2025年3月時点での住宅別机・いす支出は、給与住宅および住宅ローン付きの持ち家で特に高く、住宅に対する愛着や居住年数、収入余裕が影響していると考えられる。一方、公営・その他住宅では支出が極端に低く、経済的制約が表れている。給与住宅では前年から大幅な増加が見られ、リモートワーク再拡大や転居時の新規購入が主因と見られる。今後は住宅の所有形態や住環境の質によって家具支出に二極化が進む可能性が高い。
住宅別の机・いす
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
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名称 | 平均 | 給与住宅 | 持ち家のうち住宅ローン有り | 民営 | 持ち家 | その他 | 公営 |
最新値[円] | 241 | 405 | 405 | 350 | 235 | 46 | 10 |
前年月同比[%] | -4.223 | +54.58 | +6.021 | -26.32 | -2.083 | -79.56 | -69.7 |
これまでの住宅別の推移


詳細なデータとグラフ
住宅別の現状と今後
2025年3月時点の住宅別机・いすの月間平均支出は241円と、全国平均(世帯別など含む)よりやや控えめな水準にあるが、住宅形態ごとの違いは顕著である。とりわけ「給与住宅」と「住宅ローン付き持ち家」での支出(いずれも405円)は、他形態と比べて突出している。これは住環境への投資意欲や、居住に対する積極的な支出姿勢を反映していると考えられる。
給与住宅と住宅ローン持ち家―支出の高さの理由
給与住宅:+54.58%の急増
給与住宅とは、企業などが職員向けに用意した社宅や宿舎である場合が多く、比較的若い年齢層や転勤族が多く住む。転居時に必要となる家具類の買い足し、特にデスクや椅子などの「置き家具」は、支出を大きく押し上げる要因となる。リモートワーク対応のために新たなデスクを購入する事例も少なくない。また、支出額が前年比+54.58%と急上昇している点からも、居住開始や生活様式の刷新が集中した時期であったことがうかがえる。
住宅ローン付き持ち家:堅調な支出
持ち家の中でもローン返済中の世帯では、住まいへの関心が高く、インテリアや家具にこだわる傾向が強い。家具の買い替えや、新生活への設備投資は頻繁であり、リビング学習や在宅勤務の増加も机・いすへの支出を後押ししている。前年同期比+6.021%という伸びは安定感を示している。
民営・持ち家(ローンなし)層の中間的な支出
民営住宅(350円)も高めだが、前年同期比では-26.32%と大きく減少しており、2024年頃の需要の一巡、もしくは家計抑制の波を受けた可能性がある。一方、ローンのない持ち家(235円)では、家具の買い替えサイクルが長期化し、消費が控えめになる傾向がある。住宅に安定して長く住んでいる世帯は、家具がすでに整っているため、新たな出費が生じにくいという特徴がある。
その他住宅・公営住宅―低所得層の制約
「その他」(46円)や「公営住宅」(10円)の支出は非常に低く、前年同期比でそれぞれ-79.56%、-69.7%と大幅な減少が見られる。これらの住宅形態に多く見られるのは高齢者や生活保護世帯、所得の低い単身層であり、物価上昇の影響を強く受ける層である。
机・いすのような大物家具の購入は優先順位が下がり、必要に迫られない限り買い替えが行われない。また、中古家具や譲渡品での対応も増えており、支出データには表れにくい消費行動が背景にあると考えられる。
住宅別の家具支出を左右する要因
住宅形態によって家具支出に差が生じる背景には以下のような要因がある:
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居住年数とライフステージ:転居が多い給与住宅と、定住傾向の持ち家では家具の必要性が異なる。
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所有意識:ローン返済中の住宅では“住まいを良くしたい”という意識が強い。
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経済余裕度:公営住宅やその他住宅では消費に対する制約が大きい。
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働き方・学習環境:リモートワーク、子どもの学習スペース確保などの影響は机・いす支出を直撃する。
今後の予測と展望
今後、住宅別の机・いす支出は以下のように推移する可能性がある:
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給与住宅・ローン付き持ち家では、新生活・転居・在宅勤務などの影響を受けて、今後も安定した支出が続く。
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民営住宅では、家賃上昇や光熱費の増加により家具支出は今後さらに減少する可能性がある。
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ローンなし持ち家層では家具更新のペースが落ち、横ばい傾向。
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公営・その他住宅では、支出は極小化が続き、支援策や中古市場への依存度が高まる。
また、すべての住宅形態に共通して「多機能家具」「省スペース家具」などの高付加価値家具への移行が進むことで、個数ではなく単価ベースでの消費が拡大する可能性もある。
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