住宅形態別にみた新車への月間支出は、住宅ローンを抱える持ち家世帯が最も高く、他の住宅形態との間に明確な差がある。2025年3月時点での平均支出は15,620円で、特に「持ち家(ローン有り)」は22,280円と突出している。民営・その他の住宅では支出が急減しており、今後はローン返済と車の購入を両立できる層が新車市場を支えていく構造になると見込まれる。
住宅別の新車
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
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名称 | 平均 | 持ち家のうち住宅ローン有り | 持ち家 | 公営 | 給与住宅 | その他 | 民営 |
最新値[円] | 15620 | 22280 | 18900 | 18360 | 17270 | 9238 | 5798 |
前年月同比[%] | -4.685 | +20.37 | -0.422 | -37.48 | -52.26 |
これまでの住宅別の推移


詳細なデータとグラフ
住宅別の現状と今後
住宅形態は家計の可処分所得と生活設計を大きく左右する要素であり、新車購入にも直接影響を与える。今回のデータからも、持ち家(住宅ローン有り)の支出が最も高く、逆に民営住宅や「その他」の住宅形態では支出が低い、あるいは著しく減少していることが見て取れる。これは新車という耐久消費財への投資余力の有無が、住宅の所有形態と密接に結びついていることを示している。
持ち家(住宅ローン有り)世帯の特徴と動向
「持ち家・ローン有り」世帯の新車への月間支出は22,280円と最も高く、前年同期比でも+20.37%と急増している。この層は主に30代~40代の働き盛りで、家族構成も子育て世代が多く、生活インフラとしての自動車への依存度が高い。加えて、近年の金利低下や自動車ローンの多様化により、住宅ローンと並行して車の購入も可能なライフスタイルが広がっていることも要因である。
その他の持ち家、公営・給与住宅の傾向
「持ち家(ローン無し)」の支出は18,900円と高めながら、前年からは微減(-0.422%)。これは定年後の高齢者世帯が多く、車の必要性がやや下がっていることが影響している可能性がある。
一方、「公営住宅」「給与住宅」はそれぞれ18,360円、17,270円とやや高めであるが、これは住居コストが相対的に低いため、浮いた分を自動車費用に回す余裕がある層が存在するためと推測される。
急減する「その他」「民営住宅」世帯の支出
「その他」(例:親族の住宅への同居や社宅外の特異な住居)は9,238円で、前年比-37.48%と大きく落ち込んでいる。「民営住宅」に至ってはわずか5,798円で、前年比-52.26%という急減が見られる。これは、家賃負担が重く、生活費の中で車への支出が後回しになる傾向を反映していると考えられる。
とりわけ都市部では車の必要性が低下しており、カーシェアや公共交通機関の利用が代替手段として定着しつつあることも背景にある。
今後の予測と政策的な含意
今後の新車支出は、住宅ローンを抱える層が主導的役割を果たすと予測される。一方で、若年層の民間賃貸依存や、非正規雇用の拡大が続く限り、新車市場全体としては成長余地が限定的である可能性もある。
政府・自治体が推進するEV(電気自動車)や低燃費車への補助政策が、こうした支出格差の是正につながるかが、今後の重要な焦点となる。
まとめ
住宅形態別の新車支出データは、生活基盤の安定度と可処分所得の度合いが、新車購入の現実的な指標であることを示している。持ち家・ローン世帯を中心に新車需要が支えられている一方で、民間賃貸層の支出減少は今後の市場縮小を示唆しており、住宅と交通の複合的な政策連携が求められる時代に入っている。
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