住宅別に見る出産以外の入院料支出の実態と今後の課題【2025年版】

2025年3月時点での出産以外の入院料に関する住宅別支出では、給与住宅や持ち家で高く、民営住宅や都市再生機構住宅では低い傾向が見られました。高齢世帯の多い住宅形態では支出が高止まりし、若年世帯中心の住宅では抑制傾向です。今後は住宅別の医療支援体制の強化が重要になります。

医療費支出は個人の健康状態や収入だけでなく、住環境や住宅形態にも密接に関わっています。とくに出産以外の入院料は、疾患や事故など予測不能な要因によるため、住宅の種類ごとに支出傾向が分かれることがあるのです。本章では2025年3月時点のデータをもとに、その背景と今後の見通しを解説します。

住宅別入院料支出の現状

2025年3月時点の出産以外の入院料の住宅別月間平均は1,495円です。住宅種別ごとの支出は以下の通りです：

• 給与住宅：2,524円（+64.86%）

• その他：2,430円（+18,590%）

• 持ち家：1,994円（+0.555%）

• 持ち家（住宅ローン有）：1,283円（-10.65%）

• 公営：1,135円（+23.91%）

• 民営：696円（-40.97%）

• 都市再生機構・公社等：35円（-98.1%）

このように、住宅の種類によって入院料の支出には大きな格差があることがわかります。

住宅別の特徴と背景

• 給与住宅：企業が用意した社宅などに居住している層が対象。支出が高いのは、若中年層で働き盛りながらも医療需要が発生する世帯が多いことや、福利厚生によって医療へのアクセスが良いことが影響していると考えられます。

• その他：一時的な居住や施設入所者などの可能性があり、特異な上昇（+18,590%）は標本数の急変や突発的な事象が影響していると考えられます。

• 持ち家（ローン無）：多くは高齢世帯で、年齢に伴う入院リスクが高く、支出もそれを反映して高めとなっています。

• 持ち家（ローン有）：現役世代が中心で、医療需要が比較的少ない。支出は下落しており、健康志向の高まりや生活防衛意識が反映されている可能性があります。

• 公営住宅：高齢者や低所得層が多く居住し、医療へのアクセスに課題を抱えつつも、慢性疾患等で入院が必要となる場合が多く、支出が上昇傾向です。

• 民営住宅：都市部の単身世帯や若年層が中心。支出が減っているのは入院機会の少なさや、健康な世代が多いことが理由として挙げられます。

• 都市再生機構・公社等：支出は極端に低く、前年からの減少も著しい（-98.1%）。制度的な変化や高齢者施設等への転出が進んでいる可能性があります。

これまでの動向と医療アクセスの地域格差

住宅種別ごとの医療費支出の差は、収入格差や居住地域の医療資源の差とも深く関わっています。都市部では医療機関が豊富でアクセスしやすい反面、費用も高くなりやすく、一方で地方では高齢化が進み、持ち家世帯の医療ニーズが拡大しています。

また、医療費支出は保険制度や高額療養費制度によって一定の抑制がされていますが、差額ベッド代などの自己負担項目が増加傾向にあるため、住環境によりその影響を受ける構造が強まっています。

今後の予測と課題

今後は以下のような傾向が予測されます：

• 給与住宅・持ち家（ローン無）では高止まりまたは増加：高齢者や医療ニーズの高い世帯が中心になるため。

• 民営・都市再生機構住宅では抑制傾向：若年層の割合が高く、健康管理意識の高まりが影響。

• 持ち家（ローン有）では支出の安定化：生活設計における医療費準備の定着による。

課題としては、住宅形態に応じた医療支援の制度設計が挙げられます。例えば、公営住宅に多い高齢者への訪問医療体制の強化や、給与住宅における企業連携の健康支援などが求められます。