住宅別のインターネット接続料には大きな差があり、持ち家世帯(特にローンあり)では高額な支出が見られる一方、公営住宅などでは低水準にとどまっている。これは所得差や住宅設備の制約が背景にある。今後は通信インフラの整備やデジタル格差の是正が重要な課題となり、政策的支援が不可欠である。
住宅別のインターネット接続料
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
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名称 | 平均 | 持ち家のうち住宅ローン有り | 持ち家 | その他 | 民営 | 給与住宅 | 都市再生機構・公社等 | 公営 |
最新値[円] | 3935 | 4987 | 4681 | 4074 | 3742 | 3527 | 3245 | 2700 |
前年月同比[%] | 0.137 | -0.499 | 3.356 | -0.731 | 0.429 | -4.83 | 1.533 | -2.562 |
これまでの住宅別の推移


詳細なデータとグラフ
住宅別の現状と今後
日本におけるインターネット接続は、生活の基本的インフラとして定着している。しかし、その月間支出は世帯構成だけでなく「住宅の種類」によっても大きな差が見られる。2025年3月の最新データでは、住宅の所有形態や家賃負担の有無が通信費に影響を及ぼしていることが明らかになっている。本章では住宅別にその実態を分析し、今後の課題と展望を考察する。
住宅別支出の現状と傾向
2025年3月時点の住宅別インターネット接続料の平均は3935円であるが、その中でも「持ち家(住宅ローンあり)」は4987円と最も高い水準を示している。これは、比較的高所得層が居住している傾向にあり、より高速・高品質な回線を導入していることが要因とみられる。
次いで高いのは「持ち家(ローンなし)」の4681円であり、安定した生活基盤を持つ世帯が多く、インターネット利用に積極的であると考えられる。
一方、最も支出が低いのは「公営住宅」の2700円であり、「都市再生機構・公社等」「給与住宅」など公的支援を受ける住宅形態でも全体的に低い水準が続いている。これらの住宅では所得水準が低めで、支出全体を抑える傾向が通信費にも表れている。
過去からの動向と要因
2000年代初頭は、ADSLやISDNなどの低速回線が主流であり、住宅種別による差は現在ほど顕著ではなかった。2000年代後半から光回線が普及し始めると、導入コストや通信品質を重視するか否かで支出の格差が生じ始めた。
持ち家世帯では初期費用を自己負担で導入しやすく、結果的に高品質な回線を採用する傾向が見られた。一方、公営や民営の集合住宅ではインフラ整備の遅れや入居者間の合意形成の難しさから、導入が遅れがちだった。
現在の課題
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住宅形態による情報格差:高品質なネット環境を得られるかどうかが、住宅の所有形態に依存する状況は、教育や仕事の機会格差にもつながりうる。
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集合住宅の設備制約:民営・公的住宅では、回線設備の改修が遅れることが多く、個別契約が制限される場合もある。
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所得格差との連動:インターネット支出は世帯の可処分所得に比例する傾向があり、低所得世帯では通信の質・速度に妥協を強いられる。
今後の推移と予測
今後、以下のような動向が予想される:
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持ち家世帯は横ばい~微増傾向:物価高の影響を受けつつも、回線の高速化やサービスの多様化により支出は安定的に推移すると見られる。
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公営・給与住宅は緩やかな増加:政府や自治体によるデジタル格差是正施策の一環として、集合住宅でも通信インフラ整備が進む可能性がある。
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新興サービスによる影響:5Gや衛星インターネットの普及により、建物のインフラに依存せずに高速通信が可能になれば、支出構造に大きな変化が生じる可能性がある。
政策的提言と社会的配慮
情報通信の格差は、教育、就労、福祉にまで波及する問題である。住宅形態によって差が生まれる現状を是正するために、以下のような政策的対応が求められる。
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集合住宅への光回線設置支援
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低所得者向け通信費補助制度の拡充
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住宅供給者への通信整備義務の検討
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