地方ほど高騰?二人以上世帯の交通・通信費の地域差と今後の課題

交通費



2025年3月時点で、二人以上世帯の交通・通信費は全国平均53,510円。都市別には富山市や鳥取市など地方都市で高額傾向があり、車依存や通信費の拡大が要因。逆に大都市圏では公共交通の普及や生活スタイルの変化で費用は比較的低水準に。世代間では高齢層ほど車維持が負担に。今後は物価上昇と通信環境の変化が支出に影響を与える見通しであり、地域・世代ごとの対策が求められる。

交通・通信の家計調査結果

交通・通信の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 全国 富山市 鳥取市 千葉市 津市 名古屋市 甲府市 岡山市 岐阜市 北九州市 金沢市
最新値[円] 53510 231800 200800 125100 113300 100500 95830 92030 91950 91560 84710
前年月同比[%] +4.665 +341.7 +377.7 +216.2 +28.58 +32.92 +169.1 +153.3 +98.68 +201.6 +121.5

交通・通信の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 全国 和歌山市 神戸市 宮崎市 横浜市 札幌市 那覇市 京都市 徳島市 大分市 福島市
最新値[円] 53510 28660 28900 29820 30270 30370 31040 31460 33260 33580 33920
前年月同比[%] +4.665 -32.26 -6.421 -63.18 -11.92 +3.772 +0.96 -1.013 +7.394 -27.06 -8.316

 

これまでの交通・通信の推移

交通・通信の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

交通・通信の現状と今後

家計調査における「交通・通信」費目は、現代の生活に不可欠な要素でありながら、地域や世代によって支出の内訳や傾向が大きく異なります。2025年3月時点で全国平均は53,510円ですが、都市によって大きな開きが見られます。特に地方都市では顕著な増加傾向が見られ、今後の家計に与える影響が懸念されます。


交通・通信費の内訳と変化

交通・通信費には、主に以下の費目が含まれます。

  • 交通費:自家用車の維持費(ガソリン代、保険、整備、駐車場代など)、公共交通機関の運賃

  • 通信費:携帯電話・スマートフォン利用料、インターネット接続料、放送受信料など

ここ10年で特に通信費の増加が顕著であり、スマートフォンの普及に伴う定額制プランや、家庭内の高速インターネット回線整備が支出を押し上げています。


地方都市における交通・通信費の高騰

データによると、富山市(231,800円)、鳥取市(200,800円)、千葉市(125,100円)など地方都市での支出が非常に高く、前年同期比で3倍以上という異常な増加率を示しています。これは以下のような要因が重なったと考えられます。

  • 地方の車社会化:交通インフラが限られ、家族全員が車を所有・運転する傾向が強い。

  • ガソリン価格の高騰:地方ほど車依存のため燃料費の影響が直撃する。

  • 通信プランの拡大:オンライン学習や在宅勤務により、高速・大容量の通信契約が一般化。

また、特定の都市で突発的に支出が跳ね上がっている背景には、集計の対象世帯数の変動や一時的な設備投資(例:車の買い替え、通信機器の更新)が影響している可能性もあります。


大都市圏における支出の抑制傾向

一方で、和歌山市(28,660円)、神戸市(28,900円)、宮崎市(29,820円)などでは交通・通信費が低水準に留まっています。特に和歌山市では32%超の減少が見られました。

  • 公共交通の利便性:電車・バスの網が発達しており、自家用車が不要な世帯が多い。

  • 通信費の見直し:格安スマホやプランの見直しにより、支出の最適化が進んでいる。

  • 都市部の若年層の車離れ:車の維持費に対する負担感が高く、必要最小限の移動にとどめる傾向がある。


世代間の違いと将来的な課題

交通・通信費の支出は世代間でも異なります。高齢層は安全面から車の維持を続ける一方、通信環境への適応が遅れがちで支出が高止まりする傾向があります。若年層は公共交通を活用し、通信費の節約意識も高いですが、生活に占める通信の重要性が高くなっています。

今後の課題としては以下が挙げられます。

  • 地方での交通インフラの整備と補助

  • 高齢者へのデジタル通信支援策の拡充

  • 通信料金の透明化と価格競争の促進

  • 地域に応じた移動手段の多様化(カーシェア、MaaSなど)


今後の推移と予測

2025年以降も、以下の点から交通・通信費は変動が予測されます。

  • 燃料価格や物流費の高止まりによる車関連費の継続的上昇

  • 通信インフラの高度化(5G、6G)に伴うサービス料増加

  • 高齢化とデジタル格差拡大による支援策の需要拡大

  • 都市部では通信費抑制の一方、地方は引き続き高額水準


まとめ

交通・通信費は、都市・世代・ライフスタイルの違いによって大きな地域格差と支出傾向を示しています。家計に占める割合も拡大しており、国・自治体・事業者が連携して合理的で公平なサービス提供の在り方を見直す必要があります。特に、地方の車依存から脱却し、新しい移動の形と通信支援のバランスが今後の重要課題となるでしょう。

 

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