勤労世帯の保険金収入は全国平均で0.596万円と控えめですが、山口市では10.24万円と大きな地域差が見られます。岐阜市や札幌市では急増する一方、京都市など複数都市では前年比-100%でゼロという極端な変動も確認されました。近年は保険の加入・利用傾向に二極化が見られ、今後は物価高と家計圧迫の影響でさらなる変化が予想されます。
保険金の家計調査結果
保険金の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 山口市 | 山形市 | 大阪市 | 横浜市 | 盛岡市 | 岐阜市 | 津市 | 札幌市 | 那覇市 | 金沢市 |
最新値[万円] | 0.596 | 10.24 | 2.935 | 2.752 | 2.731 | 2.11 | 2.059 | 1.661 | 1.374 | 1.303 | 1.18 |
前年月同比[%] | -23.68 | +801.8 | +415.8 | +153.9 |
保険金の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 京都市 | 仙台市 | 前橋市 | 北九州市 | 千葉市 | 名古屋市 | 和歌山市 | 宇都宮市 | 宮崎市 | 富山市 |
最新値[万円] | 0.596 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
前年月同比[%] | -23.68 | -100 | -100 | -100 | -100 | -100 | -100 | -100 |
これまでの保険金の推移


詳細なデータとグラフ
保険金の現状と今後
勤労世帯にとって保険金は、突発的な医療費や事故、災害時の経済的支援として機能します。特に中間所得層以下にとっては、保険金の受け取りが家計の急場をしのぐ手段となっており、生活の安定に欠かせない存在です。本稿では、家計調査に示された保険金収入の動向から、地域差、時系列変化、今後の課題と展望を丁寧に整理していきます。
全国平均と際立つ地域差
2025年3月時点で、全国の勤労世帯における保険金収入の平均は0.596万円と控えめですが、山口市では10.24万円と飛び抜けた数値が出ています。続く山形市(2.935万円)、大阪市(2.752万円)など、地域によって大きなばらつきが見られます。これは1部の地域で高額保険金が集中して支払われた特異な事例があった可能性や、地元企業の団体保険制度、特定の災害・疾病流行との関連が考えられます。
異常値と無収入都市の問題点
1方で、京都市、前橋市、千葉市、名古屋市、和歌山市、宇都宮市、富山市では、前年同期比-100%となっており、保険金の受取実績がゼロだったことを示しています。これは支払いタイミングのずれ、または保険商品自体の見直し・解約の動きがあった可能性が考えられます。勤労世帯が保険金に頼らず、あるいは給付を受ける機会がなくなってきているという傾向も読み取れます。
保険金増加地域の要因と実態
北陸(+154.1%)、岐阜市(+801.8%)、札幌市(+415.8%)といった地域では保険金収入が急増しています。これは、保険金支払い対象となる医療費請求や災害被害が集中した可能性があり、または保険制度を活用しやすい地域性(高齢世帯との混在や医療体制)が影響しているとも考えられます。近年、医療費控除や民間医療保険の普及によって、こうした地域の受取額はさらに拡大傾向にあります。
時系列的に見る勤労世帯と保険金の変遷
2010年以降、保険商品の多様化と非正規雇用の増加により、勤労世帯の保険加入率にはやや鈍化傾向が見られました。1方、コロナ禍をきっかけに「医療給付金」や「入院保険」の給付件数は1時的に増加し、2020年以降で保険金収入の平均は若干持ち直しています。保険への意識の差が、所得階層や地域の雇用構造によって大きく分かれてきたともいえるでしょう。
今後の見通しと課題
今後、物価高と可処分所得の減少が進む中で、保険料の支払い自体が困難になる勤労世帯が増える可能性があります。これにより、保険金収入の発生も限られ、保障の空洞化が進む懸念があります。1方で、企業型団体保険や共済制度を通じた保障の再評価も進んでおり、「保険離れ」と「保険回帰」が同時進行する時代に入っていくと予想されます。
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