日本の労働市場と企業規模別の労働者数の推移

労働者数
勤労統計



労働者数の推移

毎月勤労統計調査全国調査は、日本標準産業分類に基づく16大産業の常用労働者5人以上の事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を毎月把握する調査です。約190万事業所から抽出した約33,000事業所を対象に、名目賃金や実質賃金、労働時間などのデータを収集します。2012年から最新のデータを含め労働者数や給料のデータをグラフ化しています。

日本の全産業の労働者数の特徴

従業員規模別最大データ

5人以上 5-29人 30-99人 100-499人 500-999人 1000人以上
最新 2025年1月 2025年1月 2025年1月 2025年1月 2024年12月 2024年12月
最新値[万人] 5114 2005 1293 1112 350.6 354
最大期 2023年12月 2023年12月 2024年7月 2024年11月 2023年12月 2024年7月
最大値[万人] 5291 2318 1312 1116 371.4 355.6
最新/最大[%] 96.66 86.53 98.59 99.61 94.42 99.55

日本の全産業の労働者数の特徴

日本の労働市場における従業員規模別の労働者数の分布は、経済の変化や企業の成長・縮小を示す重要な指標です。特に中小企業と大企業の雇用動向を比較することで、どの規模の企業が労働市場の中心となっているのかが見えてきます。

従業員規模別の労働者数の分布

2023年12月時点で、5人以上の企業に勤務する労働者数の合計は最大で5110万人となっています。これは、日本の労働市場の大部分を占める数字であり、企業の規模ごとに労働者数を分析することが重要です。以下、各規模ごとの労働者数の最大値を確認します。

  • 5~29人規模の企業: 2318万人(2023年12月)
  • 30~99人規模の企業: 1312万人(2024年7月)
  • 100~499人規模の企業: 1116万人(2024年11月)
  • 500~999人規模の企業: 371.4万人(2023年12月)
  • 1000人以上の企業: 355.6万人(2024年7月)

このデータから、日本では特に従業員5~29人規模の企業が最も多くの労働者を抱えていることがわかります。一方で、大企業(1000人以上)で働く人の数は比較的少なく、全体の中では小規模企業が労働市場の中心を占めているといえます。

中小企業で働く労働者の特徴と変化

日本の労働市場では、中小企業が雇用の大部分を支えています。特に5~29人規模の企業は2318万人の労働者を抱えており、全体の中で最大の割合を占めています。このような企業は、地方経済を支える役割も大きく、小規模ながら安定した雇用を提供しています。

また、30~99人規模の企業も1312万人と比較的大きな労働市場を持っており、成長企業が多い規模といえます。これらの企業は、スタートアップや中堅企業が含まれることが多く、業績の拡大に伴って雇用を増やしている可能性があります。

しかし、中小企業は大企業と比べて経済の影響を受けやすく、景気の悪化時には労働者数が減少しやすい特徴があります。また、人材確保が難しくなっている業界もあり、人手不足が企業の成長の足かせとなるケースも見られます。

大企業で働く労働者の特徴と変化

大企業(500人以上)の労働者数を見ると、

  • 500~999人規模: 371.4万人(2023年12月)
  • 1000人以上規模: 355.6万人(2024年7月)

このように、大企業で働く労働者数は中小企業に比べると少ないですが、安定した雇用が確保されていると考えられます。特に1000人以上の企業では、雇用の変動が比較的緩やかであり、経済の影響を受けにくい傾向があります。

また、大企業では賃金水準が高く、福利厚生が充実していることが多いため、労働者にとって魅力的な選択肢となっています。そのため、優秀な人材が集まりやすく、長期的なキャリア形成を視野に入れて就職する人も多いです。一方で、大企業の採用枠には限りがあり、新卒採用や中途採用の競争が激しいことも特徴です。

労働市場の今後の展望

日本の労働市場では、今後も中小企業が雇用の中心であり続けると考えられます。ただし、労働力人口の減少に伴い、特に小規模企業では人手不足が深刻化する可能性が高く、企業の生産性向上や働き方改革が求められます。

一方、大企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)やグローバル化が進み、求められるスキルや働き方が変化することが予想されます。リモートワークや副業の許可など、従来の雇用形態が見直される動きも進んでおり、今後の労働市場の変化に注目が必要です。

規模別労働者数の傾向

規模別労働者数の増減

日本の労働市場において、企業の従業員規模別に見た労働者数の増加にはいくつかの特徴があります。2012年から2024年までのデータを見ると、特に中小企業における労働者数の増加が顕著であり、大企業と比較した際の違いも浮かび上がります。

労働者数の全体的な増加傾向

データによると、最も大きな増加を記録したのは2023年4月の従業員数5-29人の企業で115万人の増加でした。これは、日本の労働市場において、中小企業が雇用の中心であり、特に5-29人規模の企業が積極的に雇用を増やしていることを示しています。

その他の企業規模での最大増加数は以下の通りです。

  • 30-99人規模76.3万人(2017年4月)
  • 100-499人規模65.4万人(2019年4月)
  • 500-999人規模21.9万人(2020年4月)
  • 1000人以上規模24.8万人(2024年4月)

このデータからも分かるように、労働者数の増加は主に小規模な企業(5-29人、30-99人)で顕著に見られ、大企業(500人以上)では比較的緩やかな増加にとどまっていることが分かります。

