二人以上世帯の調理品支出に地域差―都市別の特徴と今後の中食動向分析

調理品・外食



二人以上世帯の調理品支出は都市規模や世帯属性によって大きな差があり、特に都市部で支出額が高く、共働き世帯の増加や中食依存の高まりが背景にあります。富山市や福井市では前年比で30%前後の大幅増が見られ、一方で津市や札幌市など地方都市では2桁の減少も。世代交代や高齢化に伴う調理習慣の変化、物価高騰への対応、地域の流通構造の違いなどが今後の動向を左右する要因となります。

調理品の家計調査結果

調理品の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 東京都区部 川崎市 富山市 大阪市 浜松市 福島市 千葉市 横浜市 福井市 新潟市
最新値[万円] 1.288 1.62 1.614 1.602 1.595 1.577 1.546 1.539 1.514 1.469 1.452
前年月同比[%] +4.509 -1.658 -2.389 +27.25 +10.28 +4.736 +20.61 +12.3 +8.307 +30.51 +7.769

調理品の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 津市 札幌市 盛岡市 京都市 岐阜市 徳島市 鳥取市 鹿児島市 熊本市 秋田市
最新値[万円] 1.288 0.935 0.993 0.998 1.01 1.073 1.084 1.092 1.101 1.107 1.125
前年月同比[%] +4.509 -17.45 -14.14 -4.971 -8.93 -9.946 +0.139 +0.98 +20.67 -12.54 +6.993

 

これまでの調理品の推移

調理品の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

調理品の調理品・外食現状と今後

近年、家庭での食生活は「内食」「外食」「中食」に分かれ、中でも調理済み食品、いわゆる“中食”への依存度が高まっています。特に共働き世帯や高齢世帯にとって、調理の手間を省ける中食は重要な選択肢であり、家計調査でも調理品支出は長期的に高止まり傾向にあります。

地域別の支出傾向と増減の背景

最新の家計調査によると、2025年3月時点で全国平均の調理品支出は1.288万円ですが、東京都区部(1.62万円)や川崎市(1.614万円)など大都市圏が上位を占めています。これは、生活リズムの忙しさ、外食よりも安価な中食需要、スーパーマーケットやコンビニの品揃え充実が影響しています。

特に富山市(+27.25%)や福井市(+30.51%)など、地方都市での急増も注目されます。これらは、地元スーパーの競争激化や高齢化による「買い物難民」層への対応で、中食商品が拡充された結果と考えられます。

逆に津市(-17.45%)、札幌市(-14.14%)などでは支出が大幅に減少しており、これは物価高騰による節約志向や自炊回帰の動きが要因として推測されます。

世帯属性・世代による違い

共働き世帯では調理時間の確保が難しく、働き盛り世代を中心に中食依存が強く出ます。一方、高齢世帯では介護予防や健康志向から塩分・カロリー制限などの理由で、自炊回帰または専用の健康調理品へのニーズが高まりつつあります。

また、若年層は外食よりもコンビニ弁当や総菜で手軽に済ませる傾向が強く、調理品の支出は都市部を中心に底堅い需要があります。

物価高騰と調理品価格の上昇

昨今の原材料費や人件費の高騰は中食産業にも影響を与えており、価格はじわじわ上昇中です。しかし、手軽さと外食よりも安価である点から、調理品の需要は減りにくく、支出額としては安定または増加傾向が見込まれます。

価格上昇を受けて内容量が減ったり、セミ手作り型の商品(半調理品)の増加といった変化も今後見られるでしょう。

今後の予測と政策的課題

高齢化や単身世帯の増加、共働き世帯の維持という社会構造を背景に、調理品需要は今後も中長期的に維持されると予想されます。特に地方では、地域スーパーや宅配サービスによる中食展開が生活インフラの一部として定着する可能性があります。

一方で、栄養バランスの偏りや食育の欠如、ゴミ問題など調理品に関連する社会的課題も無視できません。行政としては、高齢者向け宅配食や地域の食支援策の充実が求められるでしょう。


まとめ

調理品への支出は、世帯構造・都市規模・生活スタイルと密接に関連しており、今後も中食は日本の食卓において重要な選択肢として存在し続けると考えられます。ただし、地域間格差や物価の影響、健康とのバランスをどうとっていくかが今後の鍵となります。

 

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