二人以上世帯の保健医療用品支出の都市差と動向を徹底解説

保健医療



2008年から2025年3月までの家計調査データによると、二人以上世帯における保健医療用品の支出は全国平均で1,046円となっていますが、都市間での差は非常に大きく、富山市や広島市では平均を大きく上回る一方、松山市や岐阜市では急減しています。この背景には、高齢化、感染症への備え、地域文化の違い、消費者行動の変化が影響しており、今後も世代別・地域別のニーズに応じた消費動向が続くと予測されます。

保健医療用品の家計調査結果

保健医療用品の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 富山市 広島市 佐賀市 宇都宮市 堺市 那覇市 前橋市 奈良市 神戸市 横浜市
最新値[円] 1046 2916 2145 1965 1904 1867 1859 1842 1814 1657 1635
前年月同比[%] -9.442 +277.7 +46.72 -30.44 +77.94 +155.8 +29.64 +36.34 +191.2 +27.95 +25

保健医療用品の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 松山市 岐阜市 秋田市 名古屋市 松江市 長崎市 仙台市 大津市 鳥取市 福井市
最新値[円] 1046 278 387 397 447 479 482 493 505 571 593
前年月同比[%] -9.442 -89.55 -60.06 -57.17 -39.76 -63.1 -68.46 -73.16 +56.35 -50 -18.66

 

これまでの保健医療用品の推移

保健医療用品の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

保健医療用品の保健医療現状と今後

「保健医療用品」とは、医薬品とは異なり、直接的な治療効果は持たないものの、健康の維持や症状の緩和、衛生管理などに用いられる日用品を指します。代表的な例には、マスク、消毒液、包帯、温湿布、体温計、衛生綿、サポーター類などが挙げられます。特にコロナ禍を経て、これらの用品が家庭の常備品となったことから、消費傾向に大きな変化が見られました。


全国平均と著しい地域差

2025年3月時点での全国平均は1,046円ですが、都市別で見ると富山市(2,916円)や広島市(2,145円)が突出しています。1方、松山市(278円)や岐阜市(387円)などは著しく低く、この差は全国平均の3倍〜10倍以上にもなります。

このような地域差の背景には、以下の要因が考えられます:

  • 医療機関へのアクセス:医療機関が少ない地域では家庭内での健康管理需要が高くなる傾向があります。

  • 高齢化の進行度:高齢者が多い地域ほど、日常的な体調管理や介護用品への支出が増加します。

  • 地域文化と防災意識:災害リスクが高い地域では備蓄用品としての需要も影響していると考えられます。


急増・急減の都市の特徴

支出が急増している都市(例:富山市、奈良市、堺市)

富山市は前年比+277.7%と驚異的な増加率を示しています。高齢化率が高く、健康維持に敏感な世帯が多いことに加え、コロナ後の予防用品需要が継続している可能性があります。奈良市(+191.2%)、堺市(+155.8%)なども同様の傾向で、予防医療意識の定着や地元自治体の啓発活動が影響していると考えられます。

支出が急減している都市(例:松山市、名古屋市、仙台市)

松山市は-89.55%、名古屋市は-39.76%、仙台市は-73.16%と大幅に減少しています。これは、以下のような背景が想定されます:

  • コロナ禍収束後の1時的な需要反動

  • 住民の価格志向の高まりやまとめ買いによる月当たり支出の減少

  • 公共支援や福祉による自己負担の減少


世代別の特徴と消費構造の変化

若年層は、日常的に保健医療用品を用いることが少なく、支出額は低めです。1方、高齢者層は、日々の健康管理や慢性症状の緩和のため、温湿布やサポーター類などへの出費が多くなりがちです。

特に以下のような傾向が顕著です:

  • 子育て世代:乳幼児の衛生用品(綿棒、体温計、消毒液など)を購入

  • 高齢世帯:腰痛、関節痛への対処用品や介護用品の支出増

  • 共働き世帯:感染症対策としてマスクやアルコール類の継続使用


今後の推移予測と社会的背景

今後の保健医療用品支出は、以下の要因に左右されるでしょう:

高齢化の進行

高齢世帯の比率が全国的に上昇していることから、今後も中長期的には支出額が増加する傾向が続くと見られます。

感染症リスクへの継続的備え

新型コロナウイルスの影響を経て、インフルエンザや新興感染症への備えとしてマスクや消毒液の常備が「当たり前」となったことで、1定の水準を維持する可能性が高いです。

自治体・企業の支援と販売戦略

自治体の健康促進キャンペーンや、ドラッグストアのPB(プライベートブランド)戦略により、支出額は抑えられる1方、購入機会が増える可能性もあります。


まとめと展望

保健医療用品の支出は、健康意識や医療アクセス、地域性、そして社会的変化に強く影響されるカテゴリです。都市によっては前年比数百%の変動も起こりうる1方で、基本的には「備え」としての需要が定着しつつあります。

今後も高齢者人口の増加、感染症の長期的リスク、そして家庭内でのセルフメディケーション志向の高まりを背景に、保健医療用品への支出は都市・世代ごとに多様化しながら緩やかに上昇していくと見込まれます。

 

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