冷凍米飯価格が上昇中―地域別の傾向と高騰の背景[2025年]

冷凍・調理



2020年から2025年にかけて、日本の冷凍米飯100gの平均小売価格は大きく上昇し、最新では89.53円となっています。地域によって価格差があり、盛岡や札幌など都市部では高く、鹿児島や高松では安価ですが、特に安価地域での上昇率が顕著です。価格高騰の背景には、エネルギーコストや人件費の上昇、円安、物流費増など複数の要因があり、今後も継続する可能性があります。

惣菜・外食の都市別小売価格

冷凍米飯の高い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 盛岡 札幌 千葉 熊本 さいたま 奈良 青森 山形 富山 甲府
最新値[円] 89.53 109 106 103 102 102 101 100 99 98 97
平均比[%] 100 121.7 118.4 115 113.9 113.9 112.8 111.7 110.6 109.5 108.3
前年月同比[%] 6.721 32.93 11.58 24.1 13.33 29.11 17.44 21.95 11.24 3.158 15.48

冷凍米飯の低い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 鹿児島 高松 高知 松江 神戸 前橋 松山 佐賀 和歌山
最新値[円] 89.53 75 76 76 78 79 80 81 81 82 82
平均比[%] 100 83.77 84.89 84.89 87.12 88.24 89.35 90.47 90.47 91.59 91.59
前年月同比[%] 6.721 -3.846 -9.524 -3.797 -13.33 5.333 3.896 -7.955 -1.22 -5.747 0

 

これまでの冷凍・調理の推移

冷凍米飯の小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

冷凍米飯の現状と今後

冷凍米飯は、炊き立てのご飯を急速冷凍したもので、レンジ加熱するだけで食べられる利便性の高い食品です。単身世帯の増加や共働き世帯の増加といった社会構造の変化により、調理の手間を省ける冷凍食品全般の需要が拡大する中、冷凍米飯もその中心的な存在となっています。

2020年から2025年までの価格動向

2020年1月から2025年3月にかけて、日本の冷凍米飯100gあたりの平均小売価格は全体的に上昇傾向を示しています。最新の2025年3月時点では、全国平均が89.53円となっており、2020年頃の価格(70円台前半)と比べても大幅な上昇が見られます。これは、エネルギー価格の高騰、円安、輸送コストや包装資材の価格上昇といった複数の外的要因が複合的に影響していると考えられます。

都市別価格の特徴と格差

都市別に見ると、冷凍米飯の価格には明確な地域差が見られます。

価格が高い都市

高価格帯の都市トップ10には以下の地域が含まれます:

  • 盛岡:109円(前年比+32.93%)

  • 札幌:106円(+11.58%)

  • 千葉:103円(+24.10%)

  • 熊本・さいたま:102円(+13.33%、+29.11%)

これらの都市では、地理的要因により流通コストが高い、または地域の購買力や物価水準が比較的高いといった特徴が見られます。盛岡のように前年比で30%を超える大幅な上昇が起きている地域もあり、生活への影響が無視できません。

価格が低い都市

一方、低価格帯の都市は以下の通りです:

  • 鹿児島:75円(前年比+83.77%)

  • 高松・高知:76円(+84.89%)

  • 松江:78円(+87.12%)

  • 神戸:79円(+88.24%)

これらの都市では、元々の価格が比較的安かったことに加え、急激な値上がりが起きており、前年同期比で80~90%超の上昇率を記録している点が特に注目されます。これは、冷凍米飯が「安価な食事の選択肢」とされていた地域でも、その前提が崩れつつあることを意味します。

価格高騰の背景にある要因

原材料費の上昇

米の価格は比較的安定してきたものの、近年は天候不順や農業従事者の高齢化によって国内生産が減少傾向にあります。これにより、原料米の仕入れ価格にもじわじわと影響が出ています。

エネルギーと物流コストの上昇

冷凍食品は製造・保存・輸送すべてにおいて電力・燃料を多く消費します。特に冷凍庫や冷蔵トラックの使用が欠かせないため、電気代やガソリン代の上昇はそのままコスト増に直結します。

円安と輸入依存

冷凍食品の包装材や加工設備の一部は輸入に依存しており、円安の影響でこれらのコストも上昇。さらに、国内の製造ラインも部品調達コストの上昇で値上げを強いられています。

人手不足と人件費上昇

食品加工工場や物流業界では慢性的な人手不足が続いており、最低賃金の引き上げも含めて人件費が上がっています。これも冷凍米飯の製造・流通コストを押し上げる一因です。

今後の展望と課題

価格高騰が続く中、消費者の節約志向も強まっており、業界は「少量・低価格パック」や「業務用大容量商品の拡充」といった対応を進めています。しかし、これらの努力にも限界があり、一定の価格上昇は避けがたいと見られます。

また、今後は政府のエネルギー政策や円為替の安定が冷凍食品価格に影響を与える要素として重要になってくるでしょう。消費者にとっては、冷凍米飯が手軽で経済的な選択肢であり続けるための政策的・業界的支援が求められます。

 

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