2008年から2025年の二人以上世帯の「他の穀類」支出は平均516.2円。大津市や前橋市、宮崎市などで高額かつ増加率も高い一方、秋田市や青森市など東北地方は低額かつ減少傾向。都市間の食文化、生活様式、世代構成が影響し、健康志向や多様な穀類需要の変化が今後の消費動向を左右すると予測される。
他の穀類の家計調査結果
他の穀類の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大津市 | 前橋市 | 宮崎市 | さいたま市 | 京都市 | 高松市 | 大分市 | 松山市 | 堺市 | 浜松市 |
最新値[円] | 516.2 | 765 | 765 | 685 | 673 | 665 | 636 | 623 | 620 | 613 | 605 |
前年月同比[%] | +12.18 | +24.8 | +60.04 | +89.23 | +39.34 | +44.57 | +76.67 | +33.98 | +50.12 | +39.64 | +69.47 |
他の穀類の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 秋田市 | 高知市 | 青森市 | 福島市 | 熊本市 | 長崎市 | 福井市 | 札幌市 | 岡山市 | 新潟市 |
最新値[円] | 516.2 | 315 | 323 | 334 | 350 | 365 | 372 | 384 | 412 | 431 | 431 |
前年月同比[%] | +12.18 | -21.05 | +5.556 | -13.25 | -12.28 | -20.31 | +7.514 | +4.065 | -12.9 | -6.911 | +12.83 |
これまでの他の穀類の推移


詳細なデータとグラフ
他の穀類の穀類現状と今後
「他の穀類」とは米や小麦以外の雑穀、とうもろこし、そばの実、もち米など幅広い種類の穀物を指します。これらは近年、健康志向の高まりや伝統食の再評価、また多様な食文化の影響により注目されています。二人以上世帯においては、主食としての利用は限定的ながらも、栄養補助や副食としての需要が増えつつあります。
高額消費都市の特徴と増加要因
2025年3月時点の他の穀類支出が高い都市(円・前年同期比増加率):
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大津市:765円(+24.8%)
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前橋市:765円(+60.04%)
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宮崎市:685円(+89.23%)
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さいたま市:673円(+39.34%)
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京都市:665円(+44.57%)
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高松市:636円(+76.67%)
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大分市:623円(+33.98%)
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松山市:620円(+50.12%)
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堺市:613円(+39.64%)
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浜松市:605円(+69.47%)
これらの都市では健康志向の高まりや伝統食文化の復興に加え、雑穀を使った新商品の普及、地域の食材ブームが消費拡大の背景にあります。特に宮崎市や高松市、浜松市などは前年同期比で大幅増加を示し、雑穀を利用した料理や加工食品の市場拡大が進んでいると考えられます。
低額消費都市の特徴と減少要因
支出が低い都市(円・前年同期比増減率):
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秋田市:315円(-21.05%)
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高知市:323円(+5.56%)
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青森市:334円(-13.25%)
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福島市:350円(-12.28%)
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熊本市:365円(-20.31%)
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長崎市:372円(+7.51%)
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福井市:384円(+4.06%)
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札幌市:412円(-12.9%)
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岡山市:431円(-6.91%)
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新潟市:431円(+12.83%)
東北地方を中心に支出が低く、減少傾向が顕著です。人口減少や若年層の都市部流出、食生活の欧米化、そして米中心の食文化の強さが要因と考えられます。札幌市や岡山市など都市規模の大きな地域でも減少傾向があり、食の多様化による消費の分散も影響しています。
地域差の背景と生活習慣の影響
地域の伝統食と雑穀文化
高消費地域では古くから雑穀を使う食文化が根強く残り、健康志向も手伝い近年の雑穀ブームと相まって支出増加に繋がっています。逆に東北や北海道などは主食の米文化が強く、雑穀消費は限定的です。
世代構成と健康志向
高齢者の多い地域では健康維持のため雑穀を意識的に取り入れる傾向がありますが、若年層は洋風食や外食志向が強く、全体的に消費が伸びにくい面があります。
都市部の生活様式
都市部の忙しい生活環境では、簡便で栄養価の高い雑穀商品が注目されており、前橋市やさいたま市のような大都市近郊での需要が高まっています。
過去の動向と現在の課題
2008年以降、「他の穀類」消費は全体的に増加傾向にあるものの、地域差が大きく、特に都市部や一部地方都市で大幅な増加がみられる一方で、東北地方などでは減少傾向が続いています。課題としては、雑穀の価格変動や供給安定性、消費者の認知度不足が挙げられます。また、食生活の多様化に伴う消費分散も課題です。
今後の推移と消費の見通し
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健康志向の高まりにより、雑穀を含む多様な穀類の需要は増加が期待される。
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地域特産の穀物や伝統食材のブランド化が進むことで、地域間格差は縮小する可能性も。
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若年層の間での多様な穀物利用が進まない限り、東北など一部地域の低消費は続く可能性が高い。
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新技術を活用した加工食品や簡便商品の開発が消費拡大の鍵となる。
まとめと提言
「他の穀類」の消費は二人以上世帯で地域差が大きく、健康志向や伝統食の復興が消費増加の原動力です。東北地方を中心に減少傾向がみられるため、地域ごとの食文化や生活環境に合わせた普及・啓発活動が重要です。今後は市場ニーズを捉えた商品開発と流通体制の強化が求められます。
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