住宅別にみる国公立授業料支出の格差と動向【2025年最新データ】

2025年3月時点で、住宅別の国公立授業料支出は平均2590円。給与住宅の支出が突出して高く9600円で、前年同期比+95.64%と急増。一方、持ち家や民営住宅では中程度、公営や都市再生機構等では支出が極めて低く、教育への投資に大きな差が出ている。住宅形態は世帯の所得や子どもの在学状況と密接に関連し、今後も格差の拡大や支援制度の整備が課題となる。

2025年3月時点の住宅形態別における国公立授業料（幼稚園～大学・専修学校）への月間支出は、平均で2590円となっています。しかしその内訳を見ると、住宅形態によって教育費支出に大きな差が存在しており、家庭の経済状況や子どもの教育段階がこの差に反映されています。特に給与住宅に居住する世帯の支出が群を抜いて高く、その他の住宅形態と著しい格差が生じています。

住宅形態別の支出構造の特徴

給与住宅：9600円（前年比+95.64%）

給与住宅は企業から提供される社宅などを含み、高収入層や福利厚生が充実した雇用形態にある人々が多く居住しています。支出が突出しているのは、教育熱心な家庭が多く、かつ子どもが中高等教育機関に進学しているタイミングと重なっているためと考えられます。ほぼ倍増している支出額は、企業側の教育手当や補助を活用しながらも、より高度な教育機関への通学費を積極的に負担していることを示唆しています。

持ち家（住宅ローン有り）：3641円（+0.887%）

住宅ローンを抱える持ち家世帯は、一般的に子育て中の中堅世代が多く、教育費の支出がピークに達する時期にあると考えられます。ただし増加幅は小さく、これは既に安定した支出構造の中で微増にとどまっていることを示しています。

民営住宅：1767円（+59.19%）

民営住宅では、家賃負担が大きく教育費に回せる余裕が限られるケースもありますが、2025年のデータでは前年比で大幅な増加が見られています。これは教育への需要増や、高校・大学の授業料支払いが一時的に集中した世帯が多かった可能性を示しています。

公営・都市再生機構等の住宅：極めて低水準

公営住宅（312円）や都市再生機構等（163円）の支出は極めて低く、しかも後者では前年比-88.17%という急減傾向が見られます。これらの住宅には、低所得層や高齢者世帯が多く含まれており、そもそも教育機関に在籍する子どもがいない、あるいは教育費を十分に負担できない家庭である可能性が高いです。

背景要因と格差の実態

住宅形態は、単なる居住空間の違い以上に、所得階層やライフステージの違いを反映する指標です。給与住宅に住む世帯は所得・雇用が安定し、教育投資への積極性が高く、反対に公営・UR住宅などは生活保護・年金生活の割合が高く、教育支出が縮小しています。

こうした背景により、教育支出の住宅間格差は事実上の所得格差であり、教育機会の分断が起きているとも言えます。特に、子どもの進学を希望していても家計的に難しい世帯では、進学自体を断念するケースもあるとされ、これは社会的再生産の格差の要因となります。

今後の予測と課題

格差拡大の懸念

今後も高所得層を中心とした住宅（給与住宅やローン持ち家）で教育費支出は増加し続けると予測されます。一方で、住宅支出が家計を圧迫している低所得層や単身高齢者世帯では、支出が縮小または停滞する傾向が強まります。

教育支援の焦点

国はすでに高等教育無償化や給付型奨学金の拡充などを進めていますが、住宅形態により教育支出にこれほどの差が出るという実態を踏まえ、住宅別・所得別にきめ細かな政策設計が必要です。特に公営・UR住宅居住者に対する就学支援や、教育費の補助を拡大することで、教育格差を抑えるべきです。

少子化・人口減少の影響

少子化により就学人口は減る一方で、一人あたりにかける教育投資は高まる傾向にあります。この流れは所得がある程度ある世帯には有利に働きますが、逆に低所得層では負担感が増し、社会的不平等の固定化が進む恐れがあります。

政策・社会の対応方向

• 住宅政策と教育支援の連携強化：公営住宅やURに住む子育て世帯への教育費補助の拡大

• 教育支出に対する税控除制度の充実：特に住宅ローン世帯に対するインセンティブ強化

• 教育費調査に基づくリアルタイム支援：住宅別の支出傾向を把握し、柔軟に制度設計

以上から、住宅形態は国公立授業料支出に大きな影響を与える要因であり、教育格差の温床となり得る側面を持っています。住宅政策と教育政策の一体的な設計こそが、将来的な教育機会の平等を実現する鍵となるでしょう。