住宅別で異なる携帯本体支出の実態｜都市型と公営の差と今後の予測

携帯本体の支出は住宅の種類によって大きく異なり、住宅ローン世帯や都市再生機構住宅では支出が高い一方、公営住宅や給与住宅では支出が低く抑えられています。背景には収入水準や家族構成、ライフスタイルの違いがあり、今後は中古端末や支援策の普及により支出の二極化が進むと予想されます。

携帯電話本体の価格は近年上昇を続け、住環境によってもその支出には大きな差が見られるようになっている。住宅の種類は家計状況やライフスタイルと密接に関わるため、携帯本体への出費に直接的な影響を及ぼす要素となる。本稿では、住宅別における支出の実態と背景、今後の動向について解説する。

住宅別支出の現状と差異

2025年3月時点の住宅別平均支出は2,622円となっているが、最も支出が多いのは「都市再生機構・公社等」（4,379円）であり、前年からの増加率も274.3%と極端に高い。次いで「持ち家（住宅ローンあり）」（4,144円）、「民営住宅」（2,957円）、「持ち家全体」（2,714円）と続く。

対して、「その他」（1,541円）、「給与住宅」（1,359円）、「公営住宅」（1,192円）では支出が低く抑えられている。特に公営住宅における支出は前年より58.48%も減少しており、低所得層の節約傾向や購入控えが明確に表れている。

支出に影響する住宅別の生活事情

「住宅ローンを抱える持ち家世帯」では収入が一定以上あり、生活基盤の整った家庭が多いため、家族全員分のスマートフォンを最新機種に買い替える傾向が強い。一方で、「民営賃貸」や「都市再生機構」などの住宅では、若年層やファミリー層が多く、通信・教育環境への投資として高性能端末を選ぶ可能性が高い。

逆に「給与住宅」や「公営住宅」は、収入制限が設けられている場合が多く、携帯本体への支出も控えめになりがちである。また、家族構成や年齢層が高い傾向があり、スマホの買い替え周期が長くなる傾向がある。

支出増加の背景と問題点

特筆すべきは、都市再生機構等における異常な支出増加である。これは、団地などに居住する世帯でのスマートフォン買い替えが一斉に行われた可能性や、新しい生活様式・テレワーク対応のために一時的に高額機種への需要が集中した可能性が考えられる。

また、家賃の割安な住宅ではその分をスマホ代などに充てる傾向もあり、「通信費優先型支出」が生まれている可能性がある。とはいえ、所得に見合わない端末購入は家計を圧迫するリスクを伴い、リース契約や分割払いによる債務問題への注意も必要である。

今後の推移と政策的視点

今後、携帯本体の高額化は続くと見られるが、政府主導の「中古スマホ市場の整備」や、端末分離プランの浸透により、支出の合理化が進む可能性がある。住宅ローンを抱える世帯では引き続き最新機種への投資が予想される一方、公営住宅や給与住宅では格安端末や中古利用が定着していくと思われる。

特に若年層が多く居住する住宅では、端末を学習や就職活動、創作活動のツールとして捉える傾向が強く、支出の優先順位として高位に位置づけられ続けるだろう。