2025年6月、北海道・東北のきゅうり市場は札幌市が340.7円/kg、仙台市は269.3円/kgと高騰。数量は札幌市が0.914kt、仙台市が0.52ktでともに増加。価格上昇の背景には気象不順、生産コスト上昇、人手不足などがあり、今後の安定供給にはスマート農業や地域間連携が鍵となる。
きゅうりの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 340.7 | +23.88 |
2 | 仙台市 | 269.3 | +43.51 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 0.914 | +9.2 |
2 | 仙台市 | 0.52 | +2.767 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
きゅうりの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点で、北海道・東北地方の主要市場では、札幌市の市場価格が340.7円/kg、仙台市が269.3円/kgとなっており、両市とも前年同月比で価格が大きく上昇しています。特に仙台市は+43.51%の急騰を見せ、前年からの変動幅が大きい点が注目されます。
卸売数量については、札幌市が0.914ktと仙台市(0.52kt)を大きく上回っており、北海道内の消費・流通の集積地としての役割を果たしています。数量面でも、札幌市が前年比+9.2%増、仙台市が+2.767%増と、堅調な供給体制が維持されていることが分かります。
過去からの価格と数量の推移
過去15年以上のデータを見ると、北海道・東北地方のきゅうり価格は季節変動が大きく、夏場に需要が集中する1方、冬場は出荷減により価格が高騰する傾向があります。札幌市は近年、施設栽培による安定供給体制を整えつつあり、冬期の価格変動がやや緩和されてきています。
数量面では、都市部を中心に年々微増の傾向があり、とくに札幌市は地産地消政策のもと、道内各地からの集荷機能を強化しつつあります。仙台市では東日本大震災以降、農業の再生が進む中で出荷量の回復が見られ、2020年代に入ってからは安定的な供給を維持しています。
都市別の特徴と需給構造
札幌市の特徴:
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北海道産きゅうりの大部分が集まる流通拠点であり、取扱数量が非常に多い。
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市場価格は他地域と比べても比較的高く、品質志向の消費者ニーズが背景にある。
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夏場は道内各地(十勝、空知など)からの露地栽培がピークを迎え、供給も安定。
仙台市の特徴:
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東北地方の主要な集積地として、多品目の青果物流通が行われるが、きゅうりはやや価格帯が低め。
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出荷元は宮城県内の沿岸部や山形県内陸部が多く、天候に大きく左右される。
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近年は地場農業の担い手が高齢化し、供給力にやや陰りも。
価格高騰の主な要因
2025年6月にかけての価格上昇の背景には以下のような要因が重なっています。
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春先の天候不順(高温少雨)により、苗の成長遅れや病害虫の影響が拡大。
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燃料・資材コストの上昇により、生産コストが急増。
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人手不足の深刻化により、収穫や出荷のタイミングに遅れが生じた。
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都市部での需要集中による価格プレミアム化(とくに札幌市)。
これらが複合的に作用し、供給量に対して需要が上回る構造が、価格を押し上げています。
きゅうり生産の今後と地域への示唆
北海道では今後も施設栽培の拡充やAI・ICTを活用したスマート農業への移行が期待されており、品質と安定供給の両立が図られつつあります。
東北地域では、若手農業者の育成や6次産業化の流れの中で、地域ブランド化された青果物(例:蔵王きゅうり等)の登場もあり、単なる「量」から「質」への転換が始まっています。
ただし、物流面のコスト増や高齢化などの課題は依然として大きく、自治体・JA・民間が連携して生産支援・販路拡大に取り組む必要性が高まっています。
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