二人以上世帯の下着支出動向：地域差と世代別傾向から読む今後の課題

二人以上世帯における下着類支出は、地域や世帯の年齢構成によって大きく異なります。特に都市部では1,000円を超える支出が見られる一方、地方や高齢化が進む地域では大きく減少。物価上昇や節約志向、ライフスタイルの変化が支出に影響を与えており、今後も地域間格差や世代差が継続する見通しです。

下着類は被服費の中でも生活必需品として位置づけられており、消費者のライフスタイルや地域性、家計状況、年齢構成によって支出額に顕著な違いが見られます。ここでは家計調査の結果から、2人以上世帯における下着類支出の傾向と背景を読み解きます。

全国平均と支出の分布

2025年3月時点の最新データによれば、2人以上世帯における下着類の平均支出は712.6円でした。この金額は生活必需品としては控えめな印象を受けるものの、地域によって大きく異なり、支出の高い都市では1,000円を超えるケースも見られます。

支出の高い都市の特徴

支出が最も高かった津市（1,254円）や相模原市（1,114円）、さいたま市（1,090円）といった都市は、都市インフラが整い、若年〜中年の世代構成が比較的多いと推測され、消費に対して比較的積極的な傾向が見られます。特に広島市（+122.1%）や松山市（+95.84%）のように前年から急増している都市もあり、これは地域ごとの季節変化、消費喚起キャンペーン、物価上昇を背景とした買い替え需要などが考えられます。

支出の少ない都市の背景

1方で、神戸市（328円）や青森市（328円）、鹿児島市（350円）などでは支出が非常に低く、前年からの減少幅も大きくなっています（青森市：-47.85%、長崎市：-56.59%、川崎市：-73.41%）。これらの地域では、高齢化の進行や物価高騰による節約志向、購入の先延ばしなどが要因として考えられます。特に川崎市のような大都市でも支出が大きく減っている点は注目に値します。

世代間の支出傾向

1般的に、若年層や子育て世帯を含む家庭では下着類の需要が1定量発生しやすく、また着替えの頻度が高いため支出もやや高めになります。1方、高齢世帯では下着の買い替え頻度が減少しやすく、結果的に年間支出は抑えられます。これは無職世帯や高齢単身世帯と比較しても明確な違いとして表れます。

コロナ禍とアフターコロナの影響

2020年以降のコロナ禍により外出機会が減少したことで、衣類全般の購入頻度が減り、下着類も例外ではありませんでした。その後のアフターコロナの局面で需要が回復しつつあるものの、都市によって回復の度合いにばらつきが生じているのが現状です。

今後の展望と予測

今後の下着類支出は以下の要因に左右されると見られます：

• 物価上昇の影響：生活必需品としての価格上昇は避けられず、支出は1時的に増加する可能性が高い。

• 節約志向とサブスクリプション型サービスの普及：下着の定期購入など新しい消費スタイルの定着が支出の平準化をもたらす可能性。

• 高齢化の進行：世帯構成の高齢化が進む都市では、全体として下着支出が長期的には縮小する傾向。

• エコ・サステナブル志向の影響：リユースや長持ちする素材へのシフトにより購入頻度が低下する可能性もあります。