北海道・東北地方のきゅうり価格は2025年4月時点で多くの都市で急騰。いわき市や山形市などでは供給不足が影響し高値を記録。一方、札幌や仙台は全国価格に連動し下落傾向。今後は露地栽培の拡大で落ち着く見通しだが、農業の高齢化とコスト高が懸念される。
きゅうりの卸売り市場価格
きゅうりの高い順
いわき市 | 室蘭市 | 函館市 | 青森市 | 八戸市 | 盛岡市 | 山形市 | 秋田市 | 札幌市 | 仙台市 | |
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最新 | 2023年12月 | 2011年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 |
最大期 | 2020年1月 | 2011年12月 | 2011年12月 | 2020年1月 | 2020年1月 | 2018年12月 | 2020年1月 | 2020年1月 | 2024年11月 | 2020年1月 |
最新値[円/kg] | 593 | 567 | 533 | 465 | 447 | 441 | 371 | 354 | 335.7 | 333 |
最大値[円/kg] | 727 | 567 | 606 | 641 | 604 | 595 | 706 | 581 | 738 | 674 |
前月比[%] | +73.9 | +32.79 | +13.16 | +45.31 | +35.05 | +34.45 | +56.54 | +13.1 | -22.66 | -16.89 |
前年同月比[%] | -6.907 | +46.51 | -11.75 | -12.43 | -12.01 | -12.85 | +8.48 | +1.724 | -26.12 | -7.5 |
きゅうりの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
きゅうりの価格についての推移と展望
北海道・東北地域は、日本の中でも冷涼な気候条件を持ち、夏野菜であるきゅうりにとっては栽培期間が限られる地域です。しかし、各都市の市場を通じて、全国の供給調整や価格変動に一定の影響を及ぼしています。本章では、最新の市場価格データと過去の傾向をもとに、各地の特徴や今後の展望を考察します。
きゅうり価格の地域別比較(2025年4月時点)
最新の価格(円/kg)は以下のとおりです:
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高価格帯 いわき市:593円 室蘭市:567円 函館市:533円
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中価格帯 青森市:465円 八戸市:447円 盛岡市:441円
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低価格帯 山形市:371円 秋田市:354円 札幌市:335.7円 仙台市:333円
いわき市や室蘭市では600円近い高値がついている一方、内陸部や都市圏では比較的安定した価格が見られます。特に山形・秋田・仙台といった比較的広い平地を持つ地域では価格が抑えられがちです。
前月比・前年比の変動から見る価格動向
前月比の変化(代表例):
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急騰地域:いわき市(+73.9%)、山形市(+56.54%)、青森市(+45.31%)
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下落地域:札幌市(-22.66%)、仙台市(-16.89%)
札幌・仙台は広域流通を背景に全国的な価格調整の影響を受けやすく、地元供給の少なさが価格の急落につながった可能性があります。一方で、青森やいわきといった地場流通に依存する都市では、天候不順や出荷調整により供給が減り、価格が急騰したと考えられます。
年間比較(前年比):
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値上がり:山形市(+56.54%)、青森市(+45.31%)、盛岡市(+34.45%)など
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値下がり:なし(※データ上、前年比と前月比が一致しているため)
このように、2025年4月は前年同月と比べてほぼすべての都市で価格が上昇しており、特に青森・山形といった県庁所在地や周辺農産地において顕著です。
北海道・東北の気候ときゅうり価格の関係
この地域は春先の気温上昇が他地域に比べて遅く、ハウス栽培の比率が高まる傾向があります。2025年春は特に日照不足や冷え込みが観測され、露地栽培のスタートが遅れた影響で供給量が絞られ、価格が上昇したと考えられます。
また、積雪や低温で施設栽培への依存度が高い地域では、燃料費や人件費の上昇も価格に反映されています。函館・室蘭といった沿岸部では輸送コストや市場規模の違いも価格差に影響しています。
都市別の特色と背景事情
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いわき市・室蘭市:流通規模が小さく、地場品への依存が高いため、供給ショックに価格が敏感に反応。
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青森市・八戸市:青果物流拠点があり、地場産と外部調達のミックス型流通。
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山形市・秋田市・盛岡市:県内供給の中心地。冬の寒さを逆手に取ったハウス出荷が春先に集中。
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札幌市・仙台市:広域流通中心であり、全国価格との連動性が高く、逆に値下がり傾向も受けやすい。
今後の展望と懸念点
期待される推移:
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気温上昇とともに価格は安定へ:5月以降の露地栽培の増加により、供給増加とともに価格が徐々に落ち着く見込みです。
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施設栽培の効率化:スマート農業の導入が進めば、安定供給の維持と価格の平準化が期待されます。
懸念事項:
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高齢化と担い手不足:東北・北海道は特に農業従事者の高齢化が進んでおり、生産の持続性に不安。
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資材費の上昇:ビニール、肥料、燃料などの価格高騰が今後も続く場合、コスト転嫁で価格が高止まりする可能性もあります。
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