家計調査によると、全国平均の家賃地代支出割合は16.2%だが、那覇市では69.8%と極めて高く、他都市と大きな開きが見られる。一方、松山市や横浜市などでは5%未満にとどまる地域もある。こうした都市間の差には住宅供給状況や地価、居住文化が関係しており、今後は地方圏での上昇リスクや高齢層の居住安定が課題となる。世代間でも賃貸依存度の高い若年層が増加しており、住宅政策の転換が求められている。
家賃地代の家計調査結果
家賃地代の多い都市
家賃地代の少ない都市
これまでの家賃地代の推移


詳細なデータとグラフ
家賃地代の現状と今後
2025年3月時点の勤労世帯における家賃地代の支出割合(住宅費に占める比率)は全国平均で16.2%とされていますが、地域ごとの格差は非常に大きいのが実情です。特に高いのは那覇市の69.8%であり、他都市を大きく引き離しています。以下、札幌市(37.5%)、宮崎市(37.0%)、仙台市(34.6%)と続き、甲府市(31.7%)や高知市(31.2%)など中小都市でも高水準の家賃地代負担が確認されています。
1方で、松山市(3.8%)、横浜市(4.3%)、津市(4.6%)などでは著しく低く、地価や居住スタイルが影響していると見られます。
家賃地代支出割合の推移と急変動地域の背景
この20年あまりの間、家賃地代の割合は大都市圏でやや減少傾向、中小地方都市で増加傾向が見られます。
特筆すべきは甲府市の+437.3%増、宮崎市の+105.6%増など、地方都市における急増です。これは新築賃貸住宅の供給増加や、若年層の持ち家離れ、空き家対策における再開発による賃料上昇が複合的に関係していると考えられます。
1方、津市(-76.04%)や相模原市(-76.33%)のような急減都市も存在します。これらでは、持ち家化の進行や市外への転出、世帯構成の変化(高齢化による持ち家率上昇)などが要因と推察されます。
都市間の特徴と地理的背景
高家賃地域の特徴:
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地価が高騰している、もしくは賃貸住宅しか選択肢が少ない地域(例:那覇市)。
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人口集中や観光地化で地元住民の賃貸負担が相対的に上昇。
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賃貸物件の新築率が高く、平均家賃が押し上げられている。
低家賃地域の特徴:
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持ち家率が極めて高く、賃貸ニーズが少ない(例:松山市)。
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空き家を安価に借りることが可能なため、地代が低く抑えられる。
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雇用流出により賃貸需要が減退、家賃価格も抑制されている。
世代間の違いと住宅支出
勤労世帯の中でも若年層(20代〜30代)は賃貸志向が強く、転職やライフスタイルの柔軟性を重視する傾向があります。このため、都市部では家賃地代の比率が相対的に高くなりやすいです。
1方、中高年層(40代以降)は持ち家率が高く、ローン完済後は家賃支出が減少する傾向があります。その結果、都市部でも高齢世帯の多い地域では家賃地代割合が低くなります。
今後の展望と懸念点
今後の動向としては以下が考えられます:
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地方圏の家賃地代上昇 再開発や移住促進策で賃貸住宅の供給が増える中、地価が相対的に安価な地方都市でも家賃負担が高まる可能性があります。
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都市部での2極化 高級賃貸と低廉物件の2極化が進み、低所得者層の居住安定が脅かされる懸念があります。
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高齢化と固定資産の偏在 空き家の増加にもかかわらず、若年世帯は賃貸しか選択できない構造が続けば、家賃地代への依存度が高まり、長期的には家計圧迫要因となる可能性があります。
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住宅補助制度の強化の必要性 家賃補助や低所得層向けの公営住宅供給政策の見直しが必要とされるでしょう。
まとめ
家賃地代は1見、地域や世帯の選好によって決まるように見えますが、その背後には地価、住宅政策、世帯構成、都市計画といった多くの要素が絡んでいます。今後は若年層の住居不安や地域間格差の是正が焦点となり、住宅政策の柔軟な設計が不可欠です。
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