家計調査によると、2025年3月時点で二人以上世帯のパック旅行費の全国平均は月3591円。広島市や福井市などで急増が目立ち、一方で山口市や松江市などでは大幅減が見られる。背景には観光需要回復、地域の旅行支援策、世代別ニーズの違いなどがある。今後は高齢世帯の旅行意欲や物価上昇による支出圧迫、地方自治体の政策次第で大きく変化する可能性がある。
パック旅行費の家計調査結果
パック旅行費の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 広島市 | 福井市 | 松山市 | 熊本市 | 大分市 | 富山市 | 名古屋市 | 千葉市 | 奈良市 | 山形市 |
最新値[円] | 3591 | 20660 | 17210 | 10290 | 9867 | 8003 | 6966 | 6303 | 5722 | 5612 | 5415 |
前年月同比[%] | +15.76 | +635.2 | +90480 | +796 | +186 | +3291 | +80.42 | +43.58 | +113 | +141.3 | +164.9 |
パック旅行費の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎市 | 盛岡市 | 山口市 | 松江市 | 新潟市 | 和歌山市 | 堺市 | 仙台市 | 神戸市 | 鹿児島市 |
最新値[円] | 3591 | 0 | 0 | 22 | 54 | 107 | 393 | 464 | 550 | 589 | 767 |
前年月同比[%] | +15.76 | -100 | -100 | -98.46 | -99.48 | -0.926 | -76.45 | -39.58 | +63.2 | -93.4 | +1117 |
これまでのパック旅行費の推移


詳細なデータとグラフ
パック旅行費の趣味現状と今後
2025年3月時点での家計調査によれば、2人以上世帯のパック旅行費の全国平均は3,591円とされています。特に支出が高い都市としては広島市(20,660円)、福井市(17,210円)、松山市(10,290円)が挙げられ、これらは全国平均の5〜6倍に達しています。1方、山口市(22円)、松江市(54円)など著しく低い地域もあり、地域間で極めて大きな格差が生じています。
都市別支出の背景と要因分析
支出が高い地域の特徴
広島市や福井市、松山市などの支出急増の背景には、以下の要因が考えられます:
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観光需要の回復:コロナ禍以降の国内旅行需要の再燃。
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地域振興策の効果:県独自の旅行割引やクーポン施策の浸透。
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交通の利便性:広島市や名古屋市のように新幹線や空港へのアクセスが良い都市。
これらの要素が合わさり、住民の旅行意欲を刺激したと見られます。
支出が低い地域の特徴
山口市や松江市などでは支出が極端に低く、ほぼゼロに近い数値もあります。これには以下の理由が考えられます:
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高齢化による旅行控え:旅行が体力的に困難な高齢世帯の比率が高い。
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地域外へのアクセス性の低さ:鉄道や空港の便が悪く、パック旅行へのハードルが高い。
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娯楽支出の抑制傾向:物価上昇による生活必需品への優先支出。
世代間・家族構成別の傾向
パック旅行の消費行動は、世代間でも顕著な差があります。
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子育て世代(30〜40代)は、春休みや夏休みなどに家族旅行を計画する傾向があり、パック旅行の恩恵を受けやすい。
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高齢者世代(60代以上)は、時間に余裕があるものの、健康不安や支出への慎重さから旅行を控える傾向にあります。
また、単身世帯よりも2人以上世帯の方がパック旅行を選びやすく、費用を分担できることも支出増加の1因となっています。
コロナ後の反動と旅行支出の回復
2020年以降のコロナ禍で観光業は打撃を受けましたが、2023年以降は「全国旅行支援」などの施策が影響し、旅行への支出は回復傾向を見せています。今回のデータでも広島市(+635.2%)、福井市(+90,480%)、松山市(+796%)といった驚異的な増加率が確認され、反動需要が顕著に現れています。
今後の予測と課題
今後のパック旅行費は以下のような動きが予想されます:
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物価上昇の影響:旅行費用の高騰により、支出が頭打ちとなる可能性。
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地方自治体の施策次第:観光資源を活用した自治体の旅行促進策により、地域差がさらに拡大する恐れ。
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高齢化の進行:旅行控え世代の増加により、全体的な旅行支出の伸びは緩やかになる見込み。
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デジタル化と個人手配の普及:パック旅行より個別手配旅行が増え、調査上の支出としては減少傾向に向かう可能性も。
まとめ
パック旅行費は世帯構成、地域、観光政策、世代特性など様々な要因に左右される複雑な支出項目です。支出の大きい都市では観光振興が強く、高齢世帯や地方都市では支出が抑えられています。今後は物価上昇や人口構成の変化といった社会的要因と、観光戦略との連動がカギを握ると考えられます。家計の中での教養娯楽の位置づけが今後どう変わるか、引き続き注視が必要です。
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