌市は-8.178%、仙台市は-2.797%といずれも下落傾向にありますが、全国的な下落率(-12.29%)と比較すれば緩やかな下げ幅にとどまっており、安定感がうかがえます。
これは、過去数年にわたる価格の高騰とその反動による調整局面と見ることができ、特に2022年~2023年の高値期に比べて、生産と流通のバランスが整い始めている兆しとも言えます。
卸売数量の推移と特徴
卸売数量の観点では、札幌市が2.028ktと東北・北海道で圧倒的な規模を誇り、前年同月比で+51.34%と非常に大きな伸びを示しています。これは、北海道における作柄の回復、生産量の増加、加えて流通体制の改善が相乗的に作用した結果と考えられます。
1方、仙台市は0.575ktと数量では小規模であり、前年同月比で-25.71%と大幅に減少しています。東北地方は北海道と異なり、たまねぎの生産量そのものが限られており、仙台市市場は東北各地からの集荷に加え、北海道・関東からの移入に大きく依存しているため、供給元の変化に敏感な構造を持っています。
地域別の特徴と背景要因
札幌市の特徴:
札幌市市場は、道内各地(特に十勝・北見・空知地域など)からの新鮮なたまねぎを直接集荷する拠点です。生産地からの距離が短く、輸送コストが抑えられる1方で、道内流通の分散化により、価格は都市圏に比べてやや高止まりする傾向があります。2025年の大幅な卸売数量増は、道内での作柄好調を反映しています。
仙台市の特徴:
仙台市市場は、物流の結節点として東北6県からの集荷が中心となっていますが、年によっては北海道や関東からの玉ねぎ流入が価格形成に影響します。2025年の数量減は、輸送コスト高や他市場との競争による仕入れ減少が原因と推察され、価格も供給の絞り込みにより1定の高値維持となっています。
価格高騰の要因と調整局面
2022~2023年のたまねぎ価格高騰の背景には、異常気象や輸送費高騰、円安による輸入価格の上昇などがありました。特に北海道では干ばつや高温の影響で収穫量が減少し、それが全国の需給バランスを1時的に崩しました。
しかし、2024年から2025年にかけては、北海道を中心とした生産量が回復基調にあり、さらに貯蔵施設や選別技術の進化によって、流通の安定化も進んでいます。この結果として、価格は高止まりから緩やかな下落局面へと移行しており、特に札幌のような大市場でその傾向が顕著です。
北海道・東北地方におけるたまねぎ生産の動向と今後の課題
北海道は日本最大のたまねぎ生産地であり、安定供給の柱として機能しています。特に北見地方を中心に、全国流通向けの規格品が大量に生産されています。生産現場では、スマート農業の導入や若手農家支援によって効率化が進みつつあります。
東北地方では、青森や山形など1部でたまねぎ生産が見られるものの、北海道に比べると規模は小さく、地域内消費や地産地消が中心となっています。今後は、北海道産に過度に依存しない分散型の流通戦略や、保存技術の普及による安定供給体制の構築が課題とされます。
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