二人以上世帯の健康保持用品支出:都市間格差と今後の動向分析

保健医療



家計調査によると、二人以上世帯の健康保持用品支出は平均2815円と安定傾向にあるが、都市間では岡山市の10150円から神戸市の1608円まで大きな差が見られる。背景には高齢化、生活習慣、自治体政策、地元商圏の違いが影響しており、今後も高齢層中心に支出増が見込まれる一方、地方や若年層中心世帯では抑制傾向も予想される。

健康保持用品の家計調査結果

健康保持用品の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 岡山市 宇都宮市 鳥取市 福岡市 熊本市 新潟市 静岡市 東京都区部 福島市 名古屋市
最新値[円] 2815 10150 4086 3842 3765 3751 3643 3585 3480 3344 3224
前年月同比[%] -9.242 +375.3 -15.84 +2.045 +36.41 +86.52 +31.28 +6.696 +1.933 +39.04 +45.82

健康保持用品の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 神戸市 和歌山市 水戸市 大分市 津市 秋田市 那覇市 堺市 岐阜市 広島市
最新値[円] 2815 1608 1811 1927 1928 1944 1962 1999 2026 2051 2055
前年月同比[%] -9.242 -75.28 -26.65 -14.09 -28.03 -13.75 -2.871 +20.71 -39.61 -43.22 -31.57

 

これまでの健康保持用品の推移

健康保持用品の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

健康保持用品の保健医療現状と今後

2008年からのデータを振り返ると、健康保持用品の支出は2010年代前半に緩やかな増加を示し、コロナ禍以降には衛生意識の高まりにより1時的に上昇傾向を強めた。平均支出額が2800円前後で推移していることから、基本的な生活支出の1部として1定の定着を示しているといえる。


都市間の支出格差の要因分析

岡山市の特異な支出増(+375.3%、10150円)

岡山市の突出した支出は、特定の調査対象層に偏りがあった可能性や、地元に健康食品産業やドラッグストアの大型店舗が多く存在すること、または高齢者比率が高く外出自粛傾向による家庭内ヘルスケア需要が高まった可能性がある。

支出が高めの都市の共通点

宇都宮市、鳥取市、福岡市など支出上位の都市では、高齢化が進んでいる点、また地方都市ゆえに家庭内消費の割合が相対的に高い傾向が見られる。特に中小都市では医療機関へのアクセス性に不安を感じ、自己管理志向が強くなることも1因と考えられる。

支出が少ない都市の特徴

神戸市、和歌山市、水戸市などでは前年より支出が大幅減。都市部での若年世帯の割合の高さや、健康保持用品よりもフィットネスや外食による健康志向が主流になっている可能性がある。高齢化率の相対的な低さや、支出全体を抑制する物価感覚の違いも影響している。


世代間の消費特性

高齢者層では、サプリメントや血圧測定器、マスクなどを日常的に購入する傾向が強く、健康不安を背景に支出が安定的に増加している。1方で、若年~中年層では、健康保持用品への支出は限定的で、ジムやアプリによる運動習慣など“体験型”健康志向に移行しつつある。特に20~40代では、物としての購入よりも「スマート健康管理」への投資傾向が顕著である。


地域経済・政策の影響

自治体による健康推進政策や、高齢者向け支援制度の有無も支出に影響を与えている。例えば、健康講座や無料検診の多い自治体では家庭内での予防用品の必要性が相対的に下がる1方、政策の手が届きにくい地域では市民の自助努力として支出が増える傾向がある。

また、地元商圏の違いも大きい。大型ドラッグストアの出店が活発な地域では、セールやポイント還元により支出金額が表面上大きくなることもある。


今後の支出動向の予測

増加が見込まれるケース

  • 高齢世帯が多い都市(例:岡山市、福岡市など)では、2025年以降も支出増加傾向が続くと予想される。特に“未病ケア”分野の商品の多様化が進むことで支出は拡大する見通し。

  • 感染症対策が恒常化し、アルコール類やマスクの需要が1部残存する可能性も。

減少が見込まれるケース

  • 若年層中心の都市(例:神戸市、和歌山市など)では、生活コスト全体の抑制傾向やモノよりコト志向への移行により、支出は鈍化もしくは減少へ。

  • デジタルヘルス化によって、物理的な健康保持用品の購入機会が減少する可能性も考慮すべきである。


まとめと今後の注視点

健康保持用品は、都市・世代・地域政策の差によって大きく支出傾向が分かれる分野であり、今後は“医療前段階”としての役割がさらに重視されることが予想される。1方で、所得格差や情報格差が家庭内健康管理の質に影響を及ぼす懸念もあり、行政のサポートや正しい消費行動の啓発が求められる時代となっている。

 

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