中小企業(5-499人規模)の雇用動向

中小企業(5-499人規模)の中でも、特に5-29人規模の企業における増加が際立っています。2023年4月に記録された115万人の増加は、他の規模の企業と比較しても圧倒的に大きく、日本の経済活動の中心が中小企業であることを示しています。

この背景には、以下の要因が考えられます。

  • 中小企業の新規参入と成長:スタートアップやベンチャー企業の増加により、雇用が生まれやすい。
  • 労働市場の柔軟性:中小企業は雇用の増減が比較的スピーディーであり、景気変動の影響を受けやすい。
  • 業界別の影響:サービス業や小売業などの分野では中小企業が多く、特に人手不足を補うための積極的な採用が進んだ可能性がある。

また、30-99人規模や100-499人規模の企業においても、比較的大きな増加が見られます。これらの企業では、新しいプロジェクトの展開や、規模拡大に伴う人材確保の動きが影響していると考えられます。

大企業(500人以上規模)の雇用動向

一方で、500人以上の大企業における労働者数の増加は、500-999人規模では2020年4月に21.9万人、1000人以上規模では2024年4月に24.8万人と、比較的小規模な増加にとどまっています。

大企業の雇用増加が比較的緩やかである背景には、以下の要因が考えられます。

  • 雇用の安定性:大企業は労働者の離職率が低く、新規採用のペースも中小企業ほど速くない。
  • 労働市場の構造変化:デジタル化や自動化の進展により、一部の業務が機械やAIに置き換わり、急激な雇用増加が起こりにくい。
  • グローバル化の影響:海外展開を進める大企業では、国内の雇用増加が限定的な場合も多い。

ただし、2024年4月には1000人以上の企業で24.8万人の増加が見られました。これは、コロナ禍の影響が落ち着いた後の回復傾向や、企業の事業拡大による採用増加が影響している可能性があります。

労働者数の増加の時期と特徴

それぞれの企業規模での労働者数増加のピーク時を比較すると、増加のタイミングが異なっていることが分かります。

  • 2017年4月:30-99人規模の企業で76.3万人の増加
  • 2019年4月:100-499人規模の企業で65.4万人の増加
  • 2020年4月:500-999人規模の企業で21.9万人の増加
  • 2023年4月:5-29人規模の企業で115万人の増加
  • 2024年4月:1000人以上の企業で24.8万人の増加

このように、中小企業の雇用増加が比較的早い段階(2017年〜2023年)で見られ、大企業の雇用増加は最近(2024年)になってようやく顕著になり始めたことが分かります。これは、中小企業が景気変動に対してより敏感に反応し、雇用の調整を行う一方で、大企業は長期的な視点で慎重に雇用を増やす傾向があるためと考えられます。

今後の労働市場の展望

これらのデータを踏まえると、今後の日本の労働市場では以下の点が重要になってくるでしょう。

  • 中小企業の人手不足対策:中小企業では人手不足が深刻化しており、今後も採用が活発に行われる可能性がある。特に、外国人労働者の受け入れやリモートワークの活用が進むと考えられる。
  • 大企業の雇用拡大の行方:2024年に見られた1000人以上規模の企業の雇用増加が継続するのか、それとも一時的な回復なのかが注目される。
  • デジタル化・自動化の影響:特に大企業では、デジタル技術の導入が進み、新たな雇用創出の形が変化する可能性がある。

最近の増加データ

[万人] 5人以上 1000人以上 500-999人 100-499人 30-99人 5-29人
2024年12月 75.64 4.242 4.848 13.55 18.43 34.57
2024年11月 82.49 4.702 4.97 15.49 18.56 38.77
2024年10月 101 7.012 7.41 19.18 24.13 43.29
2024年9月 82.16 4.613 4.828 15.28 19.03 38.41
2024年8月 82.4 4.258 4.258 15.93 18.72 39.24
2024年7月 92.23 6.565 5.993 18.7 22.23 38.74
2024年6月 94.63 4.573 4.973 17.29 22.34 45.44
2024年5月 116.9 7.046 6.503 22.81 26.66 53.91
2024年4月 266.7 24.84 19.86 59.13 67.72 95.19
2024年3月 93.29 5.31 4.87 16.41 21.38 45.32
2024年2月 80.65 4.237 4.451 14.03 18.86 39.07
2024年1月 69.39 4.724 4.137 13.45 16.12 30.95

最近の減少データ

[万人] 5人以上 1000人以上 500-999人 100-499人 30-99人 5-29人
2024年12月 72.85 4.806 4.851 13.86 16.91 32.42
2024年11月 74.68 4.395 4.962 13.99 18.24 33.09
2024年10月 92.58 6.279 6.852 17.8 23.5 38.15
2024年9月 88.37 5.437 5.75 17.54 20.43 39.21
2024年8月 87.78 5.7 5.606 18.63 20.5 37.34
2024年7月 84.99 6.055 5.768 19.24 21.59 32.33
2024年6月 83.21 5.543 5.372 16.18 19.98 36.13
2024年5月 99.53 6.874 6.017 19.15 23.09 44.39
2024年4月 208.7 15.05 12.62 38.43 56.89 85.74
2024年3月 116.5 8.672 7.495 23.48 26.68 50.19
2024年2月 84.36 5.616 4.816 16.96 19.2 37.77
2024年1月 87.72 7.39 5.364 18.64 19.04 37.28

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