2010年から2025年までの人間ドック受診料は全国的に上昇し、2025年の平均は4.116万円となっています。東京都区部をはじめとする都市部では高額傾向が続き、名古屋など一部地域では前年比7%以上の急騰も見られます。一方、鳥取や山形など地方では3万円未満の料金設定もあり、地域ごとの格差が浮き彫りになっています。今後は医療格差解消のための制度的支援が重要となります。
医療の医療・保険
人間ドック受診料の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東京都区部 | 盛岡 | 京都 | 福井 | 大阪 | さいたま | 横浜 | 名古屋 | 福島 | 静岡 |
最新値[万円] | 4.116 | 6.16 | 4.612 | 4.517 | 4.51 | 4.51 | 4.51 | 4.507 | 4.465 | 4.455 | 4.428 |
平均比[%] | 100 | 149.7 | 112.1 | 109.7 | 109.6 | 109.6 | 109.6 | 109.5 | 108.5 | 108.2 | 107.6 |
前年月同比[%] | 0.652 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.235 | 0 | 7.59 | 0 | -1.227 |
人間ドック受診料の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鳥取 | 山形 | 大分 | 岐阜 | 那覇 | 津 | 岡山 | 宮崎 | 金沢 | 和歌山 |
最新値[万円] | 4.116 | 2.854 | 2.943 | 3.271 | 3.3 | 3.3 | 3.374 | 3.575 | 3.63 | 3.77 | 3.845 |
平均比[%] | 100 | 69.34 | 71.49 | 79.47 | 80.18 | 80.18 | 81.96 | 86.86 | 88.19 | 91.6 | 93.41 |
前年月同比[%] | 0.652 | 1.242 | 0 | 6.513 | 1.695 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
これまでの人間ドック受診料の推移


詳細なデータとグラフ
人間ドック受診料の現状と今後
2010年から2025年3月までのデータによると、日本全国における人間ドックの1回あたりの平均受診料は上昇傾向にあります。最新の平均は4.116万円で、15年前と比べると、医療技術の進歩や検査項目の多様化、健康意識の高まりなどの影響で徐々に高額化してきました。
人間ドックはもともと予防医療の一環として提供されてきましたが、特にがんや生活習慣病の早期発見が重視されるようになり、CTやMRIなどの高度な機器を使用する施設が増加しています。これにより、価格が全国的に上がる傾向が見られます。
地域別の料金差とその背景
地域ごとの料金を見てみると、東京都区部が最も高く6.16万円、盛岡や京都、大阪、福井、さいたま、横浜といった都市部も4.5万円前後と全国平均を大きく上回っています。これらの都市は、医療機関の競争が激しく、高度な検査メニューが揃っており、ブランド力のある施設が多いことが特徴です。また、医師や看護師の人件費、設備の維持費、都市部特有の地価などもコストに反映されやすいです。
一方で、受診料が低い地域としては鳥取(2.854万円)、山形(2.943万円)、大分(3.271万円)などが挙げられます。これらの地域では生活コストが比較的安く、受診者数が限られていることから、地域住民に配慮した料金設定となっている場合が多いと考えられます。
価格上昇率とその要因
近年の注目すべき変化として、名古屋(前年比+7.59%)や大分(+6.513%)など、一部地域で急激な価格上昇が見られます。これには以下のような要因が考えられます:
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医療機関の検査内容の強化(例:脳ドックやPET検査の追加)
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医療従事者の人手不足に伴う人件費の上昇
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医療設備の更新や新規導入による費用転嫁
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物価上昇に伴う光熱費や材料費の増加
反対に、静岡は前年比-1.227%と減少傾向を示しており、施設間の競争激化や価格調整による値下げが行われている可能性もあります。都市ごとの医療政策や地域経済の変化も影響していると考えられます。
今後の展望と課題
人間ドックの料金が今後も上昇する可能性は高く、特に都市部では高額化が続くと予測されます。これは医療の高度化が続く中で避けられない流れとも言えますが、一方で受診者の経済的負担が増すことによる「予防医療の格差」が問題視され始めています。
とくに地方在住者や高齢者、低所得層が受診を控える傾向が強まると、健康格差が拡大する恐れがあります。こうした問題を解消するには、自治体による補助金や低価格プランの開発、オンラインによる健康相談やスクリーニングの普及など、制度的な支援も求められます。
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