庭の手入れ代はいくら?住宅別支出の違いと今後の生活スタイル予測

住宅



庭の手入れ代は住宅形態によって大きく異なり、持ち家が最も高く405円、給与住宅は38円と低水準です。物価高と共働き世帯の増加により、住宅ローン持ちの家庭や民営住宅では支出が増加傾向にあります。今後は都市型住宅の庭離れが進み、支出自体が縮小する一方、外注型サービスの需要は特定層で拡大が見込まれます。

住宅別の庭の手入れ代

1世帯当りの月間支出

2025年3月 1 2 3 4
名称 平均 持ち家 持ち家のうち住宅ローン有り 民営 給与住宅
最新値[円] 249.4 405 227 210 38
前年月同比[%] -7.903 -6.25 +14.65 +425

 

これまでの住宅別の推移

庭の手入れ代
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

住宅別の現状と今後

日本における「庭の手入れ代」は、住まいの形態と密接に関係しています。戸建て中心の持ち家には庭がついていることが多く、マンションや集合住宅ではそもそも庭がない、または共有スペースとなっているため、手入れの必要性や支出は大きく異なります。住宅の形態は住環境だけでなく、生活スタイルや価値観、そして可処分所得にも影響するため、庭の手入れ代という小さな支出に、意外な社会的背景が投影されているのです。


2002年〜2025年の庭手入れ代の長期的推移と平均額

2002年からの住宅別データを通じて見ると、庭の手入れ代は物価や人件費の上昇、住宅事情の変化により、年々変動を繰り返しています。2025年3月時点での住宅別平均は249.4円となっており、住宅保有形態に応じて明確な差異が見られます。

特に直近のデータでは、持ち家は405円と最も高く、逆に給与住宅はわずか38円と極端に低くなっている点が注目されます。


住宅別の支出構造と特徴

持ち家(405円/前期比 -6.25%)

庭を持つ割合が高く、戸建てが中心となる持ち家世帯は、やはり庭の手入れ代も突出しています。ガーデニングや外構管理を楽しむライフスタイルの一部として支出が行われる一方、業者委託による高額な手入れも一般的です。

ただし前年比で-6.25%と減少しており、物価上昇により「手入れは自分で行う」「手を入れず放置する」といった節約志向が強まっている可能性があります。また、高齢化や相続後の空き家問題などで、庭付き住宅の維持が難しくなっている背景も影響しています。

持ち家(住宅ローンあり)(227円/前期比 +14.65%)

ローン返済中の世帯では、比較的若いファミリー層が多いと考えられます。支出は405円の持ち家平均よりも低いものの、前年比+14.65%と増加しており、これは若年層の「時間をお金で買う」傾向が強まっていることを示唆しています。

働きながら家を維持する中で、休日に庭仕事をする余裕がなく、外注に依存するケースが増えていると考えられます。さらに、家の資産価値維持や見栄えを意識する傾向も、庭の手入れ支出に反映されていると見られます。

民営住宅(210円/前期比 +425%)

集合住宅や賃貸アパートが中心の民営住宅では、通常、専用の庭を持つことは稀であり、以前は庭の手入れ代はほぼ発生していませんでした。しかし、直近で+425%という異常値に近い急増が起きているのは、次のような要因が考えられます。

  • 専用庭付き賃貸の普及(郊外や地方部)

  • 小規模賃貸住宅における自己負担での植栽管理

  • 共用部管理費用の一部が「庭の手入れ」として計上されている可能性

  • 価格転嫁による見かけ上の費用増加

とはいえ、210円という額から見ても、依然として大半の世帯では「庭がない」か「管理不要」であると推察できます。

給与住宅(38円/変動値記載なし)

会社や公的機関の社宅・官舎などである給与住宅は、住人が庭の管理を個人で担う必要がほとんどなく、低支出で当然です。建物や敷地の管理は一括委託されており、住人が支出する場面は限定的です。こうした住宅形態では今後も庭の手入れ代が増加する可能性は極めて低いと見られます。


社会的要因と住宅形態の変化

  1. 戸建て志向の変化都市部では住宅事情により庭付き戸建てを選ぶ層が減少傾向にあり、「庭のある暮らし」は郊外・地方にシフトしています。これにより、地域別で手入れ代の支出傾向も異なる可能性があります。

  2. 共働きと外注文化の浸透若年層の共働き世帯が住宅を購入する場合、家の維持より時間効率を優先する傾向が強く、ローン持ち世帯の支出増加に反映されています。こうした層が今後の消費の中核となるため、外注型サービス需要は伸びると予想されます。

  3. 物価・人件費上昇による業者委託コストの増大特に2020年代以降、剪定や草刈りなどの人手作業のコストが急騰しており、持ち家であっても手入れを控える層が増加中です。結果として支出は「増えたいが、増やせない」ジレンマの中にあるといえます。


今後の推移予測と課題

  • 戸建て保有層の支出は二極化:資産余裕がある層は外注利用が進み、逆に余裕がない層では支出抑制が進む。

  • 民営住宅での支出は一時的なブレか継続か注視が必要:今後の数ヶ月〜数年のデータにより、特異値であったか、新たな住宅スタイルが反映されているかが明らかになる。

  • 都市部では庭のない暮らしが主流に:庭の手入れ代という支出自体が将来的には減少する可能性が高い。


まとめ

庭の手入れ代は、一見すると小さな支出ながら、住宅形態・生活様式・世帯のライフステージを反映する重要な指標です。持ち家では外注による管理が主流になりつつある一方、住宅ローン世帯や民営住宅の動きからは、都市型ライフスタイルと郊外型生活の二極化が見えてきます。今後は「庭をどう管理するか」ではなく、「庭を持つかどうか」が根本的な選択となり、それによって支出の発生そのものが変わる時代になるでしょう。

 

